雑記ブロガーのはちこ @infohachiouji です。
今回は【川っぺりムコリッタ】荻上直子原作のあらすじ・ネタバレ・感想の記事です。
【川っぺりムコリッタ】は、2022年に映画公開(予定)
著者の荻上直子さんは『かもめ食堂』『めがね』『珈琲いかがでしょう』などを監督した方で、新作を楽しみにしている方も多いかと思います。
私は『レンタネコ』を観てほっこりしたばかり。
市川実日子さんが歌う「れんた~ねこ♪ねこねこ」がツボでした。
映画【川っぺりムコリッタ】のキャストなどもチェックしながら、あらすじ・ネタバレ・感想を書いていきます。
映画【川っぺりムコリッタ】のキャストは?
●山田たけし(松山ケンイチ)…主人公の僕。父親不在、母親のネグレクトにより道をはずれていき、刑務所へ。出所後、ムコリッタへやってきた。
●島田幸三(ムロツヨシ)…ムコリッタの住人。山田を「山ちゃん」と呼び、出会ってすぐに部屋にあがりこんでくるような図々しさがある。
●南 詩織(満島ひかり)…ムコリッタの大家さん。娘と共に暮らしている。山田の気になる存在。
●溝口健一(吉岡秀隆)…ムコリッタの住人。息子と共に暮らしている。お墓の訪問販売をしている。
●中島(江口のりこ)…山田の勤務先の先輩。ベテランで、ぶっきらぼう。社長からは、とても信頼されている。
●堤下靖男(柄本佑)…山田に父親の死を知らせてきた役所の職員。
映画【川っぺりムコリッタ】のキャストは、個性的な登場人物にふさわしい方々。
原作を読んだ後ですが、このキャストには「なるほど」と思いました。
大家の南を演じる満島ひかりさんについては、少し妖艶さが足りないかな(笑)
他にも、田中美佐子・薬師丸ひろ子・緒方直人と、ベテラン俳優さんたちがキャストに決まっております。
ムコリッタ(牟呼栗多)とはどういう意味?
作品の中でムコリッタは、アパートの名前になっているのですが、あまり聞きなれない言葉ですよね。
仏典に記載の時間単位のひとつ 一/三十日=二千八百八十秒=四十八分 「刹那」は、その最小単位
原作では、このように説明されています。
ムコリッタの意味、ちょっとわかりにくいかも
もうすこし分かりやすい意味だと
ムコリッタ=「しばらく」「少しの間」「瞬時」
になります。
イメージしやすくなったかな?
それでは、いよいよ【川っぺりムコリッタ】あらすじ・ネタバレに入っていきます。
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荻上直子原作【川っぺりムコリッタ】あらすじ・ネタバレ
物語は、山田たけし(役:松山ケンイチ)が、高校生だった頃の夢からはじまります。
夢の中で山田は、母親から
「お前とはもうこれで終わりだよ」
と、冷たく言われ、2万円を渡されます。
過去を背負った山田はムコリッタへ
山田は、2年間刑務所にいて、半年前に出所した31歳の男。
出所後「大きな川がある地方で働きたい」と、誰も知る人のいない、北陸地方へやってくることに。
紹介された、イカの塩辛工場『沢田水産工業』で働きはじめます。
最初は、工場の倉庫に寝泊まりしていた山田でしたが、社長からアパートを紹介しようと言われます。
山田が「川べりに住みたい」と言うと、社長は『ムコリッタ』という妙な名前のアパートを紹介するのでした。
ムコリッタの正式名称は「ハイツムコリッタ」
1人で、ムコリッタを見に行ってみると、2階建ての木造アパートで、築50年という、ぼろなのでした。
しかし、山田は「ぼろのわりに、掃除は行き届いており、まるで丁寧につかいこまれた古道具」という印象を、ムコリッタにいだきます。
ムコリッタ、なんだか素敵なアパートの予感。
ジャンクガーデンみたいな感じかなぁ。
それから、山田は、大家である南(役:満島ひかり)に会います。
山田は『大家さん=おばちゃんかおばあちゃん』だと思っていたので、ずっと若く、妖艶な雰囲気だった南に、少し慌ててしまうのでした。
島田(ムロツヨシ)に翻弄される山田
鞄ひとつで、ムコリッタに引っ越してきた山田は、はじめての1人暮らしに顔をほころばせます。
お風呂上りに牛乳を飲むのが大好きな山田が、それを堪能していると、隣の部屋の島田幸三(役:ムロツヨシ)が、挨拶にやってきました。
突然のことに戸惑いながら挨拶を返した山田にたいし、島田は
「うん、普通はね、引っ越してきた方が挨拶するよね。菓子折りのひとつでも持ってきてさ」
と言います。
実際のところ島田は、挨拶にきたというよりは、給湯器が壊れたためお風呂を借りにきたのです。
「絶対に嫌だ」と思った山田は、島田をなんとか追い出したのでした。
島田の図々しさと憎めない感じは、まるでムロツヨシさん!
イカの塩辛工場に勤め始めて2週間。
山田は、仕事には慣れたものの、あまりにも単調な作業には飽きていました。
前に辞めた人のおさがりの制服は、サイズが合わず、ダブダブのまま着ている状態です。
山田は
「そのうち辞めると思われているから、新調してくれないのだろうか?」
「なら、辞めてしまおうか」
と考えてしまうのでした。
山田の父親が孤独死 山田は遺骨をどうする?
ムコリッタへ戻ると、大家の南さんが、少女と共に階段をおりてきました。
挨拶をしても、南さんは不愛想。
少女に手を振り、自転車で去って行ってしまいます。
郵便受けを山田が確認すると、そこには、かつて母と住んでいた町の隣の市の福祉課からの手紙が届いていました。
嫌な予感がする山田。
難しい漢字だらけの手紙で、内容がいまひとつ理解できない山田は、公衆電話へ向かい、福祉課に連絡をとります。
話を聞いて混乱した山田でしたが、聞こえてきた矢代大輔という名には覚えがありました。
給料日まで残り2日ですが、お金が数円しか残っていない僕は、あまりの空腹に死にたい気持ちに。
そんな中、食べ物を得るために万引きをしていた子どもの頃、そして矢代大輔について思い出します。
福祉課からの連絡は
矢代大輔が孤独死をし、遺骨をあずかっているので引き取ってもらいたい
という内容だったのです。
矢代大輔について、ほとんど記憶がない山田ですが、どうやら父親らしいということはわかっています。
父親不在のせいで、絶望的な少年時代だったと思う山田は「引き取る義務はない」と考えます。
自分も孤独死するのかと笑っていると、隣人の島田が庭でとれた野菜をもってきてくれました。
山田は泣きながら野菜を食べるのでした。
★
島田の野菜のおかげで、なんとか給料日を迎えることができた山田。
明細の他に、ぴったりなサイズの作業着を渡してもらった山田は、ほっとします。
ムコリッタへ戻り、買ったお米でご飯を炊いている間、山田は階段で涼むことに。
そこへ、上から201号室にすむ溝口健一(吉岡秀隆)が、息子と一緒におりてきて、はじめて挨拶をかわすのでした。
★
炊きあがったご飯を、工場でもらってきた塩辛で食べた山田は、幸せをかみしめます。
ふと、塩辛がもう一瓶あったことを思い出し、山田は「野菜のお礼に」と島田のもとを訪れてみました。
しかし、島田は「それより風呂貸して」と、今度は強引に入ってしまうのでした。
別の日には「畑を手伝って」と言われ、断ったはずなのに、いつの間にか山田は、島田のペースにはまっていきます。
ミニマリストだと自分を語る島田と話しているところへ、島田の幼なじみだというガンちゃんも手伝いにきました。
ガンちゃんは、目つきが悪く、ガタイも良い男で、山田は悪い奴に違いないと考えます。
しかし、ガンちゃんの正体は、お寺のお坊さんだとのこと。
農作業を終えると、ガンちゃんはすぐに帰ってしまい、山田とは一言も口をきかないままだったのでした。
島田の言葉から父親の遺骨をひきとる山田
畑仕事の後、お風呂に入りさっぱりして出てくると、島田もすっかりくつろぎモード。
島田とガンちゃんとお寺の話題になり、山田は父親の遺骨の話をします。
「遺骨を引き取るとお金もかかるし、引き取る義務もない」
という山田に、島田は
「山ちゃんの父親がどんな人だったとしても、いなかったことにしちゃダメだ」
と強く言うのでした。
工場で仕事中、島田の言葉を思い出した山田は、具合が悪くなり、座り込んでしまいます。
そんな山田の背中を力強くさすってくれたのは、ベテランの中島さん(役:江口のりこ)なのでした。
翌日、体調不良を理由に休みをもらい、山田は父親の遺骨がある市役所へと、長距離バスで向かいます。
道中、母親の事や自分の過去について、山田は回想します。
万引きをしたり、喧嘩で仕事をやめさせられたりと、問題だらけの人生を歩んできた山田。
いよいよ20代後半になり、日雇いのバイトがなくなった山田は、とうとうオレオレ詐欺の受け子をして逮捕。
万引きをした過去もあったため、刑務所に入ることとなったのでした。
役所で渡された父親の遺留品。
中を確認すると、たった数百円しか残高の残っていない通帳がありました。
役所の人から、父親が生活保護を受けながら、清掃員をしていたと知ります。
父親の享年は58歳でした。
遺骨の保管場所についていくと、そこには、想像以上にたくさんの骨壺が並んでいて、山田は驚きます。
無縁仏は1年すると、共同墓地に埋葬されるとの話でした。
ということは…市役所のどこかには、たくさんの骨が保管されている?!
想像もしていなかったので、私も驚きました。
帰りのバスの中
「父親のような男の人生は、この辺で終わって良かったのかも」
と、山田は考えます。
しかし、そこで自分も、まるで父親と同じ状況であることに気がつき
「自分もひとりで、こんな風に死ぬのか」
と恐怖するのでした。
山田の父が最後に電話をかけたその先とは?
次の休日、山田は、粗大ごみから拾ってきた棚をきれいにし、そこに遺骨をおさめます。
それから、大家さんの南のところへ、家賃を支払いに行くことに。
すると南さんは、お駄賃にとキャラメルをくれて、少しだけ娘のカヨコの話をします。
もう少し話をしたかった山田ですが、「じゃ、ごめんください」とあっさりドアをしめられてしまい、やるせない気持ちに。
そして、まったく見かけたことのない、南の夫について、ほんの少し妄想してしまうのでした。
島田は、あいかわらず図々しく、ご飯が炊きあがるタイミングをみはからったように現れます。
父親の遺骨に目を止めた島田は
「山ちゃん、えらいよ」
と、手を合わせます。
ちゃっかりご飯を食べ始める島田に、山田は溝口親子のことを聞いてみます。
すると島田は、溝口健一(役:吉岡秀隆)が、訪問販売で墓石を売っており、奥さんはとっくに家を出て行ってしまったとのこと。
思い切って、南さんの夫の事も聞いてみると
「南さんの夫は、5年ほど前にがんで亡くなった。しかし、南さんは今も夫一筋なのだ」
と、島田は教えてくれたのでした。
★
真夜中の事、またもや子どもの頃、ひもじかったことを思い出していると、ふと遺骨の入ったツボがめにとまります。
父親の遺品の中から、携帯電話を取り出した山田は、最後にかけた番号、それも何度もかけた記録の残っている番号を見つけます。
公衆電話から、その番号にかけてみると、つながった先はいのちの電話。
山田は父親の人生をおもい、さらには自分についても、これからどうなるのだろうと考えるのでした。
大家の南(満島ひかり)衝撃発言!「妊婦のお腹を蹴りたくなる」
仕事からムコリッタへ帰る道、山田は南さんにであいます。
南さんは、なぜか高圧的に
「山田さん、アイス食べますか?」
と、聞いてきて、有無を言わせない雰囲気。
アイスを食べていると、南さんは
「妊婦の大きな腹を見ると、つい蹴りたくなる」
と、衝撃的なことを言いだし、僕はアイスを落としそうになります。
「妊婦を見ると、人間は動物なんだと思わされて、気持ち悪くなる」
これが、蹴りたくなってしまう理由のよう。
それを聞いた山田は、人間て怖いと思いながらも、南さんの言っていることをすべて理解したいと思うのでした。
南さんは子どももいるのに、びっくり発言!
荻上直子さんの映画は、ゆるゆるした雰囲気なのに、人間の怖さが垣間見える表現が、チラチラあったのを思い出しました。
映画の中での南が、どんな風に描かれるのか、気になりますね。
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ムコリッタに幽霊が!?その人物とは
南さんが、さっさと自転車でさってしまい、もやもやした気持ちでムコリッタに帰ると、またもや島田がご飯を食べにやってきました。
父親の遺骨について、島田に話している途中、山田はふと思い出したことについてたずねます。
「この間、花壇の前で、白髪のおばあちゃんに会いました。103の人ですか?」
これを聞いた、島田は青ざめて、どんな人だったか聞いた後
「亡くなったの2年前」
と、怯えるのでした。
★
その夜、山田は、むしょうに父親の遺骨が怖くなってしまい、パニックのあまり、川に捨ててしまいそうになります。
ギリギリのところで、なぜかガンちゃんがあらわれ、山田の事を睨みつけたため、山田は遺骨を捨てずにすみました。
翌日、遺骨の件を知った島田に
「遺骨はそのまま捨てると犯罪だよ」
と教えられギョッとしていると、どこからかすき焼きのいい匂いがただよってきました。
201号室の溝口の部屋からだとつきとめた島田は、山田をまきこみ、強引に部屋へとはいりこみます。
そこへ、南さん親子も登場。
すき焼きをいただきながら、例のおばあちゃん幽霊の話に。
幽霊の正体は、岡本さんという近所で美容室をしていたおばあちゃんで、南さんの祖母の友人。
溝口もよく岡本さんに
「ちゃんと息子の世話をしろ。子どもはみんな宝物だ」
とお説教をされたと、思い出話に花が咲きます。
みんなの話を聞いているうちに、死んでからもみんなに慕われている岡本のことを、幽霊でもあまり怖くなくない気がしているのでした。
山田の過去をしった島田の態度が豹変?!
島田が夕飯を食べに来るのは、すっかり当たり前のように。
山田自身も、島田の畑を手伝ったりと、すっかりムコリッタの住人と打ち解けてきています。
最初は怖がっていたガンちゃんの事も、島田に「怖くない。いいやつ」と言われ、一緒に飲みに行ったりするようにもなっていました。
しかし、そんなある日の事、島田が急にご飯を食べにこなくなりました。
畑仕事をしていた島田に、手伝う準備をして声をかけると、明らかに様子がおかしいと思う山田。
島田はどこからか、山田が前科者だと聞いてしまい、そのような態度になっていたのでした。
翌日、工場での仕事に集中できない山田は、包丁でざっくりと手を切ってしまいます。
中島(役:江口のりこ)に手当をしてもらい、お昼休憩をとっていると、社長が心配してやってきました。
前科について語る山田に社長は
「仕事、今やめるな。辞めたら振り出しに戻る」
と社長命令を出してくれたのでした。
閲覧注意【川っぺりムコリッタ】ラストネタバレ
島田が夕飯にこなくなって数日、山田は
「もう島田とは関わらないし、島田の事はかんがえたくもない」
と思います。
次の休みの日、再び山田は、父親の遺骨を引き取った時の担当者 堤下靖男(役:柄本佑)のもとを訪ねていきます。
「父は自殺したのでしょうか?」
と質問した山田に、堤下は
「お父さんの住んでいた場所へ一緒に行ってみませんか」
と提案。
外から部屋をながめながら、堤下は山田の父親の死亡状況について、知っていることを話してくれました。
そして山田は、父親が亡くなった時、お風呂上りだったのか、下着だけを身につけており、そばのテーブルには牛乳があったと知ります。
山田もお風呂上がりの牛乳が大好きだったよね!
変なところで、父親と似ており「やっぱり父親でした」と笑ってしまう山田。
ムコリッタのある街へ帰ってくると、安心し
「また自分の部屋でご飯が食べられると思ったら、それだけで十分だ」
と思います。
島田はと言うと、なんやかんやあった後、山田のところへ謝りにきました。
そして
「頭が悪いからたくさん騙されて、お金もとられたことがあったから、山ちゃんのことを聞いて、怖くなっちゃって」
と、説明するのでした。
南にも前科の事や、今の気持ちを打ち明けた山田は、涙がとまらなくなってしまいます。
そんな山田の頭を抱き寄せ、優しくなでながら、南は
「お葬式しましょう。お父さんの」
と言うのでした。
ラスト、山田はムコリッタの住人とガンちゃんとともに、土手に向かいます。
そして、粉々の父親の遺骨を風に乗せ、父を弔うのでした。
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荻上直子原作【川っぺりムコリッタ】感想
一言で言うと【川っぺりムコリッタ】は、あらすじの書きにくい作品でした(笑)
それと、荻上直子さんの原作は読んでいて、映画そのものが文字になった感覚があります。
どこかずれているような、それでいて普通の人の日常を、ゆるゆると描く感じ…
荻上直子さんの映画をみたことがある方なら、何となくわかっていただけるのではないかと思います。
でも、よく考えてみると【川っぺりムコリッタ】には
- 前科
- 孤独死
- ネグレクト
こんなに重いテーマが詰まっています。
主人公の山田は、間違いなくトラウマを抱えています。
読み進めると、結局ムコリッタの住人みんなが、何かを抱えて生きているのです。
それって、ある意味、私たちにも当てはまること。
そこそこ生きてきて、何も抱えずにいられる人は、多分いないはず。
だけど、他人から見たら、よっぽど外にあらわさないかぎり「普通の人」に見えますよね。
荻上直子さんは、普通に見える人の抱える重いものを、最後には軽くしてくれる表現者だなと感じました。
映画【川っぺりムコリッタ】の監督・脚本 も、荻上直子さんがてがけます。
公開が楽しみですね。
原作はAmazonでも試し読みが可能なので、気になる方はチェックしてみてください。