映画【老後の資金がありません】の公開にさきがけて、垣谷美雨さんの書いた原作本を読んでみました。
主人公の後藤篤子(53歳)を演じるのは天海祐希さん。
まず、このキャストはどんぴしゃりです!
映画もみてみたのですが、原作とは内容が少し違っていたものの、テンポが良く、ラストには感動して涙がほろりとしてしまいました。
どちらもおすすめの作品です。
【老後の資金がありません】は、楽しみながら勉強になる作品なので、一見の価値ありですよ。
それでは、映画のキャストについてもおりこみながら、あらすじ・ネタバレ・感想を書いていきたいと思います。
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映画【老後の資金がありません】キャスト紹介|原作との違いは?
- 後藤篤子(53歳):天海祐希…パート勤務をしている普通の主婦
- 後藤章(56歳、原作では57歳):松重豊…篤子の夫。普通のサラリーマンだが、無職になってしまう。お金に無頓着。
- まゆみ/原作ではさやか(28歳):新川優愛…篤子の娘。アルバイトをしていたが、結婚する。気弱な娘のはずが…
- 勇人(大学4年生):瀬戸利樹…篤子の息子。しっかり者で快活な性格。母の篤子を「篤子さん」と呼び、いろいろサポートをしてくれる。
- 松平琢磨:加藤諒…まゆみ(さやか)の結婚相手。原作では、まじめで、堅物の商社マン。映画では年収150万円のバンドマンに変更。
- 桜井志津子/原作では櫻堂志々子:若村麻由美…章の妹。夫は高収入ではあるが、親の葬儀費用を兄に負担して欲しいという。性格はきつめで、きっちりしている。
- 桜井秀則/原作では櫻堂秀則:石井正則…志津子(志々子)の夫。微生物研究所に勤務するエリート高給取り。
- 神田さつき:柴田理恵…夫とパン屋さんを営む篤子の友人。原作では細身でサバサバした性格として描かれている。
- 後藤房乃(原作では房子):草笛光子…篤子の姑。浅草で老舗和菓子屋を夫と営んでいたが、店をたたんだ後は九十九里の高級ケアマンションに入居。豪華な生活をしていた。
- 城ケ崎君彦(原作では城ケ崎綾乃):クリス松村…原作で城ケ崎はフラワーアレンジメントの講師だったが、映画ではヨガ教室の講師に変更。
- 本間千帆:友近…篤子の舅の葬儀を担当する
- 天馬:哀川翔…章の会社の元同期。やり手だが、章はずっと嫌っていた。
その他にも、高橋メアリージュン、北斗昌、佐々木健介、荻原博子、竜雷太、藤田弓子、毒蝮三太夫、三谷幸喜もキャストとして登場。
冒頭で書いたように、原作と映画の両方を見ましたが、物語の大筋は同じであるものの、原作には出てこない人が映画では出て来たり、逆もありました。
どちらかというと映画の方が、コメディ要素が強く、2022年にそった内容に。
原作は、登場人物の心情が細かく描かれており、シリアスな内容も含まれています。
原作【老後の資金がありません】あらすじ・ネタバレ・感想
映画と原作では、登場人物の名前が違いますが、あらすじでは、原作側に合わせて書いていきたいと思います。
篤子(天海祐希)VS夫(松重豊)娘の結婚費用で600万出す?出さない?
後藤篤子(役:天海祐希)は、夫の後藤章(役:松重豊)ともめています。
もめている原因は、娘さやか(役:新川優愛)の結婚式の費用の事。
結婚式に600万かかるというのですが、章は出してもOK、篤子はそこまで出したくないという考え。
何しろ、篤子は老後が不安でたまらないのです。
章は定年まで、あと数年だというのに、お金にたいして無頓着。
今まではすべて、篤子にまかせてきました。
まかされていた篤子は、実情がわかっているので、心配でたまらないのです。
章が結婚式費用を出してあげようと言っているのは、実は娘のためというより
「みっともないことをしたくない」というのが本音。
篤子は、そんな章を「見栄っ張り」と思っています。
男のプライドってやつですね(笑)たいして女性は現実的。
夫婦で喧嘩する原因の上位に「お金のこと」が入るのは仕方ないんだろうなぁ。
その上、篤子は、50歳をさかいにして、今まで気がつかなかった夫のあらに気がつき、不満に思っているのでした。
★
娘のさやかはというと、子どもの頃から勉強ができず、やっと短大を卒業。
なんとか就職した派遣先から1週間でくびになったこともあるほど、心配な娘です。
しかし、かわいらしい顔立ちではあるおかげか、今回結婚するお相手の松平琢磨(役:加藤諒)は年下の商社マンで、英会話教室で出会ったと言います。
しかも琢磨の家は、スーパーをチェーン展開させているほどの、お金持ち。
いわゆる玉の輿なのでした。
篤子は600万も出す必要はないと、反対したものの
「お金のことで、さやかが嫁ぎ先で、つらい思いをし続けることになるかも」
と心配になってきます。
友人、神田サツキ(柴田理恵)の話に焦る篤子
場面は変わり、篤子が通う公民館のフラワーアレンジメント教室(映画ではヨガ教室)
そこには、子どもが赤ちゃんの頃からのママ友 神田サツキ(役:柴田理恵)も通っています。
サツキは、無駄なものは一切買わない倹約家。
夫婦でパン屋さんを営んでいます。
フラワーアレンジメントは月に一度の開催で、花の実費が1000円程度。
持ち帰った花はお店に飾り役立てています。
サツキが「ユニクロは高い」というシーンがあるのですが、めちゃ共感!
むかしより高くなったなぁと、つい思っちゃいます(←いつの話w)
お金の話で盛り上がる篤子とサツキ。
70代だけれど、美人で優雅なフラワーアレンジメントの先生 城ケ崎綾乃について
「やはり女は顔。金持ちにみそめられれば、生涯豊かな生活が約束される」
と話します。
映画【老後の資金がありません】ではクリス松村演じる城ケ崎君彦に変更されているため、このシーンは描かれないかも?
ちょっと残念です。
私も「美人だったら、もっと違う人生があったかなぁ」なんて、思ったりしたこともあったので。
もっとも、篤子役の天海祐希さんは美人ですけどね!
★
友人である神田サツキの息子、知行も、高校の同級生と結婚をするとの話になり、篤子は親が援助する費用の金額を聞いて驚きます。
その金額はおよそ30万円。
しかも、息子自身の貯金額も、1500万円以上あるだろうと言います。
それを聞いた篤子は、ひどく焦ります。
娘のさやかの貯金は、わずか180万円だったのです。
舅が危篤!義妹(若村麻由美)との相続争い?
そんな時、90歳をこえた章の父親が危篤になったと連絡が入ります。
親族が集まった中、章の妹、櫻堂志々子(役:若村麻由美)は、舅にかかった介護費用の負担について切り出します。
それを聞いた篤子は
「うちも毎月9万円の仕送りをしています!」
と反論。
相続争いのゴングがなっちゃいましたか!
しかも、親に毎月9万円も仕送り?!
義理の妹夫婦も、おなじく9万円を出していたそうだが、志々子の夫(役:石井正則)は年収1500万円を超える高給取り。
篤子としては、たいした介護もしていないはずなのに、費用を請求してくる志々子にたいし反感をもちます。
結局のところ、志々子の要求は
「兄である章が喪主をして、葬儀費用ももってほしい」
というものでした。
志々子によると、お香典があるので、そんなに費用はかからないとのこと。
章は
「もともと喪主をするつもりだった」
と引き受けます。
姑そっちのけで、財産について言い合う兄妹でしたが、しまいに志々子は
「子どもの頃から、兄ばかり後継ぎとして可愛がられてきた」
と泣き出してしまいます。
聞いてるとコメディだけど、親の不平等って根が深いんですよね…
ずっと眠っていた気持ちが、相続の時にふきだすことは結構あるんだそうです
お金の問題だらけの中、篤子は解雇されてしまう
家へともどった篤子は、娘さやかに
「結婚式の見積もりを見せて」
と言うのですが、数字が苦手だからと明細も持っていません。
息子の勇人(役:瀬戸利樹)は
「琢磨の家の都合で式を盛大にするのだから、向こうが多く費用を出してもよいのでは?」
と主張します。
さやか自身も、本当は目立ちたくないので、記念写真を撮影するくらいでも良いのだそう。
勇人は姉の結婚相手である琢磨を
「良い人とは思えない」
「琢磨の勤める商社は、給料も安いし、実は零細企業だ」
と篤子に言うのでした。
玉の輿って昔は憧れたこともあったけど、そんな簡単じゃないのね
お金の不安が山積みの中、職場に行った篤子は、人事に呼び出されます。
「もしや正社員への打診?」
と期待したものの、実際には解雇通知をされてしまいます。
ただでさえ大変な時に、とうとう篤子は仕事も失ってしまうのでした。
娘の結婚費用の後、残った老後の資金はいくら?
いろいろと不安はあったものの、さやかの結婚式は盛大に行われます。
篤子ら夫婦が出した金額は500万円になりました。
こまごまと注文してきた割りに、きっちり費用は半分請求してきた松平家に、篤子は
「金持ちはケチ」
と思います。
篤子が仕事を失ってから2か月、失業保険をもらいながら、職探しをしています。
この段階で、後藤家の老後の資金は
1200万円-500万円=700万円
になっていたのでした。
舅の葬儀費用はいくらに?のこった老後の資金は?
やがておとずれた舅の死。
葬儀を引き受けたはずの章は
「会社が忙しい。会社が怪しい」
と、現在失業中の篤子に、葬儀社との打ち合わせを頼みます。
最初は断った篤子ですが、結局打ち合わせをやることに。
葬儀社からやってきた担当者は本間千帆(役:友近)
本間が提示する棺桶や祭壇の高額さに驚いた篤子は、できるだけ安いものを選ぼうとします。
しかし本間は
「老舗の和菓子屋さんである後藤家の葬儀なのに、本当に大丈夫ですか?」
と、確認という名のプレッシャーをかけてきます。
本間は原作の【老後の資金がありません】では、完全に脇役。
でも、友近さんが演じることで、かなり個性的なシーンになりそうです。
原作の中でも、葬儀の見積もりの場面は、かなり勉強になりますよ。
次から次へと、金額を決めていかなければならないものがあり、篤子の金銭感覚は、すっかりマヒしてしまいます。
最終的に、葬儀代はもろもろ含めて、400万円以上かかってしまいます。
また、最初に考えていたほど弔問客がこなかったため、あてにしていたお香典は、たいして集まらなかったのでした。
後藤家の老後の資金は
1200万円-500万円-400万円=300万円
篤子は、姑がなくなった時の葬儀費用の事まで考えてしまいます。
さらに、サツキの舅の葬儀の話を聞いた篤子は、自分がとんでもない愚か者に思えてしまったのでした。
サツキもサツキのお舅さんも、本当に賢くて見習いたい!
葬儀のことは「縁起でもない」と、口にするのはタブーと思われがち。
でも、生前に考えておくことは、むしろ遺されるものへの思いやりかも。
いよいよ夫まで失業!夫婦で無職に
ある日の事、まだ勤務中のはずの夫 章から、珍しく電話がかかってきます。
その電話は、章が解雇されることになり、退職金さえも出ないとの内容でした。
あと数年で定年、65歳からは年金ももらえます。
けれど、章は会社で入っていた年金基金の50万円を一時金として受け取り、飲み食いで使ってしまった過去があり、将来受け取れる年金額は大幅に減ってしまっていました。
年金基金、もったいない!
そういえば、あの、ひろゆきさんも、年金は払った方が得と言ってました
娘(新川優愛)が夫からDV?!
老後の資金がどんどん減った上に、夫の失業と、問題だらけの後藤家に、さらなる心配事が。
琢磨がさやかにたいして、DVをしているのではという疑惑が持ち上がります。
勇人とともに、さやかの新居を訪れるが
「取り込み中だから」
と、中にもいれてもらえず、帰らされてしまいます。
さやかが、実家に戻ることを想像した篤子は、つい友人サツキの子どもたちと比較し
「もっと賢く暮らしてきたなら…」
と後悔したものの、娘を守ると決意し、気持ちを切り替えるのでした。
かつての親友からの言葉にショックをうける篤子
老後の資金を少しでも減らさないように
- レンタルモップの解約
- 新聞もやめる
- 車も売ってしまう
と、篤子は節約につとめます。
そうこうしているうちに、章はいよいよ失業し、無職になります。
しばらくすると、近所の主婦に、夫が出勤していない理由を聞かれ
「長期の休暇中」
とごまかします。
近所の旦那さんが出勤してなかったら理由はきいちゃだめ~!
そんな中、篤子のもとに、かつての親友 植田鈴世から電話がかかってきます。
「東京に遊びにいこうと思う」
という鈴世に対し、篤子は
「こんな状況の中、泊めて欲しいと言われたらどうしよう」
と考えます。
同級生の噂話ばかりする鈴世には、もはや警戒心しかなかったのです。
なんとか話題を変えたものの、ある言葉をきっかけに、鈴与が怒り出し
「(篤子は)誰よりも見栄っ張り」
と言われ、篤子はショックを受けます。
旦那さんの事を見栄っ張りと言っていた篤子だったから、まさかの言葉だったのね
なかなか職が見つからない!50代女性のリアル
篤子はずっと仕事探しをしているのですが、なかなか思ったような職が見つかりません。
- ネットで検索しても50代女性の仕事は立ち仕事ばかり
- 1日8時間の立ち仕事は体力的に無理そう
- 事務職は、特別な資格がないと見つからない
- 店員同士がギスギスしていないところで働きたい
- 介護はきつすぎる
これ「わかる!」と思った女性多いのでは?
私も同じでした
求人をチェックしているところへ、さやかが顔を出します。
しかし、あれほど気弱だったはずの娘は、ずいぶんと様子が変わっていました。
物言いもきつくなり、ますます琢磨のDVを疑った篤子は
「琢磨から暴力を振るわれているでしょう?」
と聞いてしまいます。
しかし、さやかは
「バカみたい」
と否定するのでした。
★
ある日の午後、篤子は、区が主催する「老後の資金について」という講演会を聞きに行きます。
そこには、倹約家の友人サツキと、最近知り合ったセレブな専業主婦 美乃留 の姿もありました。
講演会の後、サツキの家にいきお茶をすることになった3人。
ずっと隠していた、それぞれの辛い事情を、告白しあいます。
そして、最後にはサツキの実践している節約法を教えてもらう事にしたのでした。
篤子は姑を引き取ることに!
リストラされて以来、ハローワークや図書館へ行く以外、寝てばかりいる章を起こし
「もう9万円もの大金を親に仕送りはできない」
と、義理の妹 志々子に電話するように切りだします。
しかし、章は煮え切らない態度。
怒った篤子は、結局自分で志々子に電話、対決をします。
が、つい話のいきおいで
「義母さんをひきとります」
と宣言してしまうのでした。
姑の房子(役:草笛光子)が引っ越してくる2週間ほど前、自宅から自転車で10分程度のコンビニで篤子は働きだします。
早朝7時~午後3時までの勤務ですが、姑のお世話をしなくてはならないため、かなりの早起きをしなくてはなりません。
パートから帰った篤子は「お茶を入れて」と頼んできた姑にたいし、思わず「お茶くらい自分で入れて」とかえしてしまいます。
しかし、房子は実のところ、台所に勝手に入ってはいけないのではと遠慮していただけ。
本当は篤子の世話は、まったく必要としていなかったのでした。
コミュニケーションって大事だなぁ。
黙っていたら、お互いにストレスをためつづけちゃって憎しみ合ってたかも。
姑 房子のいがいな本性、これはミステリー?
姑と話をしているところへ、サツキから
「お姑さんを貸して欲しい」
と、なんとも怪しげな電話がかかってきます。
電話の事を姑に話すと
「おもしろそう」
とにやり、10万円でその依頼を引き受けると言います。
サツキからの依頼は、篤子の不安をよそに、あっさりと終了。
10万円を手にした姑は上機嫌です。
篤子に生活費の足しにと、お金を渡してくるのでした。
★
そこへ再びサツキから
「もう一度、お姑さんを貸して欲しい」
と連絡が入ります。
今度は、従兄弟のためにとのこと。
房子は50万円で引き受けることにしてしまいます。
しかし、いざ従兄弟の家に行くと、なぜか姑は
「やめた」
と言った後、サツキを睨みつけるのでした。
これで、『お姑さんの貸し出し』は終了かと思いきや、次はなんと100万円の依頼を引き受けることに…。
しかし、この取引はうまくいかず、姑は
「やっぱり小心者は正直に生きていく方がいいのよ」
と言うのでした。
ミステリーに出てくるおばあちゃんみたいな姑 房子がおもしろい。
草笛光子さんにぴったりのキャストです!
DVの疑惑が晴れる?さやかの変化に姑は
ある日、義妹 志々子がデパートの帰りに、自宅へ寄ることになります。
母親 房子の顔を見た志々子は
「ふっくらして、若くなった」
と言います。
そして、嫁姑が思いがけず、うまくやっていることに嫉妬したのか、志々子は早々に帰ってしまうのでした。
頭が切れるけれど、実は心に闇があって、何かの反動で感情が爆発する…
志々子(志津子)役の若村麻由美さんは、そういう役がとてもうまいので、キャスティングばっちりです。
志々子が帰ったすぐ後に、今度は久しぶりに、娘のさやかがやってきます。
さやかを見た姑は
「すごく変わった。夫を尻にしく、かかあ天下ね」
と笑います。
それについて否定しながらも、すっかり男勝りになったさやかは
「子どもも生まれるし、私がしっかりしなきゃ」
と実家の冷蔵庫をあさり、ちゃっかり高そうな食材を選んで、持って帰ってしまいます。
そんなさやかをほめてくれた姑の言葉に、篤子は感激するのでした。
DV疑惑はどこへやら
母は強しですね!
人は見かけじゃわからない!あの人が犯罪者に
姑が志々子と出かけ、久しぶりに心からくつろいでいた篤子は、なんとなくテレビをつけます。
そこには知った顔がうつっており、篤子は驚きます。
テレビにうつっていたのは、フラワーアレンジメントの先生 城ケ崎綾乃。
しかも、綾乃は夫殺しで逮捕されたと報道されていたのです。
とても優雅に見えていた城ケ崎綾乃でしたが、実は長いこと夫は寝たきり、年金も少ない上に、一人息子は引きこもりという現実を生きていました。
同じくニュースを見たサツキは電話をかけてきて
「人って見かけじゃわからないね」
と、しみじみ言うのでした。
ただ【老後の資金がありません】において、城ケ崎綾乃の事件は衝撃的で大事な場面。
みんないろんなことを抱えながら生きていることを、実感せずにはいられませんでした。
【老後の資金がありません】ラスト ネタバレ 感想
いよいよ【老後の資金がありません】のラストをネタバレしていきます。
- 娘の結婚資金
- 舅の葬儀費用
- 夫婦そろっての失業
と、次々とお金の問題に直面し、老後の資金がどんどん減ってしまった篤子。
原作の中で、篤子から見ると「うらやましい」と思っていた登場人物たちも、それぞれが問題をかかえ、決して安全な老後を過ごせるような状況ではありませんでした。
義理の妹 志々子のように、お金には困っていなくても、子どもの頃のトラウマがある人は、どこか心に闇を抱えていて幸せとは遠かったりします。
さて、そんな【老後の資金がありません】の登場人物たちですが、ラストでは
それぞれ、希望を持って新しい人生を歩みはじめます!
まず、お姑さんは義理の妹 志々子と暮らすことに。
志々子は、母親と離れてみたことで、自分の本当の気持ちに気がついたんですね。
- 昔のわだかまりを捨てたことで、仕事に復帰できた者
- 思い切って離婚をする者
- 田舎へと帰っていく者
何も知らない他人から見たら、それは『負け』であるし『不幸』に見えるかもしれません。
けれど、【老後の資金がありません】の登場人物たちは、お金があった頃よりも、ずっと生き生きと輝き、希望に満ちて描かれています。
篤子自身も
「知恵を絞れば、まだまだ様々な可能性が残されているらしい」
と、うきうきした気持ちにさえなっていました。
ちなみに映画のラストでは、篤子たち夫婦は自宅を売却し、シェアハウスでの暮らしを選びます。
最近は高齢者×若者のシェアハウスも増えており、年代を超えて助け合う暮らしをすれば、大金がなくても暮らして行けるのでは?という提案をされたように思いました。
また、巻末には、作家 室井佑月さんの解説があり、短いながら一つの物語として、読みごたえがあります。
あんなに有名で、気丈にみえて、お金の心配なんかなさそうな室井さんも、普通の人と同じように悩むことがあるんですね
私もちょうど篤子と同年代。
これまで経験してきたこと、感じてきた想い、もちろん老後の不安など、【老後の資金がありません】は共感できることばかりでした。
あらすじには書ききれていませんが
- 年金の事
- 葬儀の事
が、具体的な数字も書いて説明されており、楽しみながら勉強させてもらったなと思っています。
また、お金はもちろん大切で、たくさんあれば安心や、物質的な豊かさをもたらしてくれますが、それ以上のものを【老後の資金がありません】は教えてくれました。
見栄をはらずに付き合える、本当の意味での友人の存在は、貴重です。
私にも生涯つきあっていけたら良いと思える友人が、数人おります。
たとえ距離は離れてしまうことがあっても【老後の資金がありません】の篤子たちのように、お金はなくてもウキウキしあえる関係を深められたらなぁと思いました。
キャストは加藤諒さんでばっちりですね(失礼)