2024年1月12日に東野圭吾「ある閉ざされた雪の山荘で」が映画化されるということで、原作を再読。ネタバレ&感想を書いていきます。
「ある閉ざされた雪の山荘で」は1996年に出版。東野圭吾さんが名探偵の掟で、注目され始めた年の作品です。
内容をすっかり忘れていたので再読してみましたが
「東野圭吾さんは、この頃から人の心に着目する作家だったんだ」
と感じました。
閉ざされた雪の山荘=密室をイメージさせるタイトルと、巻頭に平面図が描かれていることで、本格的な密室トリックを期待すると裏切られる作品となっています。
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「ある閉ざされた雪の山荘で」登場人物(キャスト)
- 久我和幸(重岡大毅)…唯一の部外者で、原作では独白シーンあり。由梨江を狙っている。探偵役?
- 本多雄一(間宮祥太朗)…荒っぽそうな振る舞いをしているが、実力は確かな俳優。
- 中西貴子(中条あやみ)…色気と才能を持った女優。化粧を落とすとギャップがある。
- 田所義男(岡山天音)…由梨江に気がある。性格に難があり、劇団員からも疎まれているよう。
- 元村由梨江(西野七瀬)…劇団のマドンナ的存在で、お嬢様。雨宮とは両想い?演技力は微妙。
- 笠原温子(堀田真由)…最初の被害者(役?)
- 雨宮恭介(戸塚純貴)…優等生のリーダーシップタイプ。
- 朝倉雅美(森川葵)…高い演技力を持つのに、オーディションに落ち、自殺未遂をはかった。
- 小田伸一…山荘のオーナー。
- 東郷陣平…劇団『水滸』の演出家。山荘にオーディション合格者を集めた張本人?
「ある閉ざされた雪の山荘で」原作の簡単なあらすじ
劇団『水滸』のオーディションに合格した7人の役者(久我和幸(重岡大毅)、本多雄一(間宮祥太朗)、中西貴子(中条あやみ)、田所義男(岡山天音)、元村由梨江(西野七瀬)、笠原温子(堀田真由)、雨宮恭介(戸塚純貴))は、演出家の東郷陣平からの招待状により、山荘に集められます。
速達で届いた東郷の手紙には、これが試験を兼ねた舞台稽古であり、『大雪で閉ざされた山荘』という設定などが書かれていました。
「外部との接触をはかれば、合格を取り消す」という条件の中、メンバーたちが次々と姿を消していきます。現場には、その人物がどのように死んだか書かれたメモが残されていました。
東郷のテストだと信じるも、血の付いた凶器が見つかったのです。にわかに、殺人は現実に行われている可能性が浮上。残されたメンバーは、互いを疑い始めます。
やがて犯人が誰か気がついた久我和幸(重岡大毅)は、探偵役として推理を披露。しかし、その裏には久我の想像をはるかに超えた事実が隠されていました。
「ある閉ざされた雪の山荘で」原作|ネタバレ
【1日目】笠原温子(堀田真由)が被害者に?
小田伸一が所有する山荘に、7人の客がやってきました。
- 久我和幸(重岡大毅)
- 本多雄一(間宮祥太朗)
- 中西貴子(中条あやみ)
- 田所義男(岡山天音)
- 元村由梨江(西野七瀬)
- 笠原温子(堀田真由)
- 雨宮恭介(戸塚純貴)
7人は、劇団『水滸』のオーディションに合格した役者で、脚本家東郷陣平からの招待状で集まったのです。しかし、山荘に東郷はおらず、何のために集められたのか、はっきりしません。小田は設備の説明だけすると去ってしまいました。
そこへ、東郷からの速達が届きます。手紙には
- 推理劇である台本を7人で完成させるための舞台稽古である
- 大雪のため人里離れた山荘に閉じ込められた客と言う設定
- 外部の人間と接触したら、試験は中止となり、オーディションの合格は取り消しとなる
などと書かれていました。
久我和幸(重岡大毅)の由梨江(西野七瀬)への想い
7人の中で唯一、劇団『水滸』の役者ではない久我和幸(重岡大毅)は、東郷陣平のつまらない設定にがっかりし、才能の落ち目を確信します。
しかし、久我には芝居以外に大きな目的がありました。1年前、舞台を見て一目ぼれした元村由梨江(西野七瀬)との距離を縮めることです。田所義男(岡山天音)も由梨江を狙っており、由梨江自身は雨宮恭介(戸塚純貴)に恋をしている様子。
久我は3泊4日の合宿を、由梨江に近づくチャンスだと思うことにしました。
食事当番が作ったカレーを食べた後、久我は少しだけ由梨江と話すことができました。由梨江の演技力は微妙でしたが、久我は由梨江の気を引こうとおだてます。久我は、お嬢様育ちのせいもあってか、優しく親切な性格の由梨江を、一生の伴侶として狙っていたのです。
オーディションに落ちた女性、朝倉雅美(森川葵)
久我は本多雄一(間宮祥太朗)に誘われ飲むことに。由梨江は雨宮と談笑しており、田所が邪魔するかのように会話に入っていくところでした。
本多との会話の中で、久我はオーディションで由梨江と同じくジュリエットを演じた女性について質問します。その女性は、少しふっくらした容姿でしたが、抜群の演技力を魅せており、合格しないわけがないと感じていたのです。
本多によれば、女性の名は朝倉雅美(森川葵)とのこと。しかし、劇団『水滸』のメンバーたちにとて、朝倉雅美の話題はきまずいようで、話は途切れてしまい、解散となりました。
遊戯室からピアノの音色がして
風呂をすませた久我が由梨江を探していると、遊戯室からピアノの音が漏れてきました。ドアを開けると、中西貴子(中条あやみ)がレクイエムを弾いており、笠原温子(堀田真由)も一緒にいました。
貴子からのナインボールの誘いを断った久我は、一人でいるはずの由梨江の元を訪れようと考えます。
※由梨江と笠原温子(堀田真由)は同室
しかし、部屋から出てきた田所が威圧的に「何をしている?」と聞いてきたため、久我はそのまま自分の部屋へ戻り、田所が部屋に戻った音を確認した後、眠りに落ちました。
遊戯室に残った笠原温子(堀田真由)
遊戯室では、中西貴子(中条あやみ)が久我和幸(重岡大毅)について「いかしている」などと話題にした後、自室に戻っていました。
1時間ほどピアノの練習をすると遊戯室に残った温子。およそ1時間後、彼女は背後から侵入者により、ヘッドホンのコードで首を絞められてしまいます。
侵入者は、温子の死体からコードを外し、ずるずると引きずり始めるのでした。
【2日目】1人目の「殺され役」と朝倉雅美(森川葵)の謎
笠原温子(堀田真由)が消え、設定の紙が見つかる
翌朝、温子(堀田真由)が消えたことに気がつき、5人は彼女を探します。すると、遊戯室で
笠原温子の死体について。死体はピアノのそばに倒れていた。首にヘッドホンのコードが巻き付いており、絞められた痕がある。服装は赤のセーターにジーンズ。この紙を見つけた者を、死体の第一発見者とする。
と書かれた紙を貴子(中条あやみ)が見つけてきました。
5人は、温子が「殺され役」になって姿を消したと考え、この芝居の「犯人役」を推理し始めます。5人は、全員がアリバイを証明することは出来ません。雨宮(戸塚純貴)が「外部からの侵入者もあり得る」と言ったことで、山荘内を調査することが決まりました。
中西貴子(中条あやみ)の話
久我(重岡大毅)は貴子(中条あやみ)とペアにされ、2階の非常口を点検することに。点検中、久我は貴子から
- 温子(堀田真由)は東郷と男女の関係にあり、贔屓されているという噂があった
- 朝倉雅美(森川葵)は温子の同期でライバルだったが、オーディションに落ちた直後、スキー事故で半身不随になった
と聞きます。これで、朝倉雅美の話題をきまずそうにしていた理由がわかりました。
久我(重岡大毅)の疑問
地面は全て雪に覆われている。足跡はなし。
と書かれた紙が玄関や裏口から見つかり、犯人役が5人の中にいることが確定します。
久我(重岡大毅)には、一つ引っ掛かることがありました。温子(堀田真由)は、ヘッドホンのコードで殺された設定でしたが、死体発見の紙が見つかった時、ヘッドホンのコードは電子ピアノのプラグに差さっていたのです。
そもそも、遊戯室は防音されており、温子がヘッドホンをつけてピアノを弾いていたことも不自然でした。
ところが、いざ遊戯室を確認しに行ってみると、ヘッドホンのコードは抜けて、床に落ちていたのです。
田所義男(岡山天音)の話
雨宮への疑い
遊戯室についてきた田所義男(岡山天音)は「大役である犯人役は、元村由梨江(西野七瀬)か雨宮恭介(戸塚純貴)だろう」と言い切ります。
さらに、恋敵でもある雨宮について憎々しげに話を始めます。田所は、「雨宮が東郷お気に入りの立場を利用し、ロンドン留学を朝倉雅美(森川葵)から奪い取ったに違いない」と考えているようでした。
朝倉雅美(森川葵)に隠された真相?
さらに田所は、「朝倉雅美が半身不随になったのはスキー事故ではなく、自殺しようとしたからだ」と言います。雅美が滑降禁止の場所で直滑降したのが、そう考える理由でした。
また、演技力のある雅美がオーディションに落ちたのは、容姿の悪さとのこと。よりにもよって、美しい由梨江と同じジュリエットを演じたことが、雅美の敗因だと断言するのでした。
温子(堀田真由)を殺す動機
本多(間宮祥太朗)の一言から、「温子(堀田真由)はなぜ殺されたのか?」という議論が始まります。動機となりえる
- 利害関係
- 怨恨
- 愛憎
について話す中、久我(重岡大毅)は朝倉雅美(森川葵)の名前を出してみます。場の空気は一気に重くなり、なんとなく解散することに。久我は、今回の招集に朝倉雅美が関わっていると思えてならないのでした。
本多雄一(間宮祥太朗)との約束
久我(重岡大毅)は本多(間宮祥太朗)の部屋を訪れ「泊めて欲しい」と頼みます。第2の殺人劇に備え、お互いのアリバイを証明できるようにしたのです。2人が一緒に過ごすことを、第3者に知らせておくことで、どちらかが殺された場合、残った方が犯人役だとわかる仕組みにしておくことに。
久我は、証人となる第3者を由梨江(西野七瀬)に頼みました。
【3日目】意外な2人目の「殺され役」
元村由梨江(西野七瀬)が「殺され役」に
3日目の朝、由梨江(西野七瀬)の部屋から
元村由梨江の死体は、この紙が落ちていた場所に倒れていた。死体の前頭部には鈍器による打撃の痕、首には手で絞めた痕が残っている。
と設定が書かれた紙が見つかります。由梨江が殺され役になったことにイラついた田所(岡山天音)は、勝手に雨宮(戸塚純貴)が犯人役だと決めつけ、責め立てます。
そんな中、久我(重岡大毅)はスタンドの明かりがついていることに気がつきます。これは、由梨江が起きている時間帯に、ノックをしてきた犯人役を迎え入れて襲われたことを意味していました。
本物の凶器の発見?
由梨江が殺され役になり消えてしまい、久我(重岡大毅)はさっさと犯人役を見つけ、茶番劇を終わらせようと考えます。本多(間宮祥太朗)とはアリバイを証明しあっているので、犯人役は
- 雨宮恭介(戸塚純貴)
- 田所義男(岡山天音)
- 中西貴子(中条あやみ)
に絞られていました。
由梨江(西野七瀬)の部屋を再確認に行くと、そこには雨宮の姿が。2人で手がかりを探していると、生理用品が見つかります。男性に見られたくないであろう生理用品を、片づけ忘れていることについて、大きな違和感を感じます。
数分後、ひどく慌てた本多が、「裏に落ちていた」と一輪挿しを持って現れました。凶器とおぼしき一輪挿しには、本物の血液がついていました。
さらに、由梨江の部屋のごみ箱から
この紙を鈍器(洗面所の花瓶)とする
と書かれた紙を、田所(岡山天音)が見つけてしまいます。凶器が2重になってしまった理由を
元村由梨江(西野七瀬)と笠原温子(堀田真由)は本当に殺されてしまった
と、本多は断言するのでした。
死体はどこに?
動揺が広がる中、「本当に殺人が起きたとして、2人の死体はどこにある?」という疑問があがります。すると貴子(中条あやみ)が、山荘の裏にある古井戸の存在を思い出しました。
古井戸をふさぐ板を外し、懐中電灯で中を照らしても、底まで見ることは出来ませんでした。諦めて板を戻そうとした時、久我(重岡大毅)は板の端に赤い糸を見つけます。
それを見た貴子は、「温子(堀田真由)のセーターの糸だわ」と泣き崩れるのでした。
アリバイの口止めをする本多(間宮祥太朗)
取り乱した田所(岡山天音)や貴子(中条あやみ)の様子から、最も怪しいのは雨宮(戸塚純貴)ですが、どうにも久我(重岡大毅)は実感がわいてきません。が、もしも由梨江(西野七瀬)が本当に殺されているのだとしたら、死以上の復讐をしてやると、久我は心に誓います。
食事当番である本多(間宮祥太朗)とカップ麺を用意していると、本多から
アリバイを明かすタイミングは俺に任せてくれ
と、口止めされます。念押しされ本多に、久我は「ずいぶんしつこい」と感じるのでした。
不合理な2点
芝居か現実か…死体が見つからない以上、すべては東郷陣平の仕掛けた罠と言う可能性があり、外部との接触を思いとどまるメンバーたち。しかし、これこそが犯人の巧妙な計画であるとも思えます。
しかし、この計画には2点、不合理なところがありました。
- 犯人はなぜ7人を集める必要があったのか?⇒別々に人気のないところで殺害した方が簡単である
- 3泊4日の合宿が終わり、通報されたら、犯人はどうするつもりなのか?顔を知られている以上、不可能に近い
この点について論じていると、貴子(中条あやみ)が「犯人は殺人を終えたら、自殺をするつもりなのではないか?」と言い出します。一気に場の雰囲気は暗くない、議論は中途半端なまま終結するのでした。
田所(岡山天音)の疑い
これが現実の殺人事件だと考えた田所(岡山天音)の疑いは、久我(重岡大毅)へと向けられます。朝倉雅美(森川葵)のことを何度も話題にしていた久我は、実は彼女の恋人で、復讐をしていると言うのです。
由梨江に好意があっただろう雨宮(戸塚純貴)が犯人である可能性は低く、次に怪しいのは本多(間宮祥太朗)だと主張。
この殺人が朝倉雅美の復讐だとすれば、最後に殺されるのは雨宮だと言い切るのでした。
【4日目】予想通りの3人目
貴子(中条あやみ)以外の男たちは、そろってラウンジに寝ることにします。誰も消えることなく朝を迎え、ホッとしたのもつかの間、朝食後に強烈な睡魔に襲われます。
睡眠薬を盛られたことに気がついた久我(重岡大毅)は、とっさにマッチ棒をつかった仕掛けを施しておきました。
一人起き上がった者が近づいて行ったのは、田所(岡山天音)の予想通り、雨宮(戸塚純貴)の元でした。すべての処理を終えた犯人は
雨宮恭介は首を絞められて殺されている
と書いた紙を残し、元の場所に体を横たえるのでした。
映画「ある閉ざされた雪の山荘で」ラスト結末をネタバレ!犯人は!
犯人は本多雄一(間宮祥太朗)だが、殺人は犯していない
久我(重岡大毅)は、マッチ棒を田所(岡山天音)と中西(中条あやみ)の体の上にのせ、犯人を割り出そうとしました。目が覚めた時、2人のマッチはそのまま残っており、犯人が本多だと確信したのです。
そもそも久我は、本多がいつまでもアリバイについて明かさないことに不信感を抱いていました。
本多(間宮祥太朗)がアリバイを明かさなかったわけ
本多がアリバイを公表しなかった理由は、ある人物に「自分が犯人である」と思わせていたかったからです。山荘内には、盗聴器が仕掛けられており、隠れて朝倉雅美(森川葵)が聞いていたのです。
本多にはアリバイがあり、犯人にはなりえないはず。実は、死んだと思われている3人も協力者であり、朝倉雅美に復讐を遂げさせたと思い込ませるための芝居だったのです。
アリバイのある時間、由梨江(西野七瀬)殺害シーンを演じたのは、雨宮(戸塚純貴)でした。
朝倉雅美(森川葵)はどこに?
朝倉雅美は本多(間宮祥太朗)による復讐を見るため、4日間ずっと山荘内の遊戯室と由梨江たちの部屋の間にある物入れの中に潜んでいました。
山荘のオーナー、小田伸一は朝倉雅美の叔父だったのです。小田は殺人計画のことは知らず、面白がって山荘の改造にだけ協力していたのでした。
殺人計画の動機
笠原温子(堀田真由)、元村由梨江(西野七瀬)、雨宮恭介(戸塚純貴)の来訪
朝倉雅美(森川葵)の動機は、やはりオーディションに落ちたことがきっかけでした。芝居を捨てることを決め、実家に戻った雅美の元に、笠原温子(堀田真由)、元村由梨江(西野七瀬)、雨宮恭介(戸塚純貴)がやってきます。
3人は芝居を続けるよう説得するつもりでしたが、雅美をひどく傷つける行動をとってしまいます。雅美の演技力を評価しつつも
(元村由梨江と同じ)ジュリエット役を演じたからオーディションに落ちたのだ
と言う本心が漏れ出ていました。雅美は雨宮を想っていたからこそ、ジュリエットを演じたのです。しかも、3人は雅美の恋心を知っていて、雨宮を説得役に連れて行ったのです。
3人に腹を立てた雅美は、「卑劣な手で合格したあなたたちに、同情されたくない」と言い、喧嘩状態になってしまいます。
しかも、雅美は3人がドライブのついでに寄ったにすぎないと知ってしまったのです。怒りのあまり雅美はタイヤに穴をあける嫌がらせをしてしまいました。
自己嫌悪に苛まれる中、温子から「雨宮と由梨江が車ごと崖から転落した」と電話がかかってきます。殺人を犯してしまったと信じ切った雅美は、以前から知っていた『滑降禁止』の場所へと向かい、自殺を試みてしまったのです。
憎悪と復讐の約束
病院で目覚めた雅美は、3人に騙されたことを知ります。半身不随になったことで、憎悪は募るばかりでした。雅美が唯一「会おう」という気持ちになれたのが、本多雄一(間宮祥太朗)でした。本多から好意を寄せられていたことを雅美は知っていました。
2度目の自殺をはかった雅美を助けたのも本多でした。雅美は全てを打ち明け、「何でもする」という本多に「3人を殺してほしい」と頼んだのです。動揺しながらも本多は、雅美の願いを受け止めました。
雅美(森川葵)は芝居だと知っていた
本多(間宮祥太朗)は、3人を殺害せず、雅美を苦しみから解放する方法を考えます。そこで、3人に協力をさせ、殺人を芝居で雅美に見せることを考えついたのです。
本多は、雅美がこの殺人劇を途中で止めるに違いないと考えていたのです。本当のところ、雅美はこれが芝居だと気がついていました。腹を立てつつも、最後まで彼らの演技を見極めてやろうと思って、止めなかったのです。
「ある閉ざされた雪の山荘で」原作感想
ラストで、笠原温子(堀田真由)、元村由梨江(西野七瀬)、雨宮恭介(戸塚純貴)の3人は、雅美に謝罪をし「芝居をやめて、雅美のために何かしたい」と涙します。
しかし、雅美は彼らに「芝居はやめないで」と断りました。ラストは、全員が泣いてしまうという結末で幕を閉じます。
東野圭吾さんの作品は、感情移入してしまい、こちらも泣いてしまうことがあるのですが、「ある閉ざされた雪の山荘で」では、そういった気持ちにはなれませんでした。
無自覚に人を傷つけていることへの恐怖
それより、私がゾッとしたのは、無自覚に誰かを傷つけたことが、大きな事件に発展することが、現実にもあるだろうと感じたからです。
笠原温子(堀田真由)、元村由梨江(西野七瀬)、雨宮恭介(戸塚純貴)は、平均的より『良い人』と呼んで良いタイプの人々だと思うんです。朝倉雅美(森川葵)に「芝居をやめないで欲しい」と説得に行ったのも、決してドライブのついでではなかったはず。
喧嘩をした後、3人が和気あいあいと楽しそうにしているのを見て(見たのは母親ですが)、ムカついた雅美は車をパンクさせてしまった。それに対し、温子は軽い気持ちで、嘘の逆襲をしてしまいます。
どんなに『良い人』であっても、相手に負の感情をぶつけてしまうことはあるはずです。むしろ、『良い人』と思われているからこそ、1回のそれが相手に大きなダメージを与えてしまったりします。
「沈黙のパレード」でも、被害者が殺される原因となったのは、感情から発してしまった一言でした。
>>映画ガリレオ【沈黙のパレード】ネタバレあらすじ感想
私たちは、誰かのちょっとした言動で傷ついたり、怒ったりしてしまいます。が、感情に任せ、「相手にも同じ思いをさせてやろう」と行動までしてしまうと、何倍にもなって自分に返ってくるかもしれません。結局、「ある閉ざされた雪の山荘で」では、4人がとも(特に雅美は)大きな代償を支払うことになってしまいました。
映画キャストについて
映画の主要キャストの中で、意外だったのは、雨宮恭介役の戸塚純貴さんになります。
原作の雨宮は、真面目なリーダーシップタイプ、しかも「イケメン」なはず。「美人の由梨江と天才の雅美から好意を寄せられている雨宮が戸塚純貴さん??」と正直思ってしまいました。
私の中の、戸塚純貴さんは↓
戸塚純貴さんの中にイケメン要素を一度も感じたことがないのですが(笑)
ただ、経歴を調べてみると、戸塚純貴さんはジュノン・スーパーボーイ・コンテストで「理想の恋人賞」を受賞しているので、素敵な雨宮恭介をみられるかもしれません。