ドラマ『グレースの履歴』原作は?あらすじネタバレ感想|滝藤賢一×ホンダS800 旅の結末に明かされる妻 尾野真千子の秘密

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グレースの履歴 あらすじ ネタバレ 感想

源孝志さん原作『グレース(の履歴)』が、NHKでドラマ化されることが決まりました。

タイトルは『グレースの履歴』と、原作と同名。

メインキャストは滝藤賢一さんと尾野真千子さんのお2人で、夫婦の役を演じます。

『グレースの履歴』は、原作者の源孝志さんが脚本と演出をてがけます。

源孝志さんによると『グレースの履歴』は〝再生の物語〟だとのこと。

滝藤賢一さんが、突然死んでしまった妻 尾野真千子さんが遺した旧車 ホンダS800に乗って旅する中、妻の知らなかった一面見てみぬふりをしてきた自分の過去と向き合い再生していく物語です。

大人のラブストーリーとしてだけでなく、旧車ファンも楽しめる作品。

本田宗一郎グレース・ケリーなど、実在する有名人も登場しますよ。

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ドラマ『グレースの履歴』簡単なあらすじ

突然の事故により最愛の妻 蓮見美奈子(尾野真千子)を亡くしてしまった蓮見希久夫(滝藤賢一)

希久夫のもとには、美奈子が「グレース」と呼び、愛用していた旧車 ホンダS800が遺されます。

妻は遺言で「グレースを希久夫に」と言い残していました。

希久夫は、グレースのカーナビに残された不可解な履歴を見て

「美奈子は浮気をしていたのでは?」

と疑います。

免許をもっていなかった希久夫は、必死で教習所に通い、免許を取得。

美奈子がカーナビにのこした場所を順にたどっていきます。

はたして美奈子は希久夫に隠れて不倫をしていたのか?

カーナビに残された履歴の真実とは?

『グレースの履歴』はいつから放送?

『グレースの履歴』は2023年3月19日(日)から全8回で放送予定です。

放送時間は毎週日曜 よる10時~10時49分(NHK BSプレミアム)になります。

『グレースの履歴』登場人物(キャスト)

※キャストはわかりしだい追記していきます

  • 蓮見希久夫(滝藤賢一)
  • 蓮見美奈子(尾野真千子)
  • 藤木俊彦 美奈子の元彼
  • 伊川草織 希久夫の元彼女
  • 仁科征二郎 本田宗一郎の元で働いたことがある
  • 仁科晴香 征二郎の孫娘
  • 蓮見敬一郎 希久夫の父
  • 辻浩一 美奈子の父
  • 辻芳江 美奈子の母
  • 辻美紀 美奈子の妹
  • 富樫由紀夫 希久夫の弟
  • 間宮千絵 希久夫の母
  • 中牟田良蔵 由紀夫の師匠
  • 間宮庄司郎 千江の再婚相手
  • 杉本 希久夫の同僚
  • 茂田 旅行代理店「セントラル・ツアー」の社員
  • 柏木律子 添乗員
  • 三井 大学時代からの希久夫の友人
  • 袴田聡一郎 美奈子が雇った弁護士
  • 竹内志穂 美奈子の会社の陰湿な先輩
  • ビル・チェンバレン 草織の元夫
  • 本田宗一郎 HONDA創業者
  • グレース・ケリー アメリカの元女優・モナコ公妃
  • ディディエ グレース・ケリーの執事

ドラマ『グレースの履歴』原作|結末までのあらすじネタバレ

『グレースの履歴』を試し読みしてみる

美奈子(尾野真千子)2009年6月5日

大学を卒業後、大手住宅メーカーに就職したものの、周囲の反対を押し切って輸入家具店に転職。

以来12年間、アンティーク家具の輸入にたずさわってきた蓮見美奈子(尾野真千子)は、突然仕事を辞めてしまいます。

蓮見希久夫(滝藤賢一)には相談もなく決めてしまったことだったので、普段は穏やかで理性的な希久夫も、これには本気で怒りました。

しかし、美奈子の決断には希久夫には言えない理由がありました。

美奈子は白血病を患っており、希久夫には秘密で治療を行っていたのです。

専業主婦になった美奈子は「あの人が愛したドライブコースを走る」という目的で、モナコに1人旅にやってきました。

希久夫を想いながら、レンタルしたMG・ミジェットMKⅡを走らせる美奈子は、なぜか「希久夫のもとに戻れるだろうか?」と考えるのでした。

希久夫(滝藤賢一)2009年6月8日

美奈子(尾野真千子)がモナコに1人旅をしている一方、希久夫(滝藤賢一)は半外資系企業の製薬メーカーの主任研究員として、仕事をしていました。

そんな希久夫の元に、旅行代理店の茂田という人物から連絡がはいります。

茂田によると、美奈子が参加していたツアー「バスで巡るモナコとプロヴァンスの村めぐり一週間」でチャーターした観光バスが、谷に転落したとのこと。

希久夫は早急に現地であるアプトへと向かいます。

事故の際、足を車体に挟まれた美奈子の救助は2時間もかかったとのこと。

希久夫が病院に到着した時、すでに美奈子は息を引き取り、帰らぬ人となってしまっていました。

希久夫(滝藤賢一)2009年6月12日

日本へと戻ってきた希久夫(滝藤賢一)は、阿佐ヶ谷の自宅で美奈子(尾野真千子)の葬儀を行います。

集まった身内は、美奈子の家の親戚ばかり。

希久夫の父はすでに他界しており、子どもの頃に離婚して弟と家を出ていった母親とは交渉がなく、美奈子が死んでしまった今、希久夫は天涯孤独と言ってもよい身になってしまったのです。

葬儀が終わり、仕事に復帰した希久夫は、大学時代からの友人 三井を誘い飲むことにします。

三井は、壮絶な振られ方をして引きこもっていた希久夫を、なかば無理やり自分の結婚式の二次会に引きずり出した人物。

希久夫は、その二次会で運命的に美奈子と出会ったのです。

希久夫は、美奈子が死んでも全く涙がでないことの他に、

  • 夜の営みが減っていること
  • 子どもをつくるかどうかで夫婦の間に温度差があること
  • そもそも美奈子の考えていることが最近わからないこと

を三井に相談したいと思っていましたが、美奈子が死んでしまっては無駄なこと。

希久夫は全ての疑問を胸の内にしまい込むことに決めたのでした。

希久夫(滝藤賢一)2009年6月27日

2009年6月27日の土曜日、希久夫(滝藤賢一)のもとに袴田という名の弁護士から連絡が入ります。

袴田は、美奈子(尾野真千子)が生前雇った弁護士で、遺言を渡しに来たとのこと。

ここで希久夫ははじめて、美奈子が急性前骨髄性白血病を患っていたことを知り、絶句します。

美奈子が治療を受け始めたのは2年前のこと。

薬の専門家であるはずなのに、美奈子が白血病の薬「ATRA」を内服していたことに気がつかなかった自分にショックを隠せません。

さらには、美奈子が白血病だと判明したのは、不妊治療をしている中でのことだったとか。

希久夫は美奈子が不妊治療をしていたことも、まったく知りませんでした。

美奈子が病気のことだけでなく、不妊治療のことまで隠していたことで、希久夫は

「美奈子から信頼されていなかった」

と思わずにはいられないのでした。

美奈子(尾野真千子)2009年3月27日

2009年3月27日は、急性前骨髄性白血病が再発した美奈子(尾野真千子)が、長く愛してきた職場を去る日でした。

仕事に熱中するあまり、希久夫(滝藤賢一)の「子供が欲しい」という気持ちを見ないようにしてきた美奈子でしたが、3年前に希久夫の唯一の肉親である父 敬一郎があっけなく亡くなった際

「自分がいなくなったら、希久夫は一人ぼっちになってしまう」

と気がつきます。

その時、美奈子は35歳を過ぎていました。

避妊をしなくなったものの、妊娠しなかったことから、美奈子は一人で産婦人科をたずね、不妊治療をはじめます。

5か月もした頃、血液検査により、美奈子が白血病であることが判明したのでした。

美奈子の白血病が「急性前骨髄性白血病」だったため、ATRAという薬の内服で治療できるとわかります。

ATRAにはわずかながら、胎児への影響があるため、子どもは治療期間を終えてからと告げられた美奈子の心は、希久夫への謝罪と悲しみでいっぱいになってしまうのでした。

美奈子は有給休暇を取得、希久夫には「海外出張」だと嘘をついて入院をします。

幸いなことに、美奈子の白血病は完全寛解し、1か月半前、やっと妊娠に向けて”薬抜き”を始めたところでした。

しかし、2年近い治療の間、妊娠することはできなかったため、再び避妊をすることになった結果、希久夫との関係はぎくしゃくしていました。

何も聞かされていない希久夫は「美奈子の気が変わり、子どもがいらなくなったのだ」と思ったからに違いありません。

最後の検査が終わったら全てを希久夫に打ち明けようと決意した矢先の事、美奈子の白血病は再発してしまいました。

「希久夫のために死ぬことはできない」と思いながらも、万が一のことを考えた美奈子は仕事を辞めて、ネットで弁護士を探し袴田のもとを訪れ、遺言を残すことを決めたのでした。

希久夫(滝藤賢一)2009年6月27日

美奈子(尾野真千子)の遺言には

  • 預金は希久夫(滝藤賢一)に贈与する
  • 生命保険の1/2は白血病研究基金に寄付し、1/4は希久夫、1/4は父・辻浩一に贈与する
  • 遺品の処分は希久夫を代理人とし委託する

というのが主な内容でした。

貴重な蔵書は図書館へ寄贈し、衣類などは妹 美紀へといった遺品の処理方法の中で

「車は、夫・蓮見希久夫に贈与します。できれば処分せず、乗ってくれることを希望します。」

と書かれていることが、希久夫は腑に落ちません。

なぜなら希久夫は免許を持っていなかったからです。

グレースの履歴 S800 HONDA

グレースの履歴公式より

その車は、フランスのオークションサイトで美奈子が見つけ、『グレース』と呼び、愛用していたHONDAの名車 S800でした。

運転席に座ってみた希久夫は、夫婦喧嘩をした時、美奈子がグレースの車内で泣きながら眠ってしまった時の事を思い出します。

その時、美奈子が死んでからはじめて希久夫は泣くことが出来たのでした。

希久夫(滝藤賢一)2009年8月1日

美奈子(尾野真千子)の遺言に書かれていた希望を果たすべく、希久夫(滝藤賢一)は、仕事帰りに毎日教習所に通いつめ、マニュアル車も運転できる免許証を手に入れます。

希久夫が「グレース」で行こうと考えた最初の目的地は、蓮見家の墓と美奈子の実家でした。

「グレース」に乗り込んだ希久夫は、方向音痴だった美奈子がつかっていたカーナビに残された『目的地履歴』を確認してみます。

すると、そこには『ホテル・アルファ・イン』など、美奈子とは無縁の土地ばかりが出てきたのです。

また、カーナビに残された日付からも美奈子が嘘をついていたことが明らかになって行きます。

子どものことでギクシャクしていた夫婦の間を思い出した希久夫は、美奈子への疑念がわいてきます。

美奈子が死んだ際、抱えていたというショルダーバッグからダイヤりーを見つけた希久夫は、中から20代の若い男を背中から撮影した写真を見つけてしまいました。

美奈子(尾野真千子)2009年5月28日

希久夫(滝藤賢一)に2週間のフランス旅行へ行くと嘘をついて家を出た美奈子(尾野真千子)は「死ぬ準備」として、元彼の藤木俊彦が住む街へと「グレース」を走らせていました。

別れてはよりを戻すという関係を5年間続けた藤木俊彦でしたが、お互いに似すぎていたため、結局結婚はせずに別れた相手。

つき合っていた頃は一流商社のサラリーマンだった藤木俊彦は、5年前に脱サラし夫婦二人で評判の蕎麦屋を営んでいました。

別れた後、美奈子と俊彦は、なんでも相談する仲として付き合いを続けていたのです。

美奈子は、希久夫のために考えた計画についての不安を俊彦に聞いてもらおうと考えていました。

希久夫(滝藤賢一)2009年8月6日

死んだ美奈子(尾野真千子)が不貞行為をしていたのではと疑ってしまった希久夫(滝藤賢一)は、迷いながらもグレースにのこされた軌跡をたどってみることにします。

最初の目的地は、「フランス旅行にでかける」と言った美奈子が訪れていた

神奈川県藤沢市辻堂元町3-18-5

に決めました。

途中グレースをエンストさせ、トラックの運転手に怒鳴られたりしながらも、なんとか希久夫は目的の場所へとたどりつきます。

しかしそこは、希久夫が想像していたような場所ではなく『生蕎麦 波瑠庵』というお蕎麦屋さんでした。

店じまいしてしまったばかりの店内へ声をかけた希久夫の前にあらわれたのは「藤木」という男で、希久夫を見るなり「美奈子のご主人ですよね」と言い挨拶をします。

藤木は妻 紗江にも隠し立てすることなく「元カノの旦那」と紹介し、希久夫を驚かせました。

藤木が別れてからも良き相談相手だったと聞いた希久夫は嫉妬を隠せません。

そんな希久夫に藤木は「美奈子が希久夫の子どもがどうしても欲しいと言っていた」と伝えるのでした。

俊彦2009年8月7日

波瑠庵

藤木俊彦は、一晩で希久夫(滝藤賢一)のことが好きになっていました。

とは言え、美奈子から打ち明けられた「計画」などについては一切、希久夫には話しませんでした。

その無謀ともいえる計画について美奈子は「希久夫を幸せにする執着心だ」と語っていたことを藤木は思い出します。

妻の紗江に対してとは違う種類の愛情を美奈子に持ち続けている藤木は、その計画の事を思うと、希久夫が羨ましいと思うと同時に、これから希久夫が出会う試練を考えると同情もしてしまうのでした。

美奈子(尾野真千子)2009年5月29日

藤木俊彦に「計画」のことを相談した後、美奈子(尾野真千子)は希久夫の生まれた町へとグレースを走らせていました。

希久夫の生家があった

長野県松本市大手5-3-24

を訪れた美奈子は、希久夫の過去について考えます。

希久夫にとって生家のあった松本には良い思いではなかったため、美奈子が知っていることは限られていました。

  • 希久夫の父 敬一郎は上司の紹介で5歳年下の母 千絵と結婚した
  • 希久夫には3歳年下の弟 由紀夫がいる
  • 結婚15年で両親は離婚し、由紀夫は千絵が引き取り、金沢の実家へ行ってしまったきりである

これらのことは、美奈子が義父である敬一郎から聞いたことでした。

希久夫(滝藤賢一)2009年8月7日

藤木が美奈子(尾野真千子)の不倫相手ではないと確信した希久夫(滝藤賢一)は、さらに軌跡をたどり、松本市へと向かいます。

やがてたどり着いたのは駐車場でしたが、そこがかつて自分の生家があったところだということがわかりました。

希久夫が幼かった頃、生家の周辺は「餌差町」と呼ばれていたため、現地に到着するまで、はっきりとは気づかなかったのです。

希久夫は、見ないように蓋をしてきた過去について思い出します。

弥勒菩薩のようだった母が変わってしまったのは、希久夫が中学一年生の頃のこと。

父 敬一郎の浮気が原因でした。

敬一郎はかわいがっていた後輩が、仕事中に命を落として以来、その未亡人に対しいろいろと面倒を見ていました。

「長い交流の中で一線を越えてしまった」

そう言って、敬一郎は20歳になった希久夫に説明し、頭を下げたのです。

父も母も子どもたちの親権を望む中、希久夫は母から「一緒に来て欲しい」と懇願されていました。

父親が悪いとはわかっていたものの、13歳だった希久夫は複雑な思いを抱えており、母と一緒に行くことを拒否したのです。

その結果、母は弟の由紀夫を連れ、家を出ていってしまいました。

以来、希久夫の中には「自分が母と弟を捨ててしまった」という罪悪感が今でも残り続けていたのです。

思い出したくなかった過去に無理やり向き合うこととなった希久夫は、美奈子のことを恨めしく思います。

やり場のない気持ちをぶつけるため、120キロものスピードを出したグレースの後ろから、大型バイクが追いかけてきました。

希久夫が「白バイだ」と思ったバイクには、宝塚の男役のような女性が乗っており、オーバーヒートを指摘するため、グレースを追いかけてきていたのです。

その女性 仁科晴香はグレースを「エスハチ」と呼び、ラジエーターのヒューズが飛んでしまったグレースに、修理工場を紹介してくれたのでした。

征二郎2009年8月7日

仁科晴香が紹介したのは、自分の祖父 征二郎が経営する『仁科オートサイクル』でした。

征二郎は、本田宗一郎のもとで働いていたエンジニアで、業界では「伝説の技術者」として有名な人物でもありました。

幼稚園のころ「エスハチを見かけたら良いことがある」という征二郎の作り話を聞いて以来、”エスハチ探し”を続けてきた晴香。

この日、晴香は中でも希少性の高い”赤いエスハチ”を見つけ出し、征二郎に連絡を入れてきたのです。

征二郎は、本田宗一郎から半ば強引に、本田初の4輪車であるSシリーズのプロジェクトに入れられ、「エスハチ」と呼ばれるS800の開発にも当然関わってきていました。

本田宗一郎との過去を思い出していた征二郎は、帰宅した晴香から赤い左ハンドルのS800の写真を見せられ「スカーレットだな」と懐かし気につぶやきます。

かつて、赤いホンダ車は「スカーレット・レッド」と呼ばれていたのでした。

希久夫(滝藤賢一)2009年8月8日

晴香の指示で、グレースのエンジンを冷やした後『仁科オートサイクル』へ向かった希久夫(滝藤賢一)は、グレースを征二郎にたくします。

徹底的な修理と点検には1週間かかると言われ、戸惑う希久夫でしたが、征二郎は

「聞きたいこともあるし、明日の朝までになんとか修理をするから、頼みを聞いて欲しい」

と交換条件を出します。

晴香の手料理で晩御飯までごちそうになり、グレースの話を聞いた希久夫は、近くに宿をとり、翌朝5時に征二郎と会う約束を交わしたのでした。

征二郎2009年8月8日

希久夫(滝藤賢一)から、美奈子(尾野真千子)がどのようなルートで「エスハチ」を手に入れたのか聞いた征二郎は、遠い昔の””を思い出し、感傷的になっていました。

「美奈子はグレースをフランスのヴィンテージオークションで見つけたらしい」

と聞いた征二郎は、美奈子がグレースの”出自”を知っていたに違いないと考えます。

早朝5時、希久夫をグレースの助手席に乗せ、征二郎は『もみじ街道』と呼ばれる山のクネクネ道を、”デート”と称し、持ち前の運転テクニックで飛ばしていきました。

車酔いをしてしまった希久夫に謝った征二郎は、希久夫に「できれば一生この車に乗って欲しい」と頼み、運転を教えることにします。

最初はしり込みしていた希久夫でしたが、しだいに山道の運転が楽しくなり、征二郎も「思ったより呑み込みが良い」と講義を続けるのでした。

そんな中、征二郎は「なぜ赤いエスハチが珍しいのか」という意外な話を披露します。

エスハチが発売された当時、日本では一般の車に赤い塗装をすることは禁止されていたというのです。

その慣習をくつがえしたのが本田宗一郎でしたが、法律が整うまでエスハチの赤は輸出に回されていたとのこと。

そして欧米に輸出されたエスハチは、車マニアの外国人に人気となり、スティーブ・マックイーングレース・ケリーにも愛された車でした。

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この話を聞き、グレース・ケリーが好きだった車だから、美奈子がS800を「グレース」と呼んでいたんだと考えた希久夫ですが、征二郎はそれを否定し、遠い昔の””について語りだすのでした。

征二郎1967年9月6日

1967年、30歳だった征二郎は最年少メカニックであったため、本田宗一郎から「Sシリーズのメンテナンスへ行け」と命じられ、海外を飛び回っていました。

その日も突然、ミラノ、トリノ、モナコを回るように言われた征二郎は、不満に思いつつも本田宗一郎には逆らえず、修理に回ります。

当時、ホンダでは4輪車を売るために、世界中どこにでも無料で出張するサービスを行っていたのです。

モナコに到着した征二郎は、高級車の中で肩身の狭い思いをしているように見える赤いエスハチを見つけ、不憫に思ってしまいました。

征二郎はエスハチの助手席に「Ferragamo』の中敷きがあるパンプスを見つけます。

手に取ってみると、それは単なるパンプスではなく、羊皮でつくられた恐ろしく軽いドライビングシューズでした。

やがて訪れた赤いエスハチの持ち主の顔を見て、征二郎はポカンと口をあけたまま、しばし硬直してしまいます。

グレース・ケリー(ウィキペディアより)

エスハチとフェラガモのドライビングシューズの持ち主は、アメリカの元女優でモナコ公国の公妃となったグレース・ケリーだったのです。

グレース大公妃と話した征二郎は、彼女がS800のことを熟知していると感じます。

実際、グレース・ケリーは、えこひいきはいけないのだけれどと前置きし

「ホンダユーザーだから、つい(モナコ・グランプリレースで)肩入れしてしまうの」

と言って、征二郎を感激させるのでした。

メンテナンスをする中で、征二郎はエスハチに「記念のいたずら」をしかけます。

それはシリンダーキャップに自分のイニシャルと日付を刻むという落書きでした。

エスハチのメンテナンスを終えた征二郎は、執事のディディエにグレース・ケリーが運転しているところを見て安心したいと切り出します。

ディディエから「早朝、街中を飛ばす赤いスポーツカーがいて困っているという苦情が警察に寄せられているらしい」と教えてもらったコースを見学した征二郎。

グレース・ケリーの運転は、征二郎が「ブラボー」と叫んでしまうほどに素晴らしく、その声は彼女の耳にも届いていたのでした。

希久夫(滝藤賢一)2009年8月8日

万楽泉

「グレース」の修理を終えた征二郎は「報酬はもらったから修理代はいらない」と希久夫(滝藤賢一)に言います。

征二郎の手には、グレース・ケリーと出会った時にいたずらをしたシリンダーキャップがありました。

また征二郎は、自分が生きている限り、グレースのメンテナンスは他の修理工場には譲れないと言います。

征二郎と晴香の2人と別れた希久夫が向かうこととなったのは

滋賀県近江八幡市 仲屋町中19

希久夫にとっては、ほとんど知らない場所でした。

やがてたどり着いたのは『万楽泉』という酒蔵で、お酒が好きだった美奈子(尾野真千子)を思い出します。

とは言え、美奈子は酒蔵巡りをするほど日本酒好きではありませんでした。

万楽泉』で、希久夫は死んだ父 敬一郎にそっくりな男「富樫」と対面します。

会った瞬間、2人はお互いが生き別れた兄弟であると直感します。

由紀夫には幼稚園と小学校の息子が2人おり、母 千江もまだ生きていて、一緒に暮らしているとのこと。

千江は、由紀夫が中学の時に再婚したのだと話すのでした。

由紀夫2009年5月30日

希久夫(滝藤賢一)を残し、千江の実家へと共に向かった由紀夫でしたが、中学の頃から荒れ始め、伯父に嫌われるようになっていきます。

そんな中、千江が有名な酒蔵の杜氏をつとめる間宮庄司郎と再婚しましたが、由紀夫は千絵の旧姓”富樫”を名乗り続けることにしました。

間宮庄司郎は愛情深い人物で、由紀夫は庄司郎のもとでアルバイトをはじめます。

以外にも酒蔵での仕事が肌に合った由紀夫は、蔵人になりたいと思いますが、義父は由紀夫への愛情故に、自分の元ではなく『万楽泉』へと送り出したのでした。

師匠となった中牟田良蔵から「親の死に目に会えないかもしれない世界」と告げられた由紀夫は、実際に義父の死に目に会う事はできませんでした。

現在では『万楽泉』の頭にまでなった由紀夫のもとに、美奈子があらわれたのは突然のことでした。

希久夫に何かがあったのかと思った由紀夫でしたが、美奈子は由紀夫と千江に会いたかったのだと言います。

美奈子は、仕事で金沢に来た際、千江の実家を偵察し、聞き込みの結果、由紀夫たちの居所を探し当てたとのこと。

美奈子の話から、父 敬一郎がすでに亡くなっており、美奈子が送った訃報の電報を伯父が握りつぶしたことを知るのでした。

戸惑う由紀夫の懐にぐいぐいと入って行った美奈子は、帰り際

「あなたや奥さんに何かあったら子どもたちは責任をもって守るから、私に何かあったらキクちゃん(希久夫のこと)をよろしくお願いします」

と真剣な目をして、言い残して行ったのでした。

希久夫(滝藤賢一)2009年8月9日

滋賀県高島市 新旭町針江589

それは、由紀夫の自宅の住所であり、母 千江が住む場所でもありました。

美奈子も千江に会ったことを、由紀夫から聞いた希久夫は、覚悟を決めて母の元へと向かいます。

けれど、由紀夫によると、63歳になる千江はアルツハイマー型の認知症におかされており、もしかすると希久夫の事を思い出せないかもしれないという事でした。

住所に到着すると、希久夫は由紀夫の長男 岳志と出会い、子どもの頃の自分とそっくりであることに驚きます。

対して、次男の洋志は由紀夫にそっくりでした。

由紀夫の妻 亜矢子から、千江が岳志を「希久夫」と呼ぶのだと聞かされ、希久夫は胸が苦しくなります。

千江は希久夫が名乗っても「孫と一緒の名前」と言い、息子だとはわからないままでしたが、希久夫は少しでも長く母と時間を過ごしたいと思うのでした。

しかし、希久夫が子どもの頃の写真をみせたことで、千江は動揺し、泣き出してしまいます。

またもや母を苦しめてしまったことで、希久夫は自分の存在を呪わしく思い「また来ます」とつぶやき、帰ろうとしました。

グレースのところへ戻ると、運転席には岳志が待っており

「ばあちゃんが幸せだったら、おじさんの代わりに希久夫でもかまわないよ」

と言ったため、希久夫は涙をこらえきれなくなります。

慌ててグレースを発進させた希久夫でしたが、岳志はグレースの後を追いかけてきて、希久夫にむかって手を振っていました。

号泣した希久夫は、あまりの辛さと、この先に待っているものへの恐怖に「こんな旅はやめて東京へ帰ろう」と考えます。

美奈子ののこしたグレースの履歴はあと2か所になっていました。

美奈子(尾野真千子)2009年6月2日

希久夫(滝藤賢一)の弟 由紀夫やその家族に会った美奈子(尾野真千子)は、希久夫にそっくりだった岳志のことを思い、ますます「子供が欲しい」と考えます。

自分が死んだ後の希久夫のためにはじめた計画ではありましたが、美奈子は生きることを諦めたわけではありませんでした。

希久夫の母 千江が認知症だったことは予想外でしたが、千江が孫を「希久夫」と呼んでいるのを見て、出来るだけ早く希久夫を千江のもとに連れてこなくてはと焦りを覚えます。

千江が置き去りにしてきた希久夫に罪悪感を抱え続けてきたことは明らかだと思ったからでした。

美奈子は由紀夫に「お盆の頃に、今度は希久夫と遊びにくる」と約束をして、富樫家を去りました。

除虫菊

美奈子の次の行先は、因島にある重井という漁港にある、除虫菊が咲き乱れる丘でした。

そこは7年前、希久夫が美奈子にプロポーズをした思い出の場所だったのです。

美奈子の手には、希久夫が釣りをしているところを背中から撮った写真がありました。

同じアングルで美奈子は写真を撮ってから、7年前に交わした約束を守れているだろうかと自問します。

あるいは、約束を守ろうとして、間違った事をしているのではないのかとも…。

草織2009年8月13日

32歳の伊川草織は、松山城のふもと、東雲神社の商店街で、外資系IT企業時代の同僚だった河野久美とともに『タント・フィオーリ』という花屋を2年ほど営んでいました。

この日、草織の店に希久夫(滝藤賢一)が現れます。

草織は希久夫が美奈子と出会う前、結婚を前提として付き合っていた恋人でした。

草織が希久夫と付き合い始めたのは高校2年生の時、同じクラスになってからでした。

親同士も知る交際だった2人でしたが、草織が最初に就職した会社で、アメリカ赴任の辞令を受けた頃から、歯車が狂い始めます。

交際から就職をする頃までは「希久夫とずっと一緒にいたい」「結婚をしたい」と思っていた草織でしたが、草織にスキルアップのチャンスがやってくると、いつも希久夫は背中を押してきました。

しだいに草織の中に「アメリカで数年だけでも暮らしてみたい」という願望が育って行きます。

そんな草織を希久夫は「二年だけ」とアメリカへ送り出したのです。

アメリカでの仕事が面白くてたまらなくなった草織は、しだいに希久夫のことばかりを考えるという事はなくなっていきます。

また、プロジェクトメンバーとも仲良くなり、中でもリーダーのビル・チェンバレンという白人男性と親しくなっていきました。

4か月もたった頃、草織はビルから告白をされ、身をゆだねてしまいます。

だからと言って、草織が希久夫のことも愛していました。

希久夫とビルを同時に愛してしまった草織は、苦しみから逃れるため、目の前にいない希久夫と別れることを選んでしまいます。

その結果、草織は一方的に希久夫に別れの手紙を送ってしまいました。

手紙を読んだ希久夫は草織に会いに行くと電話をしてきましたが、草織は「来ないで」と断り、2人の関係はあっけなく終わりを告げたのです。

希久夫を傷つけてビルと結婚した草織でしたが、その結婚は長く続きませんでした。

もともとどちらの両親も国際結婚に反対していましたが、草織が妊娠したことにより、いそいで結婚式が行われます。

保守的で厳しい義母と同居することになった草織は、ビルに不安をもらしますが、ビルはあっけらかんとしています。

しかし、9月11日に起きたテロの影響で、仕事が順調にいかなくなったビルは、しだいにイラつくことが増えていきました。

草織がジェイミーという男の子を出産した後から、義母の干渉がエスカレートしていきます。

「家族3人だけで暮らしたい」とビルに申し出ても、ビルは聞く耳をもたないばかりか「君だけが出ていく選択肢もある」とまで言うしまつ。

結局、草織はビルに息子ジェイミーも奪われ、離婚して日本へ戻ってきたのでした。

「もう男はこりごり」

そう思って生きてきた草織でしたが、希久夫と過ごした三日間で、自分がまだ希久夫を愛しているし、愛されたいと思っていることを自覚します。

希久夫の妻 美奈子が会いに来て

「もし自分が死んでしまったら、おそらく希久夫が車に乗ってやってくるから、もう一度愛せると感じたら、迷わず愛してあげて欲しい」

そう言った時は、あり得ないと思った草織でしたが、現実に希久夫と再会してしまった草織は気持ちを止められなくなっていました。

草織の気持ちをよそに、希久夫は休みを一日残して、東京へ帰ると告げます。

8月20日は美奈子の誕生日だから、お墓参りをしたいと言うのです。

美奈子の死後、かけがえのない存在だという気持ちが強くなっているという希久夫の言葉を聞いた草織は、美奈子に完敗したと思いました。

草織に一度は希久夫を託した美奈子でしたが、フランスから国際電話をかけてきて「どうしても死ねない理由が出来たから」と、約束を反故にして欲しいと頼んでいたのです。

去っていく希久夫のことを考えた草織は、もう二度と希久夫に会う事はないだろうと思うのでした。

ドラマ『グレースの履歴』原作|結末ネタバレと感想

グレースの履歴 ドラマ ネタバレ 感想

希久夫(滝藤賢一)を深く愛していた美奈子(尾野真千子)は、万が一治療がうまくいかず、自分が死んでしまうことがあったら、希久夫が孤独になってしまうことを恐れ、壮大な計画を立てました。

その計画の終着点は、希久夫を捨てた元彼女である草織に希久夫を託すこと。

美奈子は草織に

「死んでも相手の人生に責任を持つ。それが夫婦なんだと、わたしは思っています」

と、圧倒的な迫力で迫ります。

希久夫の方も、夫婦という関係性について

日々頻発する感情の摩耗や衝突を回避することなく、一つひとつ地道に問題点を潰していかなければならない。
それはたいていの場合面倒で、不快で、互いに傷つく辛い作業に他ならない。
「友達のような関係」にフワフワと逃げてしまうのは安易だが、長続きはしない。
~グレースの履歴より~

と考えています。

ここまでの覚悟を持って、結婚生活を続けている夫婦がどれだけいるのでしょうか?

この先、希久夫は美奈子以外の人間を愛することがあるかもしれませんが、希久夫の中から美奈子の存在が薄れることは絶対にないだろうと考えると、自分がそこまでの熱量で人を愛したことがないくせに美奈子を羨ましく思ってしまいました。

一度は草織に希久夫を愛して欲しいと頼んだ美奈子でしたが、その約束を忘れて欲しいと言ったのは、美奈子がフランスで妊娠に気がついたからでした。

白血病の再発もあり、お腹の子どもを産むことはかないませんが、美奈子は再び白血病と戦い、必ず希久夫の子どもを産むと決意したんでしょうね。

それなのに、バスが転落する事故に巻き込まれ美奈子は命を落とし、希久夫はグレースにのこされた軌跡をたどることとなってしまいました。

美奈子の計画は成功し、希久夫はグレースと共に再生を果たします。

妻と我が子を失い手に入れた再生ですが、希久夫は物語の最初よりイキイキと魅力的な男性になりました。

どうやら、征二郎の孫 晴香は希久夫に恋をしているようですし、美奈子への愛情はそのままに、晴香との幸せな未来があるかもしれません。

10年以上前の作品なので、続編が書かれることはなさそうですが、脳内で勝手に希久夫の未来を想像し「幸せになれよ、希久夫」とエールを送ってしまいました。

私は草織のように結婚に失敗した身ですし、再婚どころか恋愛も別にしたいとは思っていないのですが、来世というものがあるのであったら、美奈子のように誰かを深く愛してみたい…そんな風に思える素敵な作品でした。

 

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