青崎有吾氏原作『ノッキンオン・ロックドドア(ノキドア・ノキオン)』が松村北斗(SixTONES)×西畑大吾(なにわ男子)のW主演で2023年7月にドラマ化!監督は『トリック』の堤幸彦氏が手がけます。
ノッキンオン・ロックドドアは、基本的には短編小説ですが
巻き毛&黒のタートルネックが特徴の【不可能】専門探偵・御殿場倒理(松村北斗)がなぜ真夏でもタートルネックを着用、首を隠し続けているのか?
などは秘密になったまま1はラストを迎えます。
この記事ではドラマ放送前にノキドアの内容をネタバレ。続編2で明かされる倒理(松村北斗)と氷雨(西畑大吾)の秘密に迫ります。
結末を知っておいて伏線回収したい方向けの記事です。
長文なので目次の活用をおすすめします。
>>青崎有吾原作ドラマ【早朝始発の殺風景】ネタバレあらすじ感想
ノッキンオンロックドドア登場人物(キャスト)
御殿場倒理(松村北斗)
密室、容疑者全員アリバイ持ち――不可能(HOW)犯罪専門の探偵。悪魔のような巻き毛&黒のタートルネックが特徴。
片無氷雨(西畑大吾)
ダイイングメッセージ、奇妙な遺留品――不可解(WHY)犯罪専門の探偵。スーツ姿の「地味眼鏡」が特徴。
穿地決
警視庁捜査一課の警部補。駄菓子ばかり食べている。倒理と氷雨とは大学で同じゼミだった。
糸切美影
犯罪トリックを考案する事務所『チープ・トリック』を経営。倒理たちと同じゼミに所属。
薬師寺薬子
探偵事務所ノッキンオン・ロックドドアの女子高生アルバイト。
その他の主な登場人物
- 神保剽吉 依頼人をあっせんする仲介屋。腕は良い。
- 小坪清太郎 穿地決の部下。新人刑事。
- 天川孝四郎 倒理・氷雨・穿地・美影が在籍していたゼミの教授。
ノッキンオンロックドドア(ノキドア)原作ネタバレあらすじ
ノッキンオン・ロックドドア|親子の確執と恨み
あらすじ
御殿場倒理(松村北斗)と片無氷雨(西畑大吾)が共同経営する探偵事務所『ノッキンオン・ロックドドア』のドアが叩かれます。
「ノックのし方でどんな客かわかる」
そんな倒理のアイデアで事務所にはインターホンもドアチャイムもノッカーもついていませんでした。
来訪者はノック音から予想した通り、年配女性の依頼人。名前は霞蛾水江でした。水江の依頼は、その日の朝9時ごろに、夫である画家霞蛾秀夫が殺された件の調査だそう。その事件は不可解で不可能だと言います。
密室殺人事件と真っ赤に塗りつぶされた風景画
事件の朝、20歳の息子竜也と朝食中、画商三越がやってきます。「秀夫と打ち合わせがある」という三越は竜也と一緒に秀夫のアトリエへ。扉越しに声をかけても返事がありません。
秀夫は鍵嫌いでしたが、ノブを引いても扉は開きませんでした。鍵は簡易的なものだったため、定規を使いアトリエの中へと入ります。そこには背中をナイフで刺された秀夫の死体がありました。
天窓ははめごろし、ドアには鍵がかかっており、密室殺人事件ということに。その上、事件現場には1枚だけ真っ赤に塗りつぶされた風景画が残されていました。
犯人と結末をネタバレ&感想
犯人は息子の霞蛾竜也でした。美大生で絵の道を目指していた竜也は、「青の作家」と呼ばれるほどの有名画家である父親と作風の件で揉めていたことが殺害の動機でした。
絵を真っ赤に塗りつぶしたのは、廊下の赤い絨毯の下に置くことで、竜也は父親の絵を三越に踏ませるという目的がありました。密室はトリックではなく、あくまでも副産物だったというわけです。
父親を殺しただけでは飽き足らず、絵画を”踏み絵”にまでするとは、竜也の恨みがいかに深いものだったか伝わります。
手前に引くタイプの扉だったため、絵画の上に赤絨毯をかぶせ厚みが出た+2人分の体重が乗ったことで、鍵がかかっていなくても扉は開かなかったというわけです。
1つ引っかかるのは、120キロもの体重が乗っても絵画は壊れないのでしょうか?
単純なトリックだけに成立するかが気になるところです。
髪の短くなった死体|重なり合い複雑化した犯罪
あらすじ
『ノッキンオン・ロックドドア』に太鼓のようなノックの音が響きます。事務所の女子高生アルバイト薬師寺薬子でもわかるノックの主は、事件の仲介屋神保剽吉。神保の持ってきた不可解な担当する刑事は、御殿場倒理(松村北斗)と片無氷雨(西畑大吾)の友人穿地決でもありました。
髪を切られ下着姿で発見された遺体
神保の持ってきた事件は、メンバー4人だけの劇団『キクラゲ』のリーダー善田ミカの絞殺事件。ミカは下着姿のまま自室の浴槽で発見されましたが、乱暴の形跡はありません。さらに
遺体から髪をバッサリ切られ、持ち去られる
と不可解な状況もありました。
容疑者は、確かなアリバイのない劇団員
- 西辺兼 第一発見者。事件時は自宅に。
- 古井戸さわ子 事件時は自宅で爆睡中。
- 奥寺幸次 被害者ミカの恋人。事件時は下北沢をぶらついていた。
の3人にしぼられます。
髪は絞殺の凶器?
善田ミカの髪の毛は首を絞める凶器に使われたため、切って持ち去られたのだと氷雨は推理します。犯人の指には、髪の毛が食い込んだことによる傷があるはず。これで事件は解決と思いきや、容疑者3人ともにキズがありませんでした。
犯人と結末をネタバレ&感想
犯人はミカの恋人奥寺幸次でした。とは言え奥寺は、被害者でもあったのです。最初に奥寺を殺そうとしたのはミカで、息を吹き返した奥寺に返り討ちにされてしまったというのが真相でした。
ミカの髪が短かったのは、中性的な容姿の奥寺に変装するため、自分で髪を切ったから。服を脱いでいたのも、変装の過程でした。
ミカがなぜ奥寺を殺そうとしたのかは、倒理が推測しただけで、はっきりしません。
口論から大喧嘩になり、手近にあった梱包用のビニール紐でミカは奥寺の首を絞めたのだろうと推理しているのですが…だとしたらミカの手にこそ傷が残っているはず。
それを警察が見逃すとは思えません。
元気な状態で女性に殺されかけた奥寺が、ダメージを追ったままミカに反撃、絞殺できるのかも疑問が残ります。
ドラマで筋の通った説明がされると嬉しいですね。
ダイヤルWを廻せ!|上下
あらすじ
「祖父の遺した金庫を開けて欲しい」という依頼が舞い込みます。金庫の中身は貴重な雑誌のコレクション。遺書に書かれた開錠する番号を廻しても開かないとのこと。依頼人長野崎仁志は、これが祖父の挑戦状ではないか?と言います。
30分後、『ノッキンオン・ロックドドア』には「父親の死に方がおかしいから調べて欲しい」と言う依頼人島津奈津子の姿がありました。
1つの事件を2人で解決するのが常ですが、薬子の提案で金庫の件は氷雨(西畑大吾)、老人の死については倒理(松村北斗)が担当することに。また氷雨には薬子が代理の相棒としてついてきました。
つながる2つの事件
長野崎仁志の案内で到着したのは「川藤家」。亡くなったのは仁志の母方の祖父でした。川藤家には、遺品整理に来た叔父川藤晴雄の姿も。氷雨は晴雄がギャンブル好きの作業員だと当てて、晴雄を驚かせます。
そんな晴雄は、探偵まで雇って金庫を開ける必要はないと考えているようでした。
- 金庫がすり替えられた
- 番号は実は暗号化されている
など考察を繰り広げますが、金庫はあきません。そんな時、氷雨は飾られた家族写真の中に、島津奈津子が写っているのを見つけます。島津奈津子は仁志の伯母、つまり奈津子が依頼してきた「父の死」というのは、長野崎仁志の祖父である川藤栄太郎のことだったのです。
犯人と結末をネタバレ&感想
島津奈津子の感じた通り、川藤栄太郎は他殺であり、犯人は川藤晴雄でした。ギャンブルでお金に困った晴雄は父親の部屋から金目の物を盗み出そうとして見つかり、殺してしまったようです。
床の血痕を隠すために金庫をひっくりかえしたことで、開錠出来なくなったというのが真相でした。
ミステリー好きだと遺書×数字=暗号だと思ってしまいますが、単純に金庫の上下が逆だっただけとは!シンプルなだけに気がつかないトリックです。
亡くなった川藤栄太郎は、大切な本には家族も近づけないほどだったので、仁志が「おじいちゃんの挑戦状に違いない」と思っても無理はありません。
仁志と奈津子には家族の犯罪を暴く皮肉な結末になったのに、倒理と氷雨は事件を笑いながら語り、薬子はうまい棒を食べている描写が「普通じゃない人たち」を表しているようで、少しゾッとしました。
チープ・トリック
あらすじ
糸切美影の考案する事件が発生
穿地から「現場に来い」と有無を言わさない電話が入ります。個人情報流出事件を起こしたばかりの大手通信教育会社「花輪ゼミ」の重役湯橋甚太郎が自宅で狙撃死したとのこと。
妻の佳代子によれば、住み込み家政婦の近衛にお茶を入れさせていた時に、2階からドサリと人が倒れる音がしたとのこと。「夫は”殺されるかもしれない”と用心し、窓際には近づかなかった」と証言します。
倒理と氷雨はこの事件を「不可解で不可能」と考えますが、穿地は
「誰がトリックを仕掛けたかわかっている」
と言うのです。
証拠品には糸切美影のお気に入りのバンドチープ・トリック 「今夜は帰さない」の歌詞が残されていました。
美影と氷雨
美影が単純でありながら難解な謎を考案することを知っている倒理と氷雨はトリックを解明できずにいました。
倒理が現場を再訪するのに対し、氷雨は別行動をします。氷雨が向かった先は、なんと美影が週一で通う古本屋でした。
学生時代、ある事件がきっかけで行方不明となっていた美影ですが、1年ほど前に氷雨は古本屋でばったり彼と会ったのです。
氷雨は事件のトリックを聞き出そうとしますが、美影はヒント程度しか話しませんでした。
犯人と結末をネタバレ&感想
犯人は主要な登場人物の中にはおらず、流出事件による摘発を恐れた名簿業者が狙撃犯を雇って行われたものでした。
窓に近づかないはずの湯橋甚太郎を射殺できたのは、彼が蛍光灯交換をするためにスツールにのったから。第一発見者となった家政婦の近衛は、佳代子に責められるのを恐れて死体を移動。スツールと蛍光灯を隠したため、事件が複雑化してしまったのです。
犯罪のトリックを考案する糸切美影のことを穿地は「元友人だから」と逃しているわけではなく、むしろ「殺したい」ほど憎んでいるよう。美影によれば、氷雨は倒理に殺されたがっているんだとか。
4人の過去には「誰かの死」がからんでいるとしか思えません。
いわゆる一つの雪密室|短気は損気
あらすじ
雪の中の他殺死体
仲介屋が神保剽吉が不可能としか思えない事件をもってきます。雪が積もる空き地の真ん中で、心臓を刺された茂呂田勝彦が死体で発見されたのです。死体までの足跡は1本だけでした。
第一発見者は茂呂田勝彦が経営する研磨工場の従業員与島哲史。哲史は2階の自室から倒れている勝彦を発見し、証拠写真を撮ってから、勝彦の元へ近寄ります。その時、勝彦は死後数時間の状態でした。
死体の向きから、勝彦はどうやら空き地をはさんだ向かいにある弟俊彦の家へ向かっていたようだと推理します。
険悪な兄弟仲
もう1人の従業員大友盛夫によると、兄弟は経営のことで険悪な仲だったとのこと。しかし氷雨は
犯人は凶器の包丁を持ち出せた従業員2人のどちらかだ
と推理します。しかし、足跡のトリックはまだわからないままでした。
犯人と結末をネタバレ&感想
この事件に犯人はいませんでした。勝彦が包丁を持って俊彦の家へ向かう途中に転んだだけだったのです。それなら足跡が1本だったのは当然です。
勝彦が持って出た包丁は食洗器により熱かったため、彼の指紋は雪で洗い流される結果に。このことが事件をわかりにくくする原因となってしまいました。
勝彦が事故死したのは自業自得ですね。本気で俊彦を刺そうとしたのではなかったとしても、兄弟げんかで包丁を持ち出して脅すのは、既に犯罪です。
それにしても、食洗器で熱い包丁を素手で持ち出せるのでしょうか?
調べたところ食洗器の洗いとすすぎは60~80度、乾燥は90度近くなるようです。
乾燥までいってたら火傷しますね。
十円玉が少なすぎる|推理が現実に
あらすじ
薬師寺薬子のお題
依頼人がなく暇なある日、薬師寺薬子は倒理(松村北斗)から「面白い謎はないか?」と聞かれます。薬子は探偵たちにちょっぴり意地悪をしてみたくなり、朝の出来事を語ります。
「十円玉が少なすぎる、あと五枚は必要だ」
通学中、お洒落な雰囲気の30代くらいの会社員がスマホで話していたというのです。これだけの情報から男性が何をしようとしていたのか推理する…これが薬子のお題でした。
携帯電話があるのに公衆電話を使う理由
考察の結果、十円玉は公衆電話で利用するのではないかとまとまります。では携帯電話があるのになぜ公衆電話を使わなければならないのか?
公衆電話なら身元が隠せる=犯罪を企てている
という結論に至りました。
結末のネタバレ&感想
- 電話をかける先は複数である
- 名字だけ知っている相手を探している
- 平日の昼間に電話をしようとしている⇒相手は主婦の可能性が高い
ここまで推理をして、倒理と氷雨は笑い出します。2人は酔っぱらっており、薬子はからかわれていたのです。ところが、突然やってきた穿地が近隣で主婦の絞殺死体が見つかったと話します。
その主婦は殺人事件の目撃者でした。
10円玉が必要=公衆電話はすぐにわかったのですが、何のために必要か?までは考えつきませんでした。
被害者の主婦は、運悪く苗字を書いたポイントカードを現場に落としてしまったのです。
穿地によれば、犯人逮捕の手がかりはほとんどない状況とのことですが、2人の推理により薬子が見たオシャレな会社員が容疑者決定です。
この件をお題にした薬子のお手柄でもありますね。
限りなく確実な毒殺|ノキドア1巻最終話
あらすじ
パーティー会場での毒殺事件
不正がばれて辞職したことがある元衆議院議員の外様寛三がパーティーのスピーチ中に毒殺されます。使われた毒はロミオトキシン。摂取後30分程度で効果が出る神経毒によるものでした。
毒はこぼれたシャンパンから検出されますが、外様が無造作にグラスを選んでいる様子が映像に残っています。しかし穿地はトリックで外様は毒を飲まされたのだと断言します。
残されたチープ・トリックのメモ
パーティー会場入り口にはロミオトキシンの入った小瓶と一緒にチープ・トリック『バステッド』の歌詞が残されていました。
事件のトリックを考案したのは糸切美影に違いありません。聞き込みと考察をした末、倒理(松村北斗)は誰かに誘導された外様本人が自ら毒を入れた可能性を指摘。そんなことが出来るのは秘書の浦和敬人しか考えられませんでした。
ところが穿地により秘書犯人説はあえなく崩れ去ってしまいます。外様が自分で毒を入れた姿など誰一人見ていなかったのです。
犯人と結末をネタバレ&感想
犯人は外様の事務所で送迎係をしていた堀田という男でした。堀田は不正が発覚した際、その罪を外様から押し付けられそうになったことを恨んでいたのです。
毒はシャンパンに仕込まれていたのではなく、床に塗られていました。堀田は前もって車内用の服薬セットに細工をし、毒を飲ませていたのです。スピーチの流れを知っていたからこそ出来たことでした。
倒理・氷雨・穿地・美影が同じ大学のゼミ生だった4年前に何らかの事件が起き、美影はすでに謎を解いているということが1巻ラストでわかります。
また氷雨は「倒理と自分の関係は打算的」だとも考えています。
2人は共に謎を解きたくないという点で一致し、一緒にいるのかもしれません。
事件後、行方不明になっていた美影が氷雨の前に現れたのは偶然なのか?
穿地が関わるであろう事件に、自分の痕跡を残す理由とは?
具体的には何もわからないまま続編2へと続きます。
穴の開いた密室|続編2の第1話
あらすじ
大穴の開いた殺人現場
ノッキンオンロックドドアを志田と名乗る中年男性が訪れます。近所の友人石住茂樹に工具を借りに行った際、死んでいるところを発見してしまったとのこと。どうやら他殺のようだと語ります。
現場となった作業場の離れには鍵がかかっており、窓ははめ殺しでしたが、裏の壁には大きな穴が開いていたんだとか。石住家には妻多香子と娘奈保、それに弟芳樹と甥健斗が仮住まいをしているところでしたが、誰一人作業場の異変に気がついた者はいませんでした。
石住茂樹は、DIYで作っていたテーブルの上で、首に大きなプラスドライバーを刺されて死亡していました。また扉の前には緑色のペンキがこぼれており、缶も放置されていたことが写真によってわかります。
缶にラベルがついていなかったことから、中身がペンキであると知っている家族が犯人であると絞られました。
家族のアリバイ
- 妻 多香子 体調不良で寝ていた
- 弟 芳樹 滝を見に散歩へ
- 娘 奈保 キッチンでテレビを観ていた
- 甥 健斗 キッチンでテレビを観ていた
家族の証言を聞いた倒理は、アリバイがなくチェーンソーを扱えたであろう芳樹を犯人だと断定します。しかし氷雨は「なぜ大穴を開けたのかがわからない」と賛同しません。
そして穴が大きすぎることこそ解決の糸口だと気がつくのでした。
犯人と結末をネタバレ&感想
犯人は健斗と奈保の共犯でした。壁の穴がやたらと大きかったのは、死体を小屋へ入れるためだったのです。制作途中と思われたテーブルはすでにキッチンに運び込まれており、2人は死体ごとテーブルを運び込むため大穴を開けなければならなかったというわけ。
動機はいとこ同士で恋愛関係にあることを知った石住茂樹が激怒し、もみ合いになった結果だろうというのが氷雨の推理でした。
いとこ同士の結婚は法律上許されているものの「近親婚」となり医学的なリスクもあるため、父親が激怒してしまう気持ちはわかります。
ちなみに最初に犯人と疑われた弟の芳樹には立派なアリバイがありました。
実は芳樹はこっそりYouTuberをしており、動画を撮影していたのです。
どんな動画かは何となくわかりますよね(笑)
時計にまつわるいくつかの嘘|決して狂わない時計が止まったのは
あらすじ
容疑者にアリバイあり
仲介屋の神保剽吉が、不可能犯罪事件を持ってきます。殺されたのはぬいぐるみ修理業者に勤める奥森涙24歳。死体は公園で発見され、強姦や強盗の形跡はありませんでした。
容疑者は恋人の塚越大悟25歳。2人の仲は悪かったとの証言もあります。現場には塚越のネックレスも落ちていたのですが、奥森涙の時計が壊れていた7:40に塚越はライブで演奏中だったのです。
奥森涙のしていた時計は時差を自動修正し決して狂うことのない高性能電波時計「シュトラウス」でした。
塚越に会いに行くと、目は赤くはれており「(恋人が死んだのは)自分のせいだ」と落ち込んでいる様子。ネックレスを届けようとして誰かに襲われたのだと言う塚越を、氷雨(西畑大吾)は信じませんでした。
ぬいぐるみ修理工房「アクアウッド」社長の証言と時計の謎
奥森涙の働いていたぬいぐるみ修理工房「アクアウッド」社長水木里資は「涙は乱暴なバンドマンの恋人と別れたいと言っていた」と証言します。警察はあくまでも通り魔事件として捜査。
しかし実物の時計「シュトラウス」を見た倒理(松村北斗)は「賭けは俺の価値だ」と自信満々に宣言するのでした。
犯人と結末をネタバレ&感想
犯人は、奥森涙に片思いをしていた水木里資でした。シュトラウスは水木のプレゼントしたもので、殺される1か月ほど前から壊れていたのです。奥森涙は水木の前でだけ時計を内側にして着用、壊れていないかのようにふるまっていました。
ところが水木は時計が壊れていることに気がつきます。原因が彼氏との喧嘩だと聞いた水木は、別れるように迫りますが、奥森涙は拒否。嫉妬のあまり水木は彼女を殺害してしまったのでした。
人前で大喧嘩をするほど荒れていても別れる気はないカップルはいますよね。
高額な時計をプレゼントしたくらいで恋愛感情を抱いてもらえるなら苦労はしません。
勝手に横恋慕され殺された奥森涙がかわいそうすぎます。
ちなみに、氷雨がしている文字盤がドクロの時計は倒理からの誕生日プレゼント。
ドラマに登場するか気になっています。
穿地警部補、事件です|他殺に見せかけた自殺
あらすじ
老人の目撃証言
元新聞記者でニュースサイト「ベイサイド・ジャーナル」代表武藤勢一がマンションの7階から転落死します。武藤が局長の学友だったことから、砂貝真事参事官の親戚である穿地は「事件性なし」に持ち込むよう指示されたものの、自分のやり方で捜査を進めます。
向かいの老人ホームに住む目撃者によれば、武藤が転落した時間の10分ほど後、髪の長い女性が身を乗り出していたそう。武藤は屈強な体つきの男で見間違えとは思えませんでした。
階数の違いと古典的トリック
事件の事を聞いた倒理(松村北斗)と氷雨(西畑大吾)は8階の住人が犯人だと口を揃えます。目撃者の老人は車いすだったため、7階ではなく8階を見ていたというのです。身を乗り出していた髪の長い女性はトリックを実行中だったとも。そのトリックとは、
テーブルの脚に糸をかけ、8階から7階に鍵を滑り落して密室を作る
という古典的なトリックでした。
湖山小百合の自供
武藤勢一の上に住む湖山小百合にはアリバイがないだけでなく、かつて武藤の部下として働いていた過去がありました。穿地の質問により、あっさり湖山小百合は自供をします。
無理やり関係を持たされるほどのセクハラをされていた湖山小百合は、警察に訴えたものの、取り合ってもらえなかったとのこと。これは、上層部が事件性なしにしたかった理由だと穿地は気がつきました。
5年の月日が経ち、武藤と鉢合わせしてしまった小百合は怒りのあまり部屋へ上がり込み、勢いでベランダから突き落としてしまったと説明。殺すつもりはなかったが「あいつは殺されるべきだった」という気持ちは変わらないようでした。
「殺したいと思った男はいない?」
小百合から問いかけられた言葉で、穿地は糸切美影のことを考えます。本来被害者である小百合が間違ったことをしたとは思えない…それが穿地の本心でした。その時、穿地は現場のベランダの排水管に、ちぎれたアイビーのツルを見つけます。
犯人と結末をネタバレ&感想
武藤勢一を殺した犯人は湖山小百合ではありませんでした。
ここ数年、セクハラやジェンダー問題に取り組んでいた武藤勢一は、責め立てる小百合に謝罪をします。しかし小百合は彼を許せず「死んで償え」といった言葉を浴びせてしまいます。その結果、武藤勢一は自殺をしてしまったのです。
アイビーのツルは、武藤が自殺する際、テーブルから床へと鉢をおろしたために引きちぎれて残ったものでした。
武藤の自殺に気がついた小百合はベランダのテーブルに遺書らしきものを見つけます。そこで上から物干し竿とブラジリアンワックスを使用し、遺書を回収。小百合は武藤勢一の悪事を公にし「最悪の男」として世間に知らしめたかったのです。
ひどいセクハラをしていた男が、ジェンダーやセクハラ問題に向き合ったからと言って過去の自分を恥じて自殺するほど心を入れ替える…という設定がファンタジーに思えてしまう私は汚れ切っているのでしょうか(笑)
死んだ男の悪事を公にするために、やってもいない殺人の罪を着ようとする小百合の行動も理解できません。
自分の常識と言う物差しでははかれない人が、世間にはたくさんいるのかもと考えると、ゾッとする作品でした。
消える少女追う少女|普通の少女はなぜ消失したか?
あらすじ
誰もが普通と語る少女の消失
ノッキンオン・ロックドドアにお嬢様学校ミゲル女学院2年生の高橋優花がやってきます。優花の依頼は鷺沢女子高2年の友人潮路岬の捜索。
線路下を通るトンネルの向こう側から『そっちに行く』とジェスチャーをした潮路岬が、トンネル内で姿を消してしまったというのです。それ以来、岬とは連絡がとれなくなり、どうやら学校も休み、家にも帰っていないようだとのことでした。
依頼を受けた倒理(松村北斗)たちは鷺沢女子高で聞き込みをします。クラスメイトや担任は岬を普通の子と称し「風邪で休んでいる」としか言いません。
ところが、岬を風邪だということにしたのは、学生寮の後輩本庄真琴だとわかります。真琴によると「しばらく帰らないからうまく言っといて」と頼まれたとのこと。岬は計画的に失踪したとわかりました。
天川孝四郎の一言
倒理と氷雨は現場検証をしてみますが、トンネルに隠れる場所はありません。すぐ近くの和菓子屋で防犯カメラを確認させてもらうと、本当に岬らしい人物がトンネルに入ったまま出てこない映像が映っていたのです。
倒理はかつて所属していたゼミの教授天川孝四郎のもとを訪れます。事件の内容を聞いた教授は
嘘をついている人間がいる
と、いくつかのキーワードを発します。そのキーワードで倒理にも嘘つきの正体がわかった倒理ですが、氷雨の領分である動機だけはわかりません。すると教授は「君たちはまるで1人で謎を解くことを恐れているみたいだ」と、2人の関係をおもしろいと感想を述べるのでした。
結末のネタバレ&感想
潮路岬は失踪も消失もしていませんでした。依頼者である高橋優花こそが潮路岬だったのです。潮路岬の動機は
自分が人からどう見られているかを知ること
誰もから「普通」と言われている調査結果は、彼女にとって残酷なものでした。
若い頃は人からどう見られているか気になるもの。
ただ日本人の多くは、特別でありたいと願いながらも、普通の行動を選びがちです。
「変な人」とは思われたくないから。
潮路岬が誰の印象にも残らなかったことを、倒理は「あんたも周りに自分を見せていなかったんじゃないか」と問いかけています。
でも、探偵2人から見た潮路岬は印象深い依頼者になりました。
自分の評価を知るために探偵を雇うなんて、まったく普通ではありませんからね!
最も間抜けな溺死体
あらすじ
依頼人から糸切美影に、トリック成功の報告が入ります。平穏な暮らしが続いているのに、美影はなぜか追われている感覚が強まっていました。
原点に返るべきかもしれない
頭から離れないチープトリックのデビュー曲『ELO Kiddies』を口ずさみながら、美影は考えます。『ELO Kiddies』は、逃げ続ける犯罪者にタイムリミットを突きつけるような内容でした。
カリスマIT社長の死
ノッキンオン・ロックドドアにカリスマIT社長出光公輝が書いた『クソ社会で生き残る』が配達されてきます。本の間にはチープトリック『DOWNED』の歌詞が挟まっていました。そこに穿地から出光の死が告げられます。
穿地によれば、出光は間抜けすぎる事故死をしたとのこと。出光はセレブ用の会員制プールで溺死したのですが、死亡時刻にプールの水はほとんど入っていなかったはずでした。
出光が泥酔して水のないプールに飛び込み気絶、注水後に溺死したと仮説を立てます。しかし出光の本とチープトリックの歌詞が届いていたため、美影のトリックによる殺人事件であることは間違いありませんでした。
不可能犯罪と容疑者
プールに監視カメラはないものの、中に入るには網膜認証が必要です。会員のうち3人は海外にいたため除外。
- 矢沢 ビルの管理人で1階に住んでいる。プールの水が抜けていたと証言。部屋の前にカメラがあり行動が把握されている。
- 玉越レイア 雑誌モデル。死体が沈んだプールは気持ち悪いので退会したいと発言。
- 橋爪勇気 映画プロデューサー。映画化できるので出光が他殺なら嬉しいと発言。
- 見池初男 ゲーム会社社長。レイアが出光から言い寄られ困っていたようだと証言。事件当日は夕方までプールを貸し切りしていた。
以上の4名が容疑者ですが、全員にアリバイがあり、単独で出光を殺害するのは不可能な状況でした。美影に依頼した以上、単独犯のはず。氷雨(西畑大吾)は美影に会うため古本屋へ出かけますが、彼はやってきませんでした。
60度のシャワーとボンベ
氷雨の冗談を真に受け、倒理(松村北斗)が更衣室でシャワーを浴びたところ、60度と言う高温だったため驚きます。管理人の矢沢によれば、毎日設定温度は30度に戻しているとのこと。
また矢沢が手にした空気入れの交換ボンベを見て、全てのトリックがとけました。
慌てて2人がプールに向かうと、退会手続きに来たはずの玉越レイアが水着を着て、プールの中に入ろうとしていました。
犯人と結末をネタバレ&感想
犯人は玉越レイアで、プール内に残った証拠を隠滅しようとしていました。動機は間抜けな死に方をして欲しかったから。どうやら出光は玉越レイアのプライドを傷つけていたようです。
玉越レイアは大きなアヒルのゴムボートの中に気絶した出光を入れてから、水を注入し溺死させました。重たいゴムボートは水には浮かないため、プールの水を抜く必要がありました。他の浮き輪などに紛れていた死体入りのゴムボートを不審に思う人はいなかったのです。
プールの水が抜かれていることに気がついた管理人が注水。水がたまった翌朝に、レイアは死体をゴムボートから出し、もともと使われていた本物のボートと入れ替えようとします。
ところが、ここでトラブルが発生しました。空気入れのボンベの中身が切れてしまったのです。レイアはボンベを温め、ギリギリまで膨らませた後は自分の息でボートを膨らませます。それこそレイアが隠滅しようとしていた証拠でした。
殺人の動機が少し弱いですが、ゴムボートに死体を隠すと言うトリックは面白いです。
レイアは証拠隠滅しようとした現場を押さえられてしまいましたが、遅かれ早かれ逮捕をされていたように思いますね。
トリックに使う偽のゴムボートと水密ファスナーをホームセンターで入手したにせよ、購入履歴と防犯カメラの映像でレイアだと特定出来る気がしました。
何しろレイアは北欧系の美人モデルなので。
ノッキンオンロックドドア(ノキドア)続編2最終話の結末をネタバレ|倒理(松村北斗)がタートルネックで首を隠すことになった事件と真犯人
ノッキンオンロックドドア2の最終話「ドアの鍵を開けるとき」で、5年前に同じゼミ仲間だった倒理・氷雨・穿地・美影の間に起きた事件が明らかになります。
ノキドア2最終話のあらすじ
ノッキンオンロックドドアに糸切美影がやってきます。美影の依頼は5年前の密室殺人未遂事件の謎解きでした。
天川孝四郎の最終課題と4人の進路
天川ゼミの卒業試験として、事件の謎解きが課せられます。内容は都内で連続して起きている犬の連続殺害の犯人と背景を1か月以内に調査するというもの。警察も捜査中の未解決事件でした。
この時点で、美影は探偵に、倒理(松村北斗)はその助手になり開業準備を進めていました。穿地の進路は警察一族のため決められたもの。氷雨(西畑大吾)だけが製薬会社の営業という普通の就職先を選んでいました。
犬の連続殺害
凶器が一致していることから犯行は同一犯。証拠を残さず防犯カメラを避けていることから大人の犯行であると考えられます。最初は野良犬を狙っていたのに、3件目には飼い犬を犬小屋から連れ出し、公園で殺害しているのも気になるところでした。
飼い主である杉好宏伸によると、ブッチ(犬の名前)は知らない人には吠える癖があったとのこと。しかし事件の夜、ブッチが吠えないまま殺害されていました。家族同然だったブッチを殺され、杉好は「犯人を殺してやりたい」と呟きます。
ブッチが吠えない相手が犯人
警察はブッチが吠える前に殺されたと考えているようですが、犬小屋には偽装工作がされており、ブッチは無傷で連れ出され公園で殺されたとわかります。
杉好からブッチが吠えない相手を聞き、アリバイを調査した結果、杉好夫妻の友人で輸入業をしている杵塚実が犯人だと確信します。杵塚実は、杉好が持っているレスポールを盗み出そうと計画していたのです。ブッチの存在が邪魔だったので、通り魔に見せかけて犬を連続殺害したというのが真相でした。
分かれる意見
天川教授は合格を出し、犯人について警察にも伝えると言います。しかし証拠も少なく、優先度も低い事件のため、杵塚実が逮捕されることはありませんでした。
倒理(松村北斗)は「杵塚実が犯人だと杉好宏伸に教えた方が良いのでは」と考えます。氷雨(西畑大吾)は「教えなくて良い」と即答。穿地も新たな犯罪が起こる可能性を考え、教えることには反対をします。美影は氷雨と穿地側につきました。
倒理の呼び出し
翌日、倒理に呼び出され、3人はアパートへと向かいます。しかし、チャイムを押しても呼び掛けても、中から返事さえありません。
倒理が寝ているに違いないと、窓のある裏へと回った3人は、血を流して倒れている倒理を見つけます。窓を割って入ると、倒理は首を切られ、大量に出血をしていました。そして押し入れのふすまには「ミカゲ」の文字が…。
「困るよ、倒理」と言った美影は、現場にあったコーヒーの中に浸かっていたアパートの鍵を置き、窓から去ってしまったのです。
真相を語らない倒理
一命をとりとめた倒理でしたが、目を覚ましても犯人は美影ではないと否定。それどころか「美影に謝らないと」と言います。
そればかりか「不審者が入ってきた」と真犯人が誰なのかも語りません。凶器は部屋から見つからず、鍵はコーヒーの中にあったため、現場は密室。
穿地に「ごめん」とだけメールを送り、美影は姿を消してしまいました。
一生残る首の傷跡
3月に退院した倒理の首には太くいびつな傷跡が目立っていました。そこまでの傷を負いながら、倒理は事件を公にせず、家族さえ連絡をしませんでした。
美影が失踪し、「愛媛に帰ろうかな」と言う倒理を探偵業に誘ったのは、氷雨だったのです。倒理は氷雨と探偵をするにあたり
事務所名は倒理が決める
という条件を出しました。
ネタバレ注意!倒理(松村北斗)の首を切った真犯人は誰?動機は?
真犯人は片無氷雨(西畑大吾)です
動機は杉好宏伸に「杵塚実が犯人だ」と教えに行く倒理を止めようとしたから。氷雨は倒理を犯罪者にしたくなかったのです。
倒理が「ミカゲ」と書いたのはダイイングメッセージ的なものではなく、自分がしようとしていたことを代行して欲しいと言う依頼だったのです。
依頼を受け、重荷を背負った美影は3人の前から姿を消し『チープトリック』を仕事に選びました。
言うまでもありませんが、倒理が犯人を明かさなかったのも氷雨を守るため=氷雨を犯罪者にしたくなかったからでした。
ノッキンオンロックドドアに恋愛&BL要素はある?
ノッキンオンロックドドアについて、恋愛やBL要素があるか気になっている方がいます。BL系ドラマが人気の昨今、御殿場倒理(松村北斗)と片無氷雨(西畑大吾)のからみが気になる気持ちわかります!
ただ、原作を読んだ限り、ノキドアにBL要素は感じませんでした。しいてBLっぽい描写をあげるとすれば、1巻238ページで氷雨が倒理の首筋に指を這わせながら「君のことは信頼している」というシーンになります。
倒理を犯罪者にしたくないという理由で、倒理を傷つけた氷雨の心情を理解するのは難しいです。
犯罪者になって欲しくないから、殺すって意味わかりませんよね。一歩間違ったら倒理は死んでいました
そのため、行動の裏に秘めた恋愛的感情があってもおかしくはないかもしれません。例えば本人も気がついていないうちに。
さらには、イラストの穿地決の見た目は男性のようですが、実は女性。ノキドア3が刊行されるとしたら、今後恋愛関係について語られる可能性も。こう見えて紅一点なわけです。
氷雨と穿地がよく似た雰囲気で描かれているところも気になっています(恋愛がらみの伏線か?)
ノキドア3の刊行に期待しましょう!