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ドラマ『やさしい猫』は実話?ラスト結末までをネタバレ!スリランカ童話は実在

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ドラマ『やさしい猫』ラスト結末までをネタバレ!感想あり

中島京子さん原作『やさしい猫』が、NHKでドラマ化されることが決まりました。タイトルはやさしい猫と、原作と同名。メインキャストは優香さんと伊東蒼さんが親子役を、義父になるスリランカ人をオミラ・シャクティさんが演じます。

はちこ
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『やさしい猫』はシングルマザーのミユキと娘マヤ、スリランカ人クマラ(クマさん)とのほんわかした交流から始まります。しかし、中盤になると突然深刻さを増し、入国管理制度問題へ展開。

日本では人口が減少し続けており、外国人の労働力が重要なものとなっています。街を歩けば、普通に外国人を見かける光景の裏に、このような問題があるとは知りませんでした。ラストには正直な感想も述べています。

この記事では、原作『やさしい猫』の結末までのネタバレとともに、ドラマのキャスト情報なども書いていきます。

※読みたい箇所へは目次の活用がおすすめです
※内容の理解を深めるため地震関連の動画を挿入しています。再生の際はご注意ください(自動再生はされません)

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原作『やさしい猫』簡単なあらすじ

『やさしい猫』は、シングルマザーの保育士であるミユキ(優香)が、震災ボランティアとして東北に行き、スリランカ人のクマラ(オミラ・シャクティ)と出会い、彼と再会することで始まります。2人は恋に落ち、ミユキの娘マヤ(伊東蒼)もクマラと仲良くなっていきました。

ところが、ミユキとクマラが入籍をしようとした時、クマラは入管施設に収容されてしまいます。2人には偽装結婚の疑いをかけられ、ミユキは弁護士の恵耕一郎(滝藤賢一)を頼って、クマラの在留特別許可を勝ち取るために法廷で戦います。

物語は、彼らが理不尽な入国管理制度と戦いながら、家族の幸せを取り戻すために奮闘する姿を描いています。彼らが勝利を手に入れることができるのか?その結末は?

NHKドラマ『やさしい猫』の放送開始日はいつ?

『やさしい猫』は、2023年6月24日(土)から全5話で放送予定です。放送時間は毎週土曜 よる10時~10時49分(NHK総合)になります。

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『やさしい猫』登場人物(キャスト情報)

NHK土曜ドラマ『やさしい猫』より
  • 首藤(旧姓:奥山)ミユキ(優香)シングルマザーで保育士。前夫である幸次とは6年前に死別。32歳。
  • 首藤マヤ(伊東蒼)ミユキの娘。
  • クマラ(オミラ・シャクティ)自動車整備工場で働くスリランカ人。
  • マツコ(余貴美子)ミユキの母。
  • 恵耕一郎(滝藤賢一)弁護士。
  • 上原賢一 主任審査官。のちに行政書士に。
  • ペレラ 被災地にボランティアに来ていたスリランカ人。24歳。
  • 野々宮直樹(ナオキ) マヤの親友。
  • アヌラー クマラの姉。幼なじみのタミル人アシャンタと結婚後、カナダへ。
  • ハヤト 東京入管で出会った少年。両親はクルド人。

ドラマ『やさしい猫』原作|詳しいあらすじネタバレ

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1話「カレーとミルクティー」ミユキ(優香)とクマさん(オミラ・シャクティ)との出会い

津波の映像が流れるのでご注意ください

物語はマヤ(伊東蒼)が「きみ」に向けて語りかけるところから始まります。シーンは引っ越しの真っ最中。思い出の甘ったるいミルクティーを飲みながら、マヤは、母ミユキ(優香)とクマさん(オミラ・シャクティ)との出会いを思い起こします。

ミユキとクマさんことクマルが出会ったのは、東日本大震災後のボランティア活動の中でした。保育士だったミユキは8歳のマヤを母マツコ(余貴美子)にたくして被災地へと行ってしまいます。

ミユキはそこで、5回もカレーの炊き出しボランティアに来ているペレラと出会いました。ペレラは在日30年のスリランカ人で、北関東でスリランカ料理店を経営しているとのこと。かつて、スリランカで起きた津波の際、日本人に助けられたお礼の意味もあり、ボランティア活動をしていました。

ペレラさんがカレーを作る時、一緒にいたスリランカ人がクマルだったのです。ミユキとクマさんは意気投合したものの、特に会う約束などをすることもなく、ボランティア活動を終えました。

2話「やさしい猫」2度目のプロポーズを断ったミユキ(優香)

1年後、小学校4年生になったマヤ(伊東蒼)は、北海道から転校してきたナオキと親友になっていました。マヤは経済的な理由で塾には行けなかったため、ナオキから勉強を教わっていました。

ミユキ(優香)がクマさん(オミラ・シャクティ)と再会したのは、そんな頃。クマさんが自転車の盗難の疑いをかけられ警察から職務質問をされている現場でのことでした。

再会した2人はたちまち仲良くなり、距離を縮めていきます。再会して数回目にはクマさんから「結婚を前提につき合いたい」と告白されたミユキでしたが、マヤのことを考えると、クマさんとの仲を一定以上深めることができないでいました。

3か月後、ミユキはクマさんの強い要望(⇒ラックの組み立てを手伝う)でアパートに呼ぶことになります。こうしてマヤはクマさんとはじめて顔をあわせました。この時、マヤはクマさんからスリランカの童話「やさしい猫」を聞かされたのです。

この日、クマさんはミユキに2度目のプロポーズをしましたが、ミユキはそれを断っていました。

3話「将を射んと欲すれば馬」マヤ(伊東蒼)と仲良くなる作戦

クマさん(オミラ・シャクティ)がスリランカに戻らない事情

津波の映像が流れるのでご注意ください

ミユキ(優香)はプロポーズを断る際、「いつか生まれた国に帰るだろう」と言う事も理由にしていました。しかし、クマさん(オミラ・シャクティ)の両親は、2004年におきたスマトラ島沖地震で命を落としていました。

震災後、姉アヌラーと義兄アシャンタと暮らしていたクマさんでしたが、スリランカは就職難で仕事がありませんでした。こうしてクマさんはアシャンタの勧めもあり日本にやってきたのです。ですから、クマさんがスリランカへ帰るということは、現実的ではありませんでした。

スリランカフェスティバル

プロポーズを断ったものの元気をなくしていたミユキのもとに、クマさんからスリランカフェスティバルへの誘いが入ります。フェスティバルには、マヤ(伊東蒼)とナオキも一緒に参加することに。

そこでマヤたちは、すっかりクマさんと仲良くなります。クマさんは勤めている自動車工場の仲間から「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」というアドバイスを受け、まずはマヤと友だちになろうとしていました。

ミユキ(優香)の発病

クマさんが、いつの間にかミユキとマヤの生活に入り込んでいた頃の事。ミユキが仕事先の保育園で倒れ緊急入院をすることになります。集中治療室に入るほどの状態で、病名は「橋本病」と診断されました。

ミユキの入院中、マヤの面倒はクマさんがみることになります。ミユキの体調不良もあり、やがてクマさんは母娘の住むアパートで共に暮らすこととなりました。

4話「3回目のプロポーズ」婚約が決まる

マヤ(伊東蒼)は中学生になり、ナオキは中高一貫の進学校へと進みます。バレンタインデーがやってきて、同級生との盛り上がりで、マヤはナオキに告白をしてみますが、あっさりとフラれてしまいました。

マヤが中2になった頃、クマさん(オミラ・シャクティ)は3回目のプロポーズをし、ミユキ(優香)はやっと申し出を受けました。

結婚の報告を聞いた周囲の人々の反応はあまり好意的ではありませんでした。中でもミユキの母マツコ(余貴美子)は強く反対します。マツコはミユキに今度こそ幸せになって欲しいと考えていました。

しかし、ミユキの固い決意とクマさんの人柄から、マツコは結婚を認めます。それは2017年のお正月のことでした。

5話「疑惑」結婚式の延期

結婚が決まり、幸せな毎日を過ごしている中、マヤ(伊東蒼)は中3になります。その頃から、ミユキ(優香)とクマさん(オミラ・シャクティ)の関係に少しずつ変化の兆しが表れていました。

6月の結婚式をクマさんが延期したいと言い出したのです。その理由は「占いの結果が良くない」というものでした。仕方なくミユキは延期を承諾し、結婚式は9月末に延期されることになります。

しばらくの後、マヤは「ハピネス」というテーマで描いた絵画コンクール用の作品を渋谷まで届けに行きました。その時、マヤはクマさんそっくりの人物が工事現場で働いているのを見かけます。しかし、「よく似た別人に違いない」と、その事は胸に秘めておくことにしました。

7月末、ミユキはクマさんが外国人女性と話している場面を見かけていました。また、クマさんからの生活費の入金が不安定になってきます。そんな中、再びクマさんが結婚の延期を言い出します。

不安と疑惑をミユキがぶつけると、クマさんは5か月も前に失業していたことを告白しました。全てを打ち明けて欲しいと望むミユキですが、クマさんは詳しい事情を話しません。

数日後、とうとうクマさんはミユキに「結婚できない」と切り出したのでした。

6話「ハピネス」在留期限切れ

結局、ミユキ(優香)とクマさん(オミラ・シャクティ)は距離を置くことになります。クマさんはアパートを出て、友達の家に行ってしまいました。寂しさのあまりミユキとマヤ(伊東蒼)は落ち込みます。

そんな時、マヤはナオキと久しぶりに出会いました。事情を聴いたナオキはマヤに「探して迎えにいけば」と提案します。そこで、ペレラさんに連絡をすると、クマさんの在留カードの期限がせまっており、もしも切れてしまったら、クマさんはもう日本にいられないとわかりました。

ペレラさんは、クマさんとミユキが結婚すれば、在留資格が変わり、就労制限もなくなると説明します。2人が結婚すれば、クマさんの問題は全て解決することを意味していました。

数日後、ペレラさんのおかげで、無事にクマさんが戻ってきます。クマさんは、新しい仕事を見つけてから結婚しようと考えていたのです。しかし、クマさんの在留期限は、すでに切れてしまっていたので、ミユキの説得もあり、2人は出来るだけ急いで入籍をすませました。

婚姻届けも受理され、新しい戸籍も出来たため、クマさんは在留資格を得るために東京入国管理局へと1人で向かいます。しかし、これは新たな困難の幕あけでした。

7話「菩提樹の木の下で」オーバーステイによる逮捕

クマさん(オミラ・シャクティ)が在留資格の手続きに行ったのは、クリスマスの日でした。ミユキ(優香)は仕事に行っていたので、マヤ(伊東蒼)はクマさんに教わったカレーを作りパーティーの支度をします。ところが、クマさんは何の連絡もないまま、翌朝になっても帰ってくることはありませんでした。

その頃、クマさんは東京入管に行く途中の品川駅で、警察に職務質問をされ、「不法残留」で捕まってしまっていました。

ミユキとマヤは、クマさんが収容されている東京入管へと向かいます。しかし、クマさんはすぐに家に帰ることはできませんでした。

マヤは受験生だったので、クマさんは「面会に来ないで良い」とミユキに伝言をします。しかし、マヤは勉強が手につかず、1人で東京入管を訪れました。

クマさんとの面会後、マヤはさながらモデルのような白人の少年と出会います。彼の名は「ハヤト」と言い、両親はクルド人で、日本生まれの少年でした。

8話「審判」退去強制令

2月2日、ミユキ(優香)は入管による口頭審理に呼び出されます。審理では細かいことを確認されるだけでなく、明らかに2人の結婚がお金やビザを目的とした偽装結婚だと疑っているような質問が繰り広げられました。

10時間にも及ぶ審理の中で、2人は責められ続けます。審理官は最初から嘘を暴こうと疑ってかかっていました。それはもはや審理というより、尋問でした。

帰り道、ミユキは審理中に通訳をしていたスリランカ人青年に話しかけられます。本来それは守秘義務に違反することでしたが、ミユキの発言に共感してのことでした。しかし、青年は「次回は聞かれたことにだけ答え、印象を良くした方が有利」とアドバイスします。

結局、クマさんに在留特別許可はおりず、それは退去強制令が出たことを意味していました。このままだとクマさんはスリランカに帰り、5年は日本に入ることを禁止されてしまいます。これを覆すためには弁護士を雇い裁判をするしかありませんでした。

9話「大仏」ナオキの告白

毎日のように入管に通い、ミユキ(優香)は主任審査官である上原に再審査を要求します。ミユキには裁判をするための金銭的余裕はありませんでした。

クマさん(オミラ・シャクティ)の件も影響してか、マヤ(伊東蒼)は受験に失敗してしまいました。マヤはストレスのせいで、ついミユキに「外国人なんかと結婚しなければよかった」と言ってしまいます。マヤはクマさんを心配しながらも、失業の事を隠していた件について責める気持ちがあったのです。誰もがいっぱいいっぱいの状況に追い込まれていました。

何とか3次試験で高校が決まり、4月になった頃、マヤはナオキの家に遊びに行きます。ナオキはクマさんの心情を想像し、涙を流すのでした。

その際、ナオキはかつてマヤの告白を断った理由について説明をします。ナオキにとってクマさんは初恋の人だったかもしれないと言うのです。マヤに告白された時、ナオキは男子校の先輩に恋をしていました。

仮放免が通らず茨城へ

ストレスで橋本病が悪化するも、ミユキはクマさんの仮放免の許可を得るために必死でした。しかし、申請は却下され、クマさんは東京から茨城県の収容所に移されることになってしまいます。

5月の半ば、マヤは学校を休んで、クマさんに会うため茨城県牛久市へと向かいました。

クリスマスの夜から5か月半が過ぎ、クマさんは痩せ細り、まるで別人のようになっており、マヤはたまらず泣きだしてしまうのでした。

10話「ハムスター先生」

クマさん(オミラ・シャクティ)がそれほどまでに痩せ細ってしまったのは、収容仲間であるインド人の自殺が原因でした。帰国すれば迫害される可能性が高い中、仮放免と難民申請の両方が通らなかったため、絶望した上での自殺でした。

収容には期限がないため、5年も収容されている人もおり、他にも自殺未遂をする人がいました。いよいよクマさんはミユキ(優香)に「スリランカに帰るしかないのかもしれない」と言い出します。しかし、ミユキはクマさんの仮放免をまだ諦めていませんでした。

面会を終えて帰ろうとした時、ミユキは上原主任審査官とすれ違いました。ミユキにとっては敵ともいえる存在です。けれども、上原はずっとクマさんのケースを気にしていたと言います。上原は入管を辞めて、行政書士になっていました。

恵耕一郎(滝藤賢一)との出会いとハヤトとの再会

上原により、ミユキは恵耕一郎(滝藤賢一)に引き合わされます。上原と恵は高校の同級生でした。恵によれば、おそらくクマさんの退去強制令を出したのは上原ではなく局長だろうとのこと。

役所仕事で告知役をつとめたに過ぎなかったのです。また、入管を辞めたのは、娘の死がきっかけだと教えられました。

裁判には1~2年かかるかもしれないこと。着手金には50万円ほどかかることなどを相談し、恵に弁護を頼むこととなります。

するとそこに、東京入管で出会ったハヤトが入ってきました。思いがけない再会に、マヤ(伊東蒼)はすっかり舞い上がり、運が向いてきたと思うのでした。

11話「東京ディズニーシー」ハヤトの置かれている現状

クマさんとミユキの結婚が偽装ではないと証明するための証拠を揃え、いよいよ裁判がはじまりました。

一方、マヤ(伊東蒼)はハヤトとすっかり仲良くなっていました。カッコいいハヤトには、1つだけ残念なところがありました。彼の前歯には大きな穴が開いていたのです。ハヤトは「痛くないし、我慢していれば治る。高い歯医者に行くのはバカだ」と言い張り、マヤは何となく納得してしまいました。

ハヤトの話を聞いたクマさんは「外国人とつきあったらマヤちゃんが苦労する」と心配します。そんなクマさんは、さらに痩せ細っていました。

そんな折、マヤはバイト先の店長からディズニーシーのチケットをもらいます。ハヤトを誘いディズニーシーを満喫したマヤ。ハヤトも「17年生きていて、今日が最高の一日だった」と感想を言ってくれます。

しかし、本来ハヤトは、無断でディズニーシーに行ってはいけない身の上だったのです。日本で生まれたもののクルド人であるハヤトは「仮放免」の期間中であり、移動が制限されていました。

もしも許可なくルールを破ったと知られれば、クマさんと同じように収容されてしまう危険がありました。ましてハヤトはもうすぐ18歳。未成年でなくなれば、入管がハヤトを収容する可能性はグンと跳ね上がるのでした。

12話「国境」クマさんの病気

夏休みの頃、マヤ(伊東蒼)は恵(滝藤賢一)から、クマさん(オミラ・シャクティ)が牛久で倒れたと連絡を受けます。クマさんは眠れない日々を過ごしており、頭痛に悩まされていました。

恵が入管に救急車を向かわせますが、驚くことに職員が「必要ない」と返してしまいます。倒れたクマさんの血圧は200を超えており、嘔吐していたにもかかわらず…。

ミユキ(優香)は自分が引き止めているから、クマさんがひどい目にあっていると分かっていても、やはりスリランカに帰って欲しくないと望んでいました。

13話「ほんとに残酷な現実」仮放免の子供たち

マヤ(伊東蒼)とハヤトは毎日連絡を取り合い、1~2週間ごとに会ってデートをする仲になっていました。ある日、マヤはハヤトに将来の進路について話します。しかしハヤトは、あまり話にのってきませんでした。

ハヤトの様子がおかしいことに気がついたマヤは慌てます。しかし、ハヤトは「帰る」と言って去ってしまいました。その後、ハヤトとは連絡がとれなくなってしまいます。

ハヤトに会えないかと、恵(滝藤賢一)の弁護士事務所の周辺をウロウロしていたマヤは、他の先生に見つかってしまいます。事情を話すと先生たちは「しばらく、ほっといてあげなよ」と言いました。

ハヤトのような「仮放免」の子どもたちが働くことは「不法就労」になり、進路の話はデリケートな話題だったのです。

14話「反撃」東京オリンピックと不法滞在の外国人

失恋で落ち込んでいるマヤ(伊東蒼)のもとに、ナオキが遊びにやってきます。ナオキはクマさんのために出来ることを探そうと、恵(滝藤賢一)に会いに行くことを決めました。

恵からのアドバイスにより、ナオキはスリランカ料理の会を開き、署名運動をすると言います。なんでも、牛久入管には、チェスの世界チャンピオンボビー・フィッシャーが囚われていたことがあり、将棋の羽生善治が小泉首相に嘆願メールを出したことがあるんだとか。

学校の課題で、外国人の在留資格と訴訟についてレポートすることを決めたナオキは、上原にも取材を試みました。

そんな中、ミユキ(優香)は牛久のバスの中で出会った中国人女性から

「2年後に開催される東京オリンピックを世界一安全にするために、入管は不法滞在の外国人を収容し、死ぬまで出さないと決めた」

と聞いてきます。恵によれば、あながちそれは間違いでもないようでした。

クマさんとミユキの結婚に真実性があることを証明するべく、さらに証拠を集めていきます。マヤが子どもの頃、クマさんから「やさしい猫」や「象のタクシー」の話を聞いて描いた絵も証拠として提出されることになります。

クマさんからマヤに「裁判の証人はやらなくていい」と連絡が来たのは、そんな時の事でした。クマさんは、やっぱりマヤを辛い目に合わせたくなかったのです。それでもマヤは、承認申請をするつもりでいました。

15話「大仏を見上げる」クマさんの仮放免

1月の終わり、再びクマさん(オミラ・シャクティ)が入管で倒れてしまいます。同室のベトナム人ティエンが職員たちに押さえつけられているのを止めようとした後、クマさんは意識を失ってしまったというのです。

この件に、恵(滝藤賢一)が怒りの抗議をしたおかげもあってか、クマさんは50万円の保証金で仮放免してもらえることになりました。やっとクマさんはアパートに戻ってくることが出来たものの、病院での検査の結果、副腎に腫瘍が見つかり手術が必要になります。これが高血圧の原因でもありました。

命にかかわる腫瘍ではありませんが、クマさんには在留資格がないため国民健康保険にも加入できず、治療費は100万円を超えることがわかります。費用は結局、マツコ(余貴美子)が支払ってくれました。

クマさんは無事に退院し、いよいよ裁判に向けて、尋問の練習が始まりました。

16話「バーの中で」

法廷では、ミユキ(優香)とクマさん(オミラ・シャクティ)の出会いから結婚に至るまでの経緯を詳細に尋問されます。訴訟検事は、ミユキにクマさんの本名(異常に長い)を聞いたり、マヤが亡き父親の苗字を名乗っているのは、クマさんを父親と認めていないせいでは?と言ってきたりと、意地悪な質問をしてきました。

やがて尋問はクマさん本人へと移ります。訴訟検事は尋問の中で、クマさんが仕事を解雇されたのではなく、『退職届』を提出しているので、自分で辞めたはずだと主張を始めました。

しかし、恵(滝藤賢一)により、クマさんが社長から騙されるような形で退職届を書かされたことを明らかにしていきます。この切り返しは、恵が労働事件も扱ったことがある弁護士だからこそできたことでした。

ドラマ『やさしい猫』原作|ラスト結末ネタバレ&感想

『やさしい猫』の最終話にあたる17話「きみの名前」では、クマさん(オミラ・シャクティ)に対する退去命令が取り消される判決が下されます。国はこの判決に対し、控訴することはせず、クマさんは勝訴しました。

こうしてミユキ(優香)とクマさんの結婚は偽装ではないと認められ、クマさんは在留資格を手にします。また、保証金の50万円も返還され、そのお金は恵(滝藤賢一)への報酬にあてられました。

クマさんの体調はすぐには戻りませんでしたが、ミユキの妊娠が発覚し、かつて内定をもらったことがある整備工場での仕事も決まります。そして物語は冒頭へと戻り、引っ越しのシーンへと移っていきます。

マヤ(伊東蒼)が「きみ」と呼んでいたのは、まだ赤ちゃんの弟「光(アキラ)」に対してでした。こうして『やさしい猫』はハッピーエンドを迎えます。

けれども、私は『やさしい猫』を単純にハッピーエンドだと喜べない、モヤモヤした感情が残りました。なぜなら、クマさんが奪われた時間は戻らないし、そもそもクマさんが勝訴出来たのはレアなケースだと知ってしまったからです。

『やさしい猫』は実話ではありません。けれども、たくさんの外国人が入管で期限のない拘束をされていることは、参考文献や、著者である中島京子さんの謝辞を読めば明らかです。そして、おそらくは強制送還に絶望し、自殺を図っている人がいることも…。

メディアには「日本は平和で良い国」と言ってくれる外国人が映し出されているので、私はこの日本で、こんなことが起きているとは露ほども知りませんでした。

人はみな、わからないものを恐れ、遠ざけたくなります。『やさしい猫』の中でも、上原は

入管ってね、気の利かない門番みたいなんですよ。あいつもこいつも怪しい。入れたくない。(中略)じっさい、日本の組織暴力団とつながって人身売買や麻薬ビジネスをやる外国人マフィアだっていたからね。(中略)ただね、二十年仕事して気づくと、そいういうんじゃない外国人だって、いっぱいいるわけですよ

『やさしい猫』298ページ

こんな風に語っています。『やさしい猫』において、入管はであるかのように描かれていますが、私たち日本人を守るための仕組みでもあります。もしも自分が入管の職員の立場だったらと想像した時、安全を最優先してしまう可能性は大いにあると思うのです。

しかし、冒頭でも書いたように、人口が減少し続けている日本では、深刻な人手不足があり、外国人の労働力へのニーズも年々高まっています。そんな中で、クマさんのような外国人が、罪もないのに罪人以上の不当な扱いを受ける仕組みは、やはり改善しなくてはならないと感じました。

まして、日本で生まれ育った子供たちが、日本で仕事に就くことが出来ないなんて、日本にとって有益とはとても思えません。少子高齢化がすすむ日本で、若い労働力は宝です。

私は法律家でもありませんから、難しいことはわかりません。でも、心が「こんなことはあってはいけない」と感じるのを止められませんでした。

とは言え、私の中にも外国人の方への恐怖心というものは存在しています。日本人であれば、ある程度、風貌や態度から「あ、ヤバイ奴」と見抜くことができますが、外国の方だとわからないからです。

自分の中の恐怖心と、これではいけないと言う気持ちの葛藤が、『やさしい猫』を読んだ後に残されたもやもやの原因なのかもしれません。これだという解決策は、もちろんわかりません。きっと国も同じなのでしょう。でも、このもやもやと向き合う事こそに、価値がある…そんな気がしています。

原作『やさしい猫』に登場するスリランカ童話は実在(ネット通販可能)

『やさしい猫』の中に登場する同名のスリランカ童話は実在しており、amazonでもネット通販が可能です。Kindle版であれば、無料で読むこともできます。
スリランカ シンハラ民話「やさしい猫」

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