2022年11月13日から大門剛明さん原作『両刃の斧』が、WOWOWでドラマ化されるということで原作を読んでみました。
この記事では『両刃の斧』の犯人と結末(あらすじネタバレ)だけでなく、ドラマキャストの紹介もしています。
- 登場人物とドラマキャストをリンクさせながら原作を読む
- 犯人と結末を知っておいてドラマを見たい(←伏線回収好き向け)
そんな方におすすめの記事です。
両刃の斧の悲しい結末は、東野圭吾さんのガリレオシリーズの雰囲気と似ているところがあり、夢中で読んでしまいました。
wowowの連続ドラマは映画並みにクオリティが高い物も多く、中でも『両刃の斧』は注目されている作品となっています。
※WOWOWの連続ドラマは映画として分類されることもあります
WOWOWドラマ『両刃の斧』キャスト
- 川澄成克(井浦新)
- 柴崎佐千夫(柴田恭兵)
- 柴崎三輪子(風吹ジュン)
- 川澄多映子(高岡早紀)
- 川澄日葵(奈緒)
- 山田太士(坂東龍汰)
- 梶野彬(波岡一喜)
- 沢木美織(高橋メアリージュン)
- 柴崎曜子(見上愛)
- 柴崎和可菜(長澤樹)
手塚理美、宇野祥平、ルー大柴、カトウシンスケ、内田慈、川瀬陽太、ベンガル、信太昌之、黒田大輔
『両刃の斧』原作|登場人物
- 川澄成克 46歳 彌冨(やとみ)署の刑事
- 柴崎佐千夫 67歳 退職した刑事 川澄の恩人
- 柴崎三輪子 66歳 柴咲の妻
- 川澄多映子 46歳 川澄の妻 元警察官
- 川澄日葵 22歳 警察官 川澄の一人娘
- 山田太士 30歳 捜査一課刑事 日葵の婚約者
- 梶野彬 46歳 専従捜査班の班長 独身
- 沢木美織 30歳 専従捜査班 元科捜研
- 柴崎曜子 柴咲の娘 15年前に殺害される(当時 23歳)
- 柴崎和可菜 柴咲の娘 曜子の事件から2年後に白血病で死亡
- 森下竜馬 45歳 元鑑識課 飲酒運転事故で警察を辞める
- 青山陽太 37歳 地域課の巡査部長
- 最上 茂 54歳 捜査一課の係長
- 谷口良二 47歳 彌冨署刑事 強行犯係係長
- 白井哲史 74歳 元捜査一課長 曜子の事件で森下の存在を隠ぺい
- 室田洋蔵 69歳 柴崎の元上司
- 榊 遥大 25歳 彌冨署刑事
- 牧村早人 39歳 最上班の刑事
- 木野瀬真知子 森下竜馬が飲酒運転で死亡させた被害者
- 岡田光樹 ”らくだ男”の目撃者
両刃の斧|犯人と結末(あらすじネタバレ)
両刃の斧「序章」あらすじネタバレ
15年前の事、柴崎佐千夫(柴田恭兵)の長女 柴崎曜子(見上愛)が刺殺体で見つかります。
その知らせが上司である室田洋蔵からもたらされた時、柴崎は最上茂とともに、神奈川で起きた無差別殺人事件の合同捜査を終えて、名古屋へ戻る途中でした。
急いで病院へ向かうと、そこには室田と、目をはらしている若い刑事 梶野彬(波岡一喜)がいました。
その当時、曜子は短大を卒業後、保育士になって1年ほどたち、1人暮らしをはじめたばかりでした。
曜子の死因は首すじ1か所を刺されての即死。
検死後の低温保管室へ入ると、妻の三輪子(風吹ジュン)は泣き崩れ、次女の和可菜(長澤樹)は椅子に座ったまま震えていました。
両刃の斧「1章 迷宮」あらすじネタバレ
15年後、彌冨(やとみ)署に愛知県警本部から未解決事件の専従捜査班となった梶野彬(波岡一喜)と、沢木美織(高橋メアリージュン)がやってきます。
それは柴崎佐千夫(柴田恭兵)の長女 柴崎曜子(見上愛)の事件への協力要請のためでした。
事件当時、柴崎の後輩刑事であった 川澄成克(井浦新)は、曜子と面識があり、忘れられない事件として記憶していました。
川澄には、元警察官の妻 川澄多映子(高岡早紀)と、同じく警察官になった娘 日葵(奈緒)がいました。
まだ22歳で警察官になったばかりだというのに、川澄は日葵から「結婚したい男性がいるので紹介したい」と言われています。
その男性は、捜査一課刑事 山田太士(坂東龍汰)でした。
現在の柴崎(柴田恭兵)
娘の結婚のことを考えたくない川澄は、すでに警察を退職している柴崎佐千夫(柴田恭兵)の元へふらりと訪れます。
川澄にとって柴崎は、ただの先輩刑事なだけではなく、プライベートで深いかかわりのある恩人でもありました。
柴崎は15年前に曜子(見上愛)を亡くしただけでなく、次女の和可菜(長澤樹)も白血病で亡くしており、妻の三輪子(風吹ジュン)も入院中で、マロと名付けられた犬と暮らしています。
曜子の事件の犯人をどうしても捕まえたいと考えている川澄でしたが、柴崎は「もう犯人は見つからないだろうし、事件の事をわざわざ考えたくはない」と諦めたようなことを言うのでした。
日葵(奈緒)の婚約者 山田太士(坂東龍汰)に会った川澄(井浦新)は、山田が最上茂の班だと知って驚きます。
最上班は、重要な事件をうけもち、優秀で出世する刑事のみが配属される班でした。
警察官 青山陽太
三輪子(風吹ジュン)の病院へいった帰り道、柴崎(柴田恭兵)は、青山陽太が勤務する交番へと立ち寄ります。
青山陽太は、曜子が殺害された部屋から近い交番に勤務していた警察官で、曜子(見上愛)の命日に偶然墓参りで出会ったため、お礼を言おうと思って寄ったのでした。
曜子の事件は未解決のままですが、当時いくつかの手がかりはありました。
- 事件直後、曜子の部屋から、らくだのような顔の男が出てきたのを大学生が目撃していた
- 曜子には好きな男性がおり、相手は警察官だった
”らくだ男”はすぐに見つかると思われたものの、結局それらしき人物を見つけることはできないまま15年の月日が流れました。
青山陽太は別れ際、何か言いたそうにしたものの「らくだ男は必ず逮捕します」と暗い表情をするのでした。
柴崎曜子(見上愛)事件の詳細
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川澄(井浦新)が、かつて曜子(見上愛)が一人暮らしをしていたアパートの跡地に建設されたマンションを通りかかると、そこには梶野(波岡一喜)の姿がありました。
川澄と梶野は、同い年で、一緒に飲んだりすることもある間柄でした。
そこに沢木美織(高橋メアリージュン)も合流し、梶野は沢木に事件の詳細を教えてやって欲しいと言います。
- 死亡推定時刻 午後8時ごろ
- 保育士のため帰宅時間はバラバラである
- 現場は自宅アパートの2階 205号室
- 部屋は電気がついており、鍵が開いていた
- 刺された傷は首の一か所で即死
- 凶器の包丁は曜子のもので、指紋はなかった
- 部屋は物色されていなかった
- 曜子はストーカーに怯えていた
- 現場には争った形跡があり、外にも血痕があった
- DNA鑑定の結果、血液は全て被害者 曜子のものとされた
このことから、美織は、部屋の中で即死したはずの曜子の血痕がなぜ部屋の外にまであったのか?について疑問に思うのでした。
柴崎曜子(見上愛)をストーカーしていた犯人が判明
しばらくの後、川澄(井浦新)が当直をしていると変死体が出たという連絡が入ります。
川澄が現場に向かうと、アパートの一室で首を吊って死んでいたのは、なんとあの交番勤務の 警察官 青山陽太でした。
青山陽太は遺書を残しており、そこには以下のような内容が書かれていました。
青山陽太の遺書の内容
青山陽太は15年前、曜子(見上愛)からストーカー被害の相談を受けていました。
その後、曜子は殺害され、目撃された”らくだ男”の捜索がはじまります。
アパート近くの交番に勤務していた青山陽太は、”らくだ男”のことを知っていたにもかかわらず、上司に口止めされて、ずっと黙り通してきたのです。
柴崎(柴田恭兵)に会ったことで、もう耐えられないと思った青山陽太は、当時の上司に相談したものの「黙っておけ」と言われたそう。
上司の言いなりになり、罪悪感を抱きながら生き続けることが嫌になったという言葉と、柴崎たち家族への謝罪の言葉と共に、遺書にはストーカーの名が書かれていました。
”らくだ男”と呼ばれていたストーカーは森下竜馬という元警察官でした。
両刃の斧「2章 怪物」あらすじネタバレ
森下竜馬のストーカーを隠ぺいした上司とは?
遺書については伏せられたまま、青山陽太の葬儀がとりおこなわれます。
青山陽太は、ストーカーの犯人が森下竜馬だと書いていたものの、もみ消したという上司の名は記していなかったため、さらなる捜査が必要でした。
森下竜馬は鑑識にいた元警察官で、23年前に飲酒運転事故で木野瀬真知子という女性を死亡させていました。
はっきりとした証拠はないものの、青山の遺書に書かれた「上司」が誰であるか浮かび上がってきます。
その上司とは、青山陽太の叔父であり、森下竜馬の元上司でもあった白井哲史 元捜査一課長でした。
ストーカーの犯人 森下竜馬が殺害される
強行犯係係長 谷口良二から、専従捜査班に協力し、森下竜馬を追う事を命じられた川澄(井浦新)は、白井哲史の件は納得がいかないものの、徹底的に調べることを決意します。
そんな中、川澄は柴崎(柴田恭兵)が参加している「遺族会」を思い出し、寄ってみると
犯人がわかったら殺してやりたい、憎くて怒りで気が狂いそうだ
と、苦悶に打ち震える柴崎の姿を見てしまいました。
常に冷静だった柴崎の本当の辛さを目にした川澄は「森下の事を知られてはならない」と考えます。
そして一刻も早く、捜査を進めなければと思うのでした。
捜査の中で、森下竜馬と関係のあるパブ経営者が「森下は怪物だ」とした上で
ストーカー容疑がかかっていた時、捜査一課長を脅して追及をやめさせた
と森下が話していたという証言をします。
森下と曜子(見上愛)のつながりはわからないものの、当時捜査一課長をしていた白井哲史が脅迫されて、ストーカー事件を隠ぺいした可能性がさらに高まりました。
同じころ、柴崎(柴田恭兵)の元に公衆電話から、機械で変えたような声の人物から電話が入ります。
その人物は「娘さんを殺した犯人が誰なのか知りたくありませんか?」と柴崎に問います。
かつての目撃者 岡田光樹から”らくだ男”は森下竜馬に間違いないと証言がとれたため、証拠固めをしていこうと思っていた矢先、森下竜馬が変死体となり公園で発見されてしまうのでした。
両刃の斧「3章 不在」あらすじネタバレ
森下竜馬殺害事件の詳細
森下竜馬が殺害されたことにより、曜子(見上愛)の事件以来15年ぶりの大きな事件に、彌冨署は騒然となります。
森下竜馬の事件には、愛知県警本部から最上班も送り込まれてきており、そこには日葵(奈緒)の婚約者である山田太士(坂東龍汰)の姿もありました。
鑑識によると森下竜馬が殺害された事件の詳細は
- 凶器である刃物は持ち去られていた
- 凶器は刃渡り12センチほどのナイフと推定
- 胸部から心臓に達しており即死
- 公園での死亡推定時刻は午後10時~10時半
でした。
川澄(井浦新)は、森下竜馬の死亡推定時刻からまもなく(午後11時過ぎ)に、沈んだ様子の柴崎から電話を受けていたため、柴崎の事が気になります。
それは、川澄と美織(高橋メアリージュン)が、目撃者 岡田光樹と会っていた時間でした。
そして何度電話をしても、柴崎と連絡をとることができなくなってしまい、自宅にも三輪子(風吹ジュン)の病院にも柴崎の姿はありません。
そんな中、殺害される前の森下竜馬の自宅を、黒いマウンテンパーカーを着てフードをかぶった怪しい人物がうかがっていたとの目撃証言が出てきます。
おそらくその人物は男で、身長は170センチくらいだったとのこと。
柴崎が180センチ以上で体重が90キロはある大男だったため、川澄(井浦新)はホッとし、この怪しげな人物が犯人であって欲しいと願うのでした。
森下竜馬殺害の犯人は柴崎(柴田恭兵)なのか?
捜査本部に戻り、川澄(井浦新)と組んでいた牧村早人が、怪しげな人物についての目撃証言について報告すると、山田太士(坂東龍汰)も目撃者の報告を始めます。
午後10時半過ぎに、近所の学生が目撃したというその人物は
- 公園から走って男性が出てきた
- 身長180センチくらい
- メガネをかけており、年齢は60代くらい
- 手に刃物のようなものを隠し持っていた
というものでした。
柴崎の件を隠し切れなくなった川澄(井浦新)は、牧村早人と谷口良二に説明をします。
柴崎の自殺も考えられるため、正式に川澄と牧村は柴崎を探し始めることに。
三輪子(風吹ジュン)の元をおとずれた川澄に、柴崎(柴田恭兵)から着信があります。
マロの世話と美和子への伝言を頼んだ柴崎は「すまない、もう少し待ってくれ」と言ったきり、電話を切ってしまうのでした。
両刃の斧「4章 彷徨」あらすじネタバレ
白井哲史に復讐をしようとした柴崎(柴田恭兵)が逮捕
柴崎(柴田恭兵)が行方不明になっていることが捜査本部でも問題となり、最上から意見を問われた山田太士(坂東龍汰)は、動機と目撃証言から「柴崎佐千夫が森下を殺した犯人に間違いない」と断定します。
川澄(井浦新)が黒いマウンテンパーカーの男も追うべきだと発言すると、なぜか山田は「そいつは無関係だ」と否定しました。
また山田は、柴崎が「待って欲しい」と言ったのは、もう一人殺すためなのではないかという可能性を指摘します。
その結果、柴崎が狙っている相手は、曜子のストーカー被害を隠ぺいした白井哲史なのではないかという結論にいたりました。
苦労の末、白井を見つけた川澄たちは、柴崎を確保するべく白井を見張り続けます。
ナイフを手に白井を襲おうとした柴崎は、公務執行妨害と殺人未遂で現行犯逮捕されることとなりました。
両刃の斧「5章 完黙」あらすじネタバレ
完全黙秘を続ける柴崎(柴田恭兵)の謎
山田太士(坂東龍汰)の読みが当たり、柴崎(柴田恭兵)が逮捕された後、いったい誰が森下竜馬が曜子(見上愛)を殺した犯人かもしれないという極秘情報を柴崎に流したのかが問題になります。
一度は最上から疑われた川澄(井浦新)でしたが、谷口良二のフォローもあり、柴崎と親しい存在であった川澄が事情聴取をするように命じられます。
しかし川澄が何を聞いても、柴崎は完全黙秘を貫き通し、一言も話すことはありませんでした。
そんな中、川澄は沢木美織(高橋メアリージュン)から、事件後に柴崎から電話をもらったのだと明かされます。
それは、川澄が柴崎から電話を受けたのと、ほぼ同じときでした。
沢木は柴崎が「血液が別人のものと鑑定される場合があるか?」と聞いてきたと言います。
見つからない凶器と、柴崎の謎の質問に、川澄は柴崎が何かを隠しており、事件に裏があるのではないかと考えますが、それが何なのか検討もつかないのでした。
両刃の斧「6章 血痕」あらすじネタバレ
森下竜馬により娘を奪われた木野瀬吾郎が柴崎の共犯?
柴崎(柴田恭兵)が逮捕されてから一か月が過ぎ、捜査本部は解散し、柴崎は殺人罪で起訴されていました。
結局、柴崎は完全黙秘したまま、何も話すことはありませんでした。
そんな日の事、川澄(井浦新)は妻 多映子(高岡早紀)とともに、入院中の三輪子(風吹ジュン)のお見舞いにでかけます。
すると三輪子は、子どもの頃から正義感が強かったと柴崎の思い出を話し「森下という人を殺したのはきっとあの人」と言います。
「あの人が曜子(見上愛)のために復讐をしたのは私のせい」とむせび泣く三輪子をみて、川澄は罪悪感にとらわれるのでした。
凶器も見つからず、新たな手掛かりもない中、川澄は柴崎が通っていた遺族会に話を聞きに行きます。
川澄はそこで、飲酒運転事故撲滅の活動をしていた木野瀬吾郎の文章にであいます。
木野瀬吾郎は、森下竜馬が飲酒運転事故で死なせてしまった木野瀬真知子の父親で、文章には犯人への強い怒りが綴られていました。
娘を森下竜馬に殺されたという共通点をもつ柴崎と木野瀬吾郎には、ひょっとしたら接点があったのではないか?と川澄は考えるのでした。
当時の血液鑑定
柴崎が沢木美織(高橋メアリージュン)にした質問「血液が別人のものと鑑定される場合があるか?」の答えは「ありえる」だと川澄(井浦新)は聞かされます。
しかしそれは人為的なミスによるもの。
美織によると、2003年以降、科捜研が使っているSTR型検査法で間違いがあったという実例はないということでした。
理論上、九座位で鑑定している場合、DNAが酷似していると別人のものを一致と鑑定してしまうことはありえるが、現在は十五座位になっており、はるかに正確になっているとのこと。
また、骨髄移植にともなうDNA変化により、受けた側とドナーの血液は同じものだと鑑定されることはあり得るとの話でした。
これを聞いた川澄は、柴崎の次女 和可菜(長澤樹)が白血病で亡くなっていることから、柴崎がドナー登録をして骨髄提供をしていたことを思い出します。
森下竜馬の起こした飲酒運転事故は殺人だった
木野瀬吾郎の行方がわからない中、川澄(井浦新)は柴崎の元上司 室田洋蔵に会いに行きます。
室田洋蔵は23年前、森下竜馬が起こした飲酒運転事故の担当をしていました。
室田は事故ではなく、故意にひき殺した殺人であり、あとから酒を飲んで飲酒運転に見せかけたのだと真相を語ります。
森下は、よく行く喫茶店で見かけた木野瀬真知子にしつこくつきまとっていたが、断られ、真知子に子どもがいることを知り、馬鹿にされたと逆上したのだと、喫茶店のオーナーが証言したのです。
このことから、室田たちは森下を殺人で再逮捕しようとします。
しかし、それを打ち切ったのは白井哲史でした。
その頃、白井には捜査費の不正流用の噂があり、森下は何か証拠をつかんで、白井を脅していたに違いない…そしてこのことは柴崎も知っていたと室田は言います。
そして室田は、木野瀬吾郎の移転先住所も知っていました。
室田と別れ自宅近くまで帰ってきた川澄の携帯に、機械のような声で電話が入ります。
その人物は「そのあたりでやめておいてはどうか」と切り出し、川澄の家族に危険が迫っているかのような脅し文句を言って、電話を切るのでした。
両刃の斧「7章 螺旋」あらすじネタバレ
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木野瀬と山田太士(坂東龍汰)の関係と凶器の発見
休日も柴崎(柴田恭兵)の事件を捜査している川澄(井浦新)は、森下が倒れていた公園から、森下の自宅へと歩いて向かいます。
そこには森下宅を眺めている山田太士(坂東龍汰)がいました。
山田は、柴崎が完全黙秘をしていることから、事件には隠された何かがあると思っていることを川澄に伝えます。
そこで川澄は「血液が別人のものと鑑定される場合があるか」と山田に問いかけてみます。
すると山田はしばらく硬直した後「わかりません」と答え、頭を下げた後、去ってしまいました。
山田と別れた後、木野瀬吾郎の住む『ひいらぎ荘』をたずねると、そこには別人が住んでいました。
管理人によると、木野瀬吾郎は2年ほど前に亡くなっており、身内には孫がいたと言います。
驚くべきことに、その孫は山田太士でした。
つまり、山田太士は母親を森下竜馬に殺された被害者遺族だったのです。
その後、公園にいたというホームレスの目撃証言から、森下竜馬が殺害された時、黒いマウンテンパーカーを着ていた人物が山田太士だったこともわかります。
ホームレスの話を一緒に聞いた牧村早人に、山田太士の件を説明せざるを得なくなった川澄。
すると牧村は、山田は取り調べの際、被害者に同情するあまり性格が一変し、暴走してしまうことがあるのだと言います。
上への報告はまだ保留にしておきたいと牧村に頼んだ後、川澄は柴崎が近所のおばあさんの畑の世話をしていたことを思い出します。
小さな畑を一人掘り返した川澄は、そこから血らしきものが付着したナイフのはいったアルミ缶箱を発見したのでした。
凶器の出どころと山田太士(坂東龍汰)の病歴
鑑識の結果、川澄(井浦新)の発見した凶器には、森下竜馬と柴崎(柴田恭兵)の血液が付着していました。
また見つかった凶器は、販売経路から森下本人が購入したものだと判明します。
柴崎が凶器を用意したのではなく、森下から襲われた結果、正当防衛で殺してしまった可能性が高くなりますが、そうなるとなぜ柴崎が沈黙し続けているのかがわかりません。
川澄は最上から、真実はわからなくても良いから、柴崎に正当防衛を認めさせるように指示をうけます。
柴崎への最後の取り調べを翌日に控えた日、川澄は娘 日葵(奈緒)から、山田太士(坂東龍汰)が白血病にかかり骨髄移植を受けたことがあると聞かされます。
もしも柴崎が骨髄提供をした相手が山田であったとしたら、2人の血液のDNAは同じという鑑定結果になるということに。
森下を殺した犯人は、柴崎ではなく山田である可能性も出てきました。
川澄はこの件を山田本人に確かめることを決意します。
両刃の斧「8章 両刃」あらすじネタバレ
曜子(見上愛)の恋人が判明
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山田太士(坂東龍汰)との連絡がとれないまま、川澄(井浦新)は柴崎(柴田恭兵)の取り調べをすることになってしまいました。
川澄は、正当防衛の件についても黙秘をし続ける柴崎に、山田をかばっているのではないか?という話をぶつけます。
しかし、柴崎は完全黙秘をしたまま、午前の取り調べは終わってしまいました。
休憩中の川澄の元を山田が訪れます。
山田は、森下への恨みを露わにし、黒いマウンテンパーカーを着ていたのが自分だという事も認めますが、殺してはいないと主張。
また山田のドナーも柴崎ではなく、親戚の人間だとわかりました。
話の中で、山田は自分のところにも「調べ回るのはやめろ」という内容の電話があったと言います。
声紋を比較してみたところ、脅しの電話をかけたのはやはり白井哲史だったそう。
また、山田は調査の中で、曜子(見上愛)の恋人が専従捜査班長の梶野彬(波岡一喜)であったと知りました。
しかも沢木美織(高橋メアリージュン)から、梶野が森下の事件の後、隠れて非公式に血液鑑定を行っていたらしいとの情報も入手していました。
その上、山田は、柴崎が白石に襲い掛かった時の行動は演技で「殺す気はなかった」ように見えたと言います。
それを聞いた瞬間、川澄の中で確信とも思える推理が浮かび上がりました。
山田に推理を説明したものの、柴崎の想いを考えると、川澄は「このままでいい」と思いはじめます。
「お義父さんは間違っている」と言われながらも、川澄は柴崎と山田のどちらが正しいのかわからなくなってしまうのでした。
両刃の斧|犯人と結末の完全ネタバレと感想
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両刃の斧では、2件の殺人事件が起きています。
- 15年前、柴崎の娘 曜子(見上愛)が殺害された事件
- 曜子のストーカーであった元警察官 森下竜馬が殺害された事件
2つ目の事件である森下竜馬を殺した犯人は、柴崎佐千夫(柴田恭兵)でしたが、結局それは正当防衛でした。
しかし、警察官だった柴崎が、正当防衛になるはずの事件で、完全黙秘を続けるのはおかしいですよね。
それは15年前、曜子(見上愛)が殺害された事件に隠された悲しい真実があったからこその完全黙秘でした。
実は、曜子を誤って殺してしまった真犯人は、次女の和可菜(長澤樹)だったんです。
現場には和可菜の血液も残っていたのですが、血液鑑定でわからないままになってしまったことが、逆に不幸を大きくしてしまったとも言えます。
ストーカー行為の中で、盗聴器を仕掛けていた森下は、曜子を殺した真犯人が和可菜だと知っていました。
ストーカーや不法侵入などがバレるので、そのことを15年間黙っていた森下でしたが、お金に困り、柴崎を脅迫。
当然、森下の話をまるで信じなかった柴崎は拒否しました。
逆切れした森下に襲い掛かられた柴崎は、正当防衛で森下を刺してしまった…というのが森下殺害事件の真相になります。
しかし、最初は森下の脅迫をでたらめだと思っていた柴崎でしたが「もし本当だったら?」と考えてしまいます。
そこで発せられたのが「血液が別人のものと鑑定される場合があるか?」という、沢木美織(高橋メアリージュン)への質問です。
柴崎は、森下の脅迫が本当かを確かめるため、曜子が死んだときに泣いていた梶野彬(波岡一喜)が恋人だったのかもしれないという、わずかな可能性に賭けて、梶野に血液の再鑑定を頼みました。
実際、梶野は曜子の恋人だったので、こっそり再鑑定を依頼してくれました。
結果、次女の和可菜(長澤樹)が曜子(見上愛)を殺した真犯人だとわかってしまったんです。
ここで柴崎は「もうすぐ死ぬ妻 三輪子(風吹ジュン)には知られたくない」と思ってしまいます。
だから柴崎は、三輪子が生きている間は何も話さないようにしていたんです。
両刃の斧が悲しいのは、三輪子はとっくに和可菜(長澤樹)が犯人だと知っていたところ。
実は白血病で死ぬ前に和可菜は母親である三輪子に、全てを打ち明けていたんです。
曜子と和可菜は仲良し姉妹だったので、ストーカーに悩んで元気のない曜子をはげまそうと和可菜はアパートに向かいました。
森下の侵入によりアパートの鍵があいていたとは知らず、和可菜は部屋に入って曜子を待っていました。
が、曜子はそれを、ストーカーが部屋に入っていると思い込み、包丁を持ち出してしまったんです。
和可菜が曜子を刺してしまったのは、完全に事故でしたが、気が動転した和可菜はつい逃げ出してしまい、不運にも血液鑑定を逃れてしまったため、不幸が連鎖してしまうという結末になりました。
三輪子は真実を告白した和可菜と「誰にも言わない」と約束していた上に、柴崎の怒りが和可菜に向き、いっそう柴崎が苦しむ姿を見たくなかったので、ずっと本当のことを言えずに生きてきました。
また、柴崎も三輪子を想う一心で完全黙秘を続けたわけです。
そこには深い愛情がありますが、はたしてそれは「正しい愛情なのか」という大門剛明さんの問いかけがあるように思いました。
大門剛明さんは、両刃の斧の中で
妻は夫のためと思い、夫は妻のためと思い、真実を隠そうとしたことがややこしくした、本当に悲しい事件だった
と書いています。
両刃の斧は、サスペンスやミステリーとしても素晴らしいですが、家族の愛についても考えさせられる作品でした。