八王子市民必見の一冊、八王子出身の作家 川奈まり子さんが書いた『八王子怪談』をご紹介いたします。
八王子の心霊スポット【トンネル・山・橋】編という記事の中でも登場していたのですが、あらためて手に入れて読んでみました。
『八王子怪談』を読んでおけば、八王子市内の主な心霊スポットは、だいたい把握できるだけでなく、巷に流れている心霊スポットの噂話が、実は間違っていたなんてこともわかる、真実に迫る一冊です。
また、心霊スポットにまつわる忘れてはならない歴史的に悲しい出来事などもわかるので、八王子市民必見とさせていただきました。
今回は、本書の中から、個人的におさえておきたいと感じた心霊スポットを7つピックアップ。
私の感想や、その場所に関する豆知識などをプラスしてご紹介したいと思います。
1:高尾みころも霊堂
高尾みころも霊堂は、労働により命を落とした方々を供養しています。
イーアス高尾のフードコートから、供養塔が見えて、私も行ってみたことがあるのですが、金色に光った塔なので、一見するとちょっぴり怪しげです。
が、その外見とは裏腹に、明仁上皇がまだ天皇陛下をしていた時に、美智子様と足を運んだこともある場所です。
すぐ近くには昭和天皇が眠る武蔵御陵もありますからね。
私が訪れた際は、お茶をふるまっていただき、敷地内に住んでいると思われる猫様とたわむれさせていただきました。
敷地内は管理が行き届き、大変きれいなのですが、やはり特別な空気感はあります。
みころも霊堂は令和4年5月に建立50周年をむかえるということで、『八王子怪談』の中では、子どもの頃にみころも霊堂で心霊体験をした少年の話が書かれています。
なんでも、中学生時代、みころも霊堂でサバゲーをした帰り、50人をこえるであろう白装束の人を見たとか。
友人にその話をすると「自分の母親も白装束の人たちを見たことがある」と言ったとか。
みころも霊堂には、電通で過酷な仕事に耐えられず自ら死を選んだ 高橋まつりさんの遺骨の一部も安置されています。
私の友人は、霊堂の中をお参りしたことがあると言っておりました。
〒193-0941 東京都八王子市狭間町1992
TEL:042-663-3931
【開堂時間】
納骨堂:午前10時~午後4時
管理事務所:午前8時15分~午後5時
【休堂日】毎週火曜日 (春秋のお彼岸と新旧のお盆を除く)、12月29日~1月3日
2:富士森公園・御所御所水弁(辨)財天・産千代稲荷神社
〒193-0931 東京都八王子市台町2丁目2
御所御所水弁(辨)財天
〒193-0931 東京都八王子市台町2丁目12−14
産千代稲荷神社
〒192-0054 東京都八王子市小門町82
富士森公園は、八王子花火大会が開かれる場所。
駐車場も完備されており、最近は遊具なども新しくなり、市民の憩いの場となっています。
が、その中には、台町浅間神社や戦没者の慰霊塔もあったりと、神聖な場所でもあるのです。
八王子怪談の中では、古くから富士森公園付近に住んでいる一族の男性から聞いた話が書かれていました。
男性の祖母が若かりし頃、夜泣きをする赤ちゃんをおんぶして、富士森公園をさまよい歩いていた時、小さな境内のお地蔵さまに助けを乞うべく祈りを捧げます。
川奈さんも子育て経験を記しているのですが、赤ちゃんの夜泣きは、母親の精神をおかしくさせるには十分な破壊力を持っているので「助けて」とご神仏に祈りたくなる気持ちは、私も痛いほどわかります。
祈りが通じたのか、泣きつかれたのか、やがて赤ちゃんが泣き止み、家に戻って眠りについたところ、その枕元に先ほど祈りをささげたお地蔵さまがあらわれ祠を立てて欲しいと願います。
久しぶりに短いながらもぐっすり眠ることができた彼女は、お地蔵さまに救われたと感じ、家人と相談の上、祠を作ったのでした。
怪談というより、昔話にありそうなほっこりするお話ですね。
また、この男性自身も、夢にご先祖様があらわれ、あるものを探すという不思議な体験をしております。
霊感の強い家系なのか、はたまた長く八王子に根を下ろしているがゆえに、地元の神様のご加護があるのか…。
幽霊が見える芸人さん、シークエンスはやともさんも、遠くの神社にお参りに行く良り、地元の神社やお地蔵さまに、まめにご挨拶をした方が良いと言っていたことを思い出しました。
3:八王子城跡(城址)
八王子城跡は、八王子市内屈指の心霊スポット。
悲しい歴史ゆえに心霊スポットになった場所ですが、その土地の状態からも軽い気持ちで立ち入るべきではない場所です。
私の父は歴史が好きなので、名所を見てこようという意図で、八王子城跡を訪れたのですが、山の上の方から降りてきた男性に「そんな恰好では登れないよ。スズメバチもいるから危ない」と言われたとか。
わずか一日で千人以上が惨殺された現場だから怨念が渦巻いてても不思議じゃない。
女子供が身投げした水場の御主殿の滝なんか三日三晩、血で真っ赤に染まってたって。
怖えええ!!!
こんな書き込みをしている人がいましたが、歴史の上で命を落とした方は、普通に訪れた人に怨念をぶつけてくることはないと、個人的に考えています。
むしろ、そういった方々は神の領域にはいっており、不敬な行為をすることにより罰は当たる気がしますね。
八王子怪談の中でも、心霊目当てで八王子城跡を訪れた人々が、恐怖体験をしております。
まぁ、それは自業自得として、5番目のお話「右側が狙われる」は、読んでおいて損はないレアな情報が書かれていました。
その一つが、八王子城跡近くの宗関寺(元橋本)に、血染めの女性の着物が保管されているという記述。
宗関寺は八王子霊園の南にある北条家ゆかりのお寺で、日本遺産に認定されています。
八王子市の指定有形文化財に指定されている”銅造梵鐘”もあるので、八王子城跡をめぐった後に立ち寄るには、おすすめのスポットと言えます。
4:なかよしこ線橋
八王子の心霊スポット【トンネル・山・橋】編にも登場したなかよしこ線橋は、西八王子駅にほど近く、かつての学園踏切があった場所にかかる橋です。
学園踏切で、あまりにも飛び込みや事故が多発したため、踏切をやめて橋にしたという経緯があります。
学園踏切で起きた人身事故で亡くなった方の首が、学校のプールへ落ち、発見時にニヤリと笑った…という都市伝説もある場所です。
そんな不吉ともいえる場所なのに「なかよし」という名がついていることが、かえって不気味さを増しているような気がしてなりません。
地名がやたらと爽やかな土地は、過去を洗い流すためにつけられていることもあるなどと言われますが、なかよしこ線橋も、そんな意図があってつけられたのでしょうか。
さておき、この踏切と八王子駅の間の線路沿いには、たまに首が落ちるお地蔵様があったとか…。
お地蔵様の首なし状態を、電車の運転手や車掌さんが見てしまうと人身事故が起きるというジンクスがあったそうです。
首なし地蔵と言えば、絹の道 道了堂跡地のお地蔵様を思い出しますが、西八王子にも首なし地蔵にまつわる怪談があったとは知りませんでした。
そのお地蔵様、現在は行方知れずとのこと。
お地蔵さまは道路の整備や再開発により、お寺や神社などに集められていることも多いので、八王子市内のどこかに移されているのかもしれませんね。
5:旧八王子中央病院
旧八王子中央病院は、八王子怪談の中でS病院旧病棟と書かれ、現在は立ち入り禁止になっていると説明されているのですが、現在は清潔感あふれる北原リハビリテーション病院に生まれ変わっております。
八王子怪談で説明されている内容とS病院という名称から、この話は戸吹の相武病院?という気がしないでもないのですが…旧八王子中央病院ということで、話をすすめたいと思います。
旧八王子中央病院が入病院と化し、心霊スポットとなったのは、院長が突如として姿を消したことが発端です。
なんでも、人手不足や経営的に大きな問題を抱えている病院だったそうで、院長の失踪にプラスし、精神病の患者さんがいたことにより、ただ廃病院になる以上に、心霊スポットとして強化されやすかったと考えます。
八王子怪談の中で語っている方は、高校と大学の2回、旧八王子病院を訪れ、2度とも一緒に行った人をなくしています(友人は行方不明、兄は死亡)
そんな恐ろしい場所ですが、現在の北原リハビリテーション病院は、温泉もあり、ホテルかと思わせるような内装で、ご飯も美味しく、今はお化けの目撃もあがってこないらしいので、患者さんは安心です。
が、戸吹の相武病院(サマーランド裏病院)は現在資材置き場になっているとかで、幽霊よりなにより所有者の怒りを感じるバリケードっぷりなので、むしろこっちのほうが怖いです。
6:絹の道 道了堂跡地
著者の 川奈まり子さんは八王子出身と書きましたが、広い八王子の中で住んでいたのが、あの絹の道 道了堂跡地 の近くだったそう。
子どもの頃は、道了堂の近くで遊んでいたとかで、その時にはまだ本堂が残っていたというので驚きます。
稲川淳二の怪談で一躍全国的に心霊スポットとして有名になった道了堂跡地。
肝試しに夜行って、怖い思いをする人が多数いるのは承知しており、私としては「あぁ、そうなんだ」くらいになってきております。
が、道了堂跡地怪談の中で、めちゃくちゃ気になったのが4話目の四角い竹。
なんと道了堂近くにはえる竹の子は、断面が四角く、春ではなく秋に採れるんだとか。
植物好きなので、多少の知識はあるのですが、こんな竹があるとは初耳です。
四方竹(しほうちく)というその珍しいたけのこを、子どもの頃盗掘して売っていた男性は、道了堂で殺害されてしまった浅井としさんに怒られたこともあったそうです。
境内で珍しい植物を育てていた浅井としさん…もし出会う事が出来ていたら、話がはずんだような気がしてなりません。
道了堂跡地に行った時の記事はこちら↓
7:八王子霊園
八王子城跡(城址)近くにある宗関寺のお話をした時に八王子霊園が出てきましたが、こちらも有名な心霊スポット。
八王子霊園と検索ボックスにいれただけで、勝手に「電話ボックス」と出てくるのですが、この電話ボックスが特に幽霊がでると言われています。
電話ボックスに夜入ると、ガラスに女性の顔がうつるとか、赤いコートの女性の霊が出没するらしいですよ。
霊園自体はとてもきれいに保たれており、大変評判が良いので、昼間訪れる分には怖さはありません(私も通りかかったことがあります)
そもそも、お墓と言うのはお坊さんに供養されていますし、周囲には結界がはられているので、本来霊的にはそこまで怖いことはおきないはずなんですよね。
電話ボックスは霊園の入り口、道の脇にあるので、結界からはずれてるのかも?
八王子怪談では、2つ八王子霊園にまつわる怪談が書かれていますが、片方の話では、肝試しの結果、命を落とした人がいます。
もう一つのお話では、謎のラクダ色をした全身タイツ男が登場しており、心霊とリアルな人間とダブルパンチで恐ろしいなと思いました。
「お墓参りは午前中」と言いますし、夜、八王子霊園を訪れて怖い目に合うのは覚悟しておいた方がよさそうです。
八王子怪談|感想まとめ
川奈さんは、八王子出身であるということを最大限に生かし、独自のルートをつかって取材をしています。
その結果、道了堂で起こった事件について、間違った情報が世間に広がっていることを突き止めています。
浅井としさんの遺体の第一発見者は娘だとされているのですが、実は同居していた姪っ子だったそう。
しかも、その姪っ子さんはご存命とのこと。
浅井としさんとかかわりのあった方は、適当な話が広がっていることに、たいそうご立腹だったという話が書かれていました。
八王子怪談には、川奈さんのもとに寄せられた実話怪談だけでなく、八王子の心霊スポットに関する真実を知ることができるので、とても貴重な一冊だと感じました。
また、八王子空襲などについても詳しく書かれており、怪談本であると同時に歴史本の側面も持っていると言っても良い気がします。
実話怪談には、いわゆる「おち」というものがない場合が多く(むしろ「おち」があるものは、創作の可能性が高いと思っています)、聞きなれてくると「そんなこともあるよね」としか思えなくなるし、肝試しに行った結果怖い目に合うのは「当然」という認識になってしまいました。
が、本当に起きたことは、自分の身に置き換えて考えた時に、真に迫る怖さがあります。
心霊スポットになっている場所には、実際にこの世を生きた人の悲しみが凝縮されている場合が多いので、心の中で手を合わせるくらいはしたいものですね。
今回紹介したスポット以外にも、滝山城跡、今熊山(呼ばわり山)、陵北大橋、裏高尾の真の道etc.に関する話も多数。
また、あの八王子心霊スポットツアーを企画したタクシー会社 三和交通の取締役さんが、日枝神社に宮崎勤があらわれ、女児が誘拐されそうになった話や、八王子トンネル(旧小峰トンネル)での心霊体験も語っています。
さらに、2022年4月30日には、第2弾も登場いたしましたので、気になった方はぜひチェックを↓
以下のような内容になっており、第一弾とは違う場所も出てくることがわかっております。
- 八王子城跡に佇む異界
- 毎日“出た”旧マルイの地下
- 大和田刑場跡の凄惨な祟り
- 本当に人を攫った高尾山の天狗
- 小峰トンネルに潜む女の幽霊
- 霊道が通る大栗川沿いの家
以上、八王子怪談より八王子市内の心霊スポットを紹介いたしました。
八王子って心霊スポットだらけで怖い街なの?
と思う方もいるかもしれませんが、普通に暮らしていて幽霊を見たことは一度もないのでご安心ください。
霊感のある方は「いやいや、幽霊いるよ」と言うかもしれませんが、もっと都心の方が幽霊いっぱいいるみたいですよ。
ちなみにですが、東京ディズニーランドは幽霊だらけとのことです。
私はいずれ八王子に戻ることになると思いますし、とっかかりは心霊であったとしても、八王子に興味を持ち、さらに栄えてくれたら嬉しいと思っています。
それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!