2022年11月18日より映画【ある男】が公開されます。
映画の公開に先駆けて【ある男】のあらすじ・ネタバレをお届けいたします。
映画【ある男】の主演は妻夫木聡さん。
原作は芥川賞作家の平野啓一郎さんです。
渡辺淳一文学賞受賞作『マチネの終わりに』も、福山雅治&石田ゆり子主演で映画化されています。
【ある男】を読んだ感想を一言であらわすと
登場人物の男みんなが「ある男」ともいえる!
「自分とはいったい何者なのか?」
といった具合に、ちょっとした哲学モードになりました。
歴史的事実や法律の知識も盛り込まれたミステリーは、351ページにもわたる壮大な物語で
「数時間の映画におさまりきるの?」
というくらい読みごたえがありますよ。
累計19万部を超えたベストセラーである【ある男】ですが、正直言って、誰にでも軽く読める本ではありません。
そこで今回は、映画のキャストもチェックしながら、あらすじ・ネタバレを書いてみたいと思います。
映画【ある男】のキャストは?
城戸章良|妻夫木聡
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妻夫木聡さん演じる城戸章良は、1975年生まれの弁護士。
かつての依頼者だった里枝から、亡くなった夫に関する、奇妙な相談を受けます。
夫であった「大祐」が、突然の事故で亡くなり、絶縁状態だった「大祐」の実家に連絡を取ると
その男は「大祐」ではないと言われてしまった…そんな相談でした。
自分のルーツにも思うところがある城戸は
「大祐」が誰なのか?
一体何が起きたのか?
を調べることに没頭していきます。
妻夫木聡さんは、初の弁護士役だそう。
演技力に疑うところはないので、城戸役にぴったりだと思います。
谷口(武本)里枝|安藤サクラ
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安藤サクラさんが演じる里枝は、かつて2歳の次男を病気で亡くし、最初の夫と離婚した経験があります。
離婚の際、城戸(妻夫木聡)に弁護士をしてもらいました。
その後、故郷である宮崎へ長男と共に戻った里枝は、「大祐」と出会い、結婚します。
「大祐」との間には、娘も生まれ、幸せだった里枝でしたが、林業をしていた「大祐」は
木の下敷きとなり、あっけなくこの世を去ってしまうのでした。
安藤サクラさんが里枝役なのは、原作を読んだ身としては
ちょっと意外な感じ。
安藤サクラさんは、割とはっきり物をいうタイプの役が多いですよね。
原作の里枝は、大人しい雰囲気の女性を想像していました。
逆に、どんな里枝がみられるのか楽しみです。
谷口大祐(X)|窪田正孝
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谷口大祐として、里枝と結婚していた男を演じるのは窪田正孝さん。
大祐は、里枝の実家である文具店のお客さんとして現れました。
大祐の描く絵をきっかけに、親しくなった二人は、やがて結婚します。
大祐は、連れ子の悠人にもしたわれる、良い父親だったのですが、山の事故で亡くなってしまうのでした。
明るい役も、陰のある役もできる窪田正孝さん。
優しく良い夫だったはずなのに、もしかしたら犯罪者だったのでは?
という役柄でも、自然に演じられそうです。
主演は妻夫木さんですが、ある男は大祐なので、陰の主役とも言えますね。
後藤美涼|清野菜名
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「本物の」谷口大祐の元恋人。
サバサバした性格で、城戸がひかれていってしまう女性でもある。
後藤美涼は、谷口大祐と年齢がそんなに変わらないと思っていたので
清野菜名さんだと、かなり若い美涼になりますね。
原作と映画は、設定が少し変わってくるかも?
谷口恭一|眞島秀和
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「本物の」谷口大祐の兄。
弟の恋人だった後藤美涼には、今でも言い寄っている。
恭一は、一言で言うと、嫌な奴。
弟を下に見て馬鹿にしているます。
美涼に言い寄るのも、弟の彼女だったからというのもあるんですよね。
原作だと、登場シーン多いです。
その他のキャスト
中北:小籔千豊
城戸の同僚。弁護士事務所の共同パートナー。
本物の谷口大祐:仲野太賀
「本物の」谷口大祐。伊香保温泉の旅館の次男。
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城戸香織|真木よう子
城戸の妻。城戸とはあまりうまくいっていない。
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小見浦憲男|柄本明
戸籍交換ブローカー。刑務所にいる。
以上が、映画【ある男】のキャスト紹介になります。
脇を固める役者さんたちも、大物揃いですね!
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原作【ある男】あらすじ・ネタバレ
序章
序章の部分は、私(著者の平野啓一郎さん?)が、城戸章良とバーで出会い
親しくなって聞いた話というかたちで始まります。
城戸は最初、私に対し、偽名と嘘の経歴を語っています。
「これからは本当のことを言います」
と聞いた話が、ある男のベースになっていきます。
里枝(安藤サクラ)と大祐(窪田正孝)の出会い
次男を亡くした後、元夫と離婚した里枝(安藤サクラ)は、宮崎にある実家の文具店へと戻ってきます。
そこにお客さんとして現れた、谷口大祐(窪田正孝)と名乗る男と出会います。
大祐の描く絵をきっかけに「友だち」として親しくなった2人は、やがて結婚。
大祐は、それまでよそ者でしたが、小さい頃から「いい子」だった里枝と結婚したことで、町の人々の信頼を得るのでした。
しかし、危険な林業にたずさわっていた大祐は、2人の間に生まれた子ども「花」が3歳の時に、死んでしまいます。
「家族とは縁を切っている。会うつもりはない。万が一の時も、実家には知らせないで欲しい」
と言われていた里枝でしたが、1周忌の節目に、連絡をいれます。
しかし、その知らせを聞いてやってきた大祐の兄、谷口恭一(眞島秀和)が大祐の遺影は弟ではない、別人であるといいます。
警察に相談しても「誰が死んだんですか?」とまったくとりあってもらえない里枝。
その結果、相談した相手が、かつて離婚調停の代理人をした城戸章良(妻夫木聡)だったのでした。
城戸章良(妻夫木聡)の調査
里枝から事情を聞いた城戸は、名前を偽って身元を隠すことは珍しくないが、実在の他人になりすますなんて話があり得るのかと疑います。
城戸自身が在日三世なので、本名を伏せたい人についての理解がありました。
しかし、谷口大祐は法的には、間違いなく谷口大祐として暮らしてきたのです。
谷口恭一に話を聞いてみると、大祐の語っていた家族についてのエピソードはおおむね合っており、一層疑問が深まります。
里枝と結婚していた人物は本物の「谷口大祐」ではないことはたしか。
そこで城戸は、その人物を”X”と呼び、調査にのめりこんでいくのでした。
大祐の元恋人 後藤美涼(清野菜名)の話
仕事が落ち着いたころ、城戸は、大祐の元恋人 後藤美涼(清野菜名)のもとを訪れます。
美涼のFacebookから連絡がとれ、働いているバーで話を聞くことに。
里枝と結婚していた”X”の写真をみせると、やはり「谷口大祐ではない」という答えでした。
城戸は、本物の谷口大祐(仲野太賀)の写真をみせてもらうが、”X”とはまるで別人。
美人で性格も良い美涼に愛されていた本物の谷口大祐のことを「いい男なのだろう」と城戸は考えるのでした。
谷口大祐(X)に関する法的手続き
DNA鑑定の結果、”X”が谷口大祐ではないと確定し、法的な手続きがふまれることとなります。
- 「谷口大祐」の死亡届および婚姻届は無効
- 里枝は旧姓(武本)の戸籍へと復帰
その結果、里枝の過去は訂正され、一度しか結婚していないことに。
しかし、事情を知らない息子の悠人は、後のお父さんである”X”を慕っていたため
「苗字を変えたくない。谷口のままでいたい」
といい、涙するのでした。
城戸と妻 香織(真木よう子)の関係
同僚の中北(小籔千豊)との昼食で、なぜだか城戸は妻の香織(真木よう子)とうまくいってないとこぼしてしまいます。
宮崎(里枝のもと)への出張について、香織が不審を抱いた結果、息子に厳しく当たるようになっていたのです。
もともと物事の考え方(死刑についてなど)に大きく違いがあった城戸と香織は、夫婦の営みもなくなっていました。
中北とわかれた城戸は、宮崎で自分がしたあることについて回想をします。
城戸は、はじめて訪れるバーで「谷口大祐」になりすました経験があったのです。
そして、”X”になりすました時間は、城戸に言い知れぬ悦びをもたらしたのでした。
進展しない身の元調査の中で美涼から連絡が
”X”の身元はわからない中で、美涼から連絡が入り、城戸は美術館に誘われます。
谷口大祐探しの相談もあるというので、あってみると、美涼は「谷口大祐」の名前でアカウントを取得。
なりすまし投稿をはじめていたのです。
兄である谷口恭一が「本人が目にすれば、連絡してくるはず」と発案したことがきっかけで。
しかし、恭一にとって「弟探し」は口実。
美涼と関わりを持ち続けることが本当の目的なのでした。
戸籍交換ブローカー 小見浦憲男(柄本明)と面会
同僚の中北(小籔千豊)は雑談をしつつ、無戸籍問題について語りだします。
中北は「”X”は無戸籍者ではなかったのか」とにおわせていたのです。
戸籍に関する資料を調査する中で、城戸は戸籍交換ブローカー 小見浦憲男(柄本明)の存在にいきつきます。
小見浦は、1度目の面会で「谷口大祐」を知っていることをにおわせたものの、すぐには知っていることの全てを明かしません。
「在日っぽくない在日」などといった、城戸の感情を逆なですることを言う小見浦。
城戸は「心理ゲームのつもりなのか」と、小見浦に憎しみに近い感情を抱きます。
そんなやりとりの中で、小見浦は新たな人物「曽根崎義彦」というの名前を教えてきます。
「曽根崎義彦」とは誰なのか?
小見浦に聞こうとするも、もはや面会の依頼には応じてくれなかったのでした。
”X”とそっくりの人物を見つける城戸
クリスマスもせまった頃、杉野という友人の弁護士が関わっている
「確定死刑囚の公募美術展」
へと城戸は足を運びます。
城戸は、作品の一つが”X”の絵によく似ていることに気がつきます。
その絵は「小林謙吉」という死刑囚が描いた絵で、容姿が”X”にそっくりなのでした。
死刑囚「小林謙吉」の罪とは?”X”との関係は?
死刑囚「小林謙吉」は、強盗殺人事件。
つきあいのあった工務店の社長夫婦と小学6年生だった息子、3人を殺害、放火したのでした。
「小林謙吉」には、「原誠」という一人息子がいると、杉野は言います。
しかも「原誠」も、犯罪者になっており、刑務所に…しかも小見浦と同じ横浜刑務所にはいっていたことがわかります。
城戸は「原誠」こそが”X”であると考えるのでした。
城戸の推理は
- ”X”である原誠は、曽根崎義彦と戸籍を交換する
- しばらく曽根崎義彦として生きる
- 本物の谷口大祐と出会い2度目の戸籍交換をした
といったものでした。
しかし、実際に現在の「原誠」として生きている人物に会ってみると「曽根崎義彦」ではなく「田代昭蔵」という別人。
交換交換ブローカーの小見浦は知っているが、”X”のことは知らないと断言するのでした。
Facebookアカウントに警告文を見つける城戸
数か月ぶりに美涼に連絡を取った城戸。
美涼からのメールには
谷口大祐になりすましていたFacebookのアカウントに
「なりすましの偽アカウントを削除してください」
との警告文がきていたのを見つけたと書かれていました。
そして美涼は、それを送ったのが「本物の谷口大祐」本人ではないかと言うのです。
城戸は、警告文をおくってきた人物に連絡を取り、実際に会うところまでこぎつけるのでした。
あらわれた本物の谷口大祐(仲野太賀)
待ち合わせ場所に現れた人物は、間違いなく谷口大祐本人。
しかし、谷口と呼ばれても実感がわかないほどで、「曽根崎義彦」として生きることの方が自然になっていると言います。
谷口家への憎しみも他人事となり、兄の事も「谷口恭一さん」と呼ぶほど。
やはり、”X”は最初「曽根崎義彦」になり、2度目に「谷口大祐」になっていたのでした。
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【ある男】感想まとめ
あらすじということで、これでも、かなりコンパクトにまとめてみました。
このあらすじをきっかけに、原作や映画に興味を持ってくださる方が増えるとうれしいです。
ネタバレはしているものの【ある男】の本質部分は、単純なミステリーではないと私は考えています。
あらすじだけ読むと「戸籍の交換がネタバレだね」で終わってしまいます。
でも【ある男】は、そんな単純なお話ではないのですよ!!!
”X”を含む【ある男】たちの背景や感情、そして信じていた夫や父親の存在が突然揺らいでしまう遺された家族の痛みや苦しみ。
そして、特にショックだったのは、関東大震災の時にあった朝鮮人虐殺事件です。
【ある男】の中には「在日」「朝鮮人」といった、差別用語ともとられる表現が出てきます。
しかし、作者の平野啓一郎さんは、あえてそこに触れることで、私たちに問題提起をしているのかもしれません。
少なくとも私自身は、日本でこのような事件が起きたことを知って良かったと思いましたし、死刑についても改めて考えさせられました。
映画【マチネの終わりに】は、ひどい酷評をされているのも事実なのですが、同じ平野啓一郎さんの作品なので気になるところ。
【ある男】を監督する石川慶さんは「こんなに映画化が難しい小説もそうそうない」と言っているので、映像化したら、どうなるのか…楽しみであり、心配でもありますね。
【ある男】の映画公開は2022年11月18日になります。
まだ時間があるので、公開前に小説を読んでみるのも良いのでは?
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