八王子を舞台にしたミステリー本【さらば愛しき魔法使い】を読みました!
著者は、2011年本屋大賞受賞【謎解きはディナーのあとで】の原作者でもあるミステリー作家の東川篤哉さん。
【謎解きはディナーのあとで】は櫻井翔くん主演ドラマとしても知られていますね。
【さらば愛しき魔法使い】は【魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?】【魔法使いと刑事たちの夏】に続く、シリーズ3冊目の作品。
今回は八王子に注目しつつ、あらすじ&感想を書いていきたいと思います。
明確なネタバレはしてないつもりですが、クレームは受け付けておりませんw
東川篤哉【さらば愛しき魔法使い】
【さらば愛しき魔法使い】はシリーズものですが、いきなり3冊目からでも、問題なく読めました。
- 魔法使いと偽りのドライブ
- 魔法使いと聖夜の贈り物
- 魔法使いと血文字の罠
- 魔法使いとバリスタの企み
全4編からなる短編で構成されています。
基本的には
事件発生→捜査→魔法少女マリィの魔法を使って犯人自白→主人公が証拠を探す→追いつめて逮捕
という流れ。
読者も冒頭で犯人がわかっており、犯人の残した証拠(ミス)を想像しながら読んでいく展開です。
その中に、主な登場人物同士のボケとツッコミ的なユーモア要素が盛り込まれていきます。
全編を通した主な登場人物
小山田 聡介(主人公)
八王子署刑事課に勤める若き刑事。
自宅はも八王子市にあるオンボロ西洋屋敷。
カローラに乗っている。
マリィ
小山田家の住み込み家政婦。
いつも箒を持ち歩く三つ編みの魔法少女!
聡介が手がける事件を解決に導くため魔法を使用。
小山田マリィになるのが夢。
椿木 綾乃
小山田宗介の上司 警部 39歳独身
惚れっぽく、事件の容疑者に心を寄せるも、ことごとく相手が真犯人になる。
聡介の憧れの女性?
小山田 鉄二
聡介の父親。
八王子の西洋屋敷の同居しているものの、マリィの魔法の事は知らない。
若杉刑事
聡介の後輩刑事
【魔法使いと偽りのドライブ】登場人物とあらすじ
登場人物の説明
・岡田 英明(犯人)
弁護士 40歳 兄 正妻の子。
愛人である森佳代子の夫、森敬三(被害者)が経営する会社の顧問弁護士。
八王子駅から少し離れた、ちょっと寂れた一角に岡田法律事務所をかまえている。
愛車は真っ赤なミニクーパー。
亡くなった父親から受け継いだ八王子市本郷町の自宅に住んでいる。
・森 佳代子(犯人の愛人)
色気のある華やかな巻き髪美人、40歳。
英明と交際中。
専業主婦だが、夫に財力があるため高級品を身につけている。
黄色いポルシェ991のオーナー。
・高野 英夫(犯人の腹違いの弟)
千葉県の小さな事務機器メーカーの営業マンをしている。
兄の英明のアリバイ工作に利用される。
愛車は中古のプジョー。
・森 敬三(被害者)
八王子市楢原町で建築会社を営む社長63歳 佳代子の夫
英明と佳代子に命を奪われる。
あらすじ
英明と英夫は異母兄弟だけれど、容姿がそっくり。
敬三の財産を狙う英明と佳代子は、そのことをアリバイ作りに利用する計画を立てます。
自分によく似た弟を愛人と共に、ポルシェで観光地に行かせ、目立つように行動し、アリバイを作るのです。
しかし、ドライブをしていた聡介とマリィは偶然にも、計画を実行中の佳代子らと関わりを持っていました。
やがて聡介は真犯人が誰かに気づき、英明を追い詰めていきます。
事件解決のヒント=ポルシェ
コメント
ポルシェと言う車のことを良く知らないと、謎を解くことは不可能です。
はちこは当然知らなかったので
「え~?なんかポルシェって変な車~」
とか、思っちゃいました。
車好きには殴られそうだし、お金持ちの所有者には
「これだから貧乏人は、やれやれ」
とされそうですねwww
作中に”甲州街道にあるレストラン 八王子大海鮮”というお店が出てくるので、調べたところ架空のお店でした。
【魔法使いと聖夜の贈り物】登場人物とあらすじ
登場人物の説明
・西脇 雅也(犯人)
八王子駅から数分の住宅街に住むイケメン映画コメンテーター。
半年前から恋人の美奈子が邪魔だと思っており、犯行に及ぶ。
・中澤 美奈子(被害者)
西八王子出身の無名の美人女優。
雅也の恋人。
・京野 遥(雅也の婚約者)
父親は中堅出版社経営で、雅也もこの出版社から数冊の本を出している。
・加藤 真治(美奈子のストーカー)
あらすじ
雅也と美奈子は恋人同士だったのですが、遥とも付き合い始めた雅也は美奈子が邪魔に。
やがて、八王子市上野町の野上神社で遺体として発見された美奈子。
奇しくも犯行の前日、聡介はセレオ内のカフェから出てきた美奈子とぶつかると言うハプニングがあり、美奈子の顔を覚えていました。
聡介、被害者と関わりすぎw
警察に事情を聞かれた際、余計なことを話しすぎた雅也はストーカーに罪を着せようと行動をします。
その行動とは、ストーカー宅に美奈子のバッグを置きに行き、警察に証拠品として発見させること。
しかし、またもや余計なことをしたために、雅也は自滅することになってしまいます。
事件解決のヒント=本
コメント
計画性のある犯人は饒舌なことは多いですが、どう見ても怪しい・・・ありがちなやつですね。
黙秘してても、怪しいけど、聞かれてもいないことに答えちゃうのは、むしろ墓穴を掘るってもんです。
「計画的に人の命を奪って逃れるなんて、早々うまくいくわけないな~」と実感しました。
作中に登場する野上神社、八王子大学は八王子に存在していません。
【魔法使いと血文字の罠】登場人物とあらすじ
登場人物の説明
・殿村 敦史(犯人)
長身痩躯のイケメン三十男。
八王子市中町でバー”アルテミス”を経営。
・高森 健作(被害者)
敦史の叔父で、痩せた白髪の老人。堅実な性格。
八王子市本町で 一人暮らしをしている元市役所職員。
・白木 敏夫(第一発見者)
健作の友人
・有田修二(容疑者)
健作の隣の家に住む45歳の会社員。
美佐子は37歳の専業主婦で、3歳になる息子がいる。
あらすじ
殿村 敦史は所有しているバーの経営が傾いており、年老いた叔父に借金をするも断られてしまいます。
お正月の挨拶と称し、再び借金の交渉をしに叔父の家を訪れる敦史。
もみ合いになった末、命の危険を感じた叔父は「500万出す」と言うのですが、3000万円の保険金を狙う計画があった敦史は、そのまま叔父の命を奪ってしまいます。
物盗りの犯行に見せかけるため、部屋を荒らす中、叔父の残したダイイングメッセージを発見!
最初は焦るものの、ダイイングメッセージを書き換えて、隣家の有田に罪を着せようとすることを思いつきます。
事件解決のヒント=ボールペンとアイロン
コメント
ダイイングメッセージを書き換えて、濡れ衣を着せるっていうのは、ミステリーにありがち。
でも小道具として、あのボールペンの性質を利用するというのは「なるほど現代!」と思いました。
【魔法使いとバリスタの企み】登場人物とあらすじ
登場人物の説明
・波左間 健二(犯人)
西八王子駅からすぐの自宅に住む40過ぎの男性。
経営している”波左間珈琲店”は八王子で人気喫茶店。
・愛沢 仁美(被害者)
健二の恋人 25歳。
波左間珈琲店でアルバイトをしていた。
・波左間 加奈子(犯人の妻)
健二の妻 事件の日は海外旅行をしていた。
・河端政夫(犯人の義理の叔父)
加奈子の叔父であり、大手飲料メーカー”多摩ドリンク”の重役。
健二の喫茶店とコラボ商品を開発する。
・橋口誠
波左間珈琲店の常連客 小太りの冴えない三十男。
仁美に想いを寄せてることを利用され、犯人にされそうになる。
珍しい外国製タバコを吸うヘビースモーカー。
・仁科裕子
波左間珈琲店の副店長。
あらすじ
健二は痴話喧嘩の末、若き愛人、仁美を手にかけてしまいます。
その罪を店の常連客で、仁美に好意を持っていた橋口誠にきせることを思いついた健二。
仁美の携帯を使ってメールを送り、橋口をおびき出すことに成功。
やがて八王子市泉町の河川敷(北浅川)で仁美の遺体が発見されます。
仁美の手には橋口が愛用しているタバコの吸い殻が握られていました。
容疑はわかりやすく橋口に向けられるものの、犯行の日、健二の自宅にはいるはずのない女性の姿を目撃した老人が登場し、健二の犯行は明らかに。
事件解決のヒント=空き缶とタバコ
コメント
完璧に処理したつもりでも、思いがけない部分で、見落としがあるのが人間だし、どこで誰に見られているかわからない。
それと、よ~く知っているつもりの相手でも、知らない一面があるってもんですね。
犯人のやらかすミスはどれも単純で、読者からしたら「アホか?」って感じなんだけど、現実なんてそんなもんだと思います。
完全犯罪なんて、99%無理でしょうね。
全てが白日の下に晒され、逮捕される前に犯人が揃いも揃って悪あがきするのが何ともシュールでした。
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はちこの感想
「魔法少女なんて設定をミステリーに入れちゃう?
それやっちゃったら何でもありじゃん!
な~んかちょっと邪道🙄」
これが読む前の印象でした。
魔法を使うことでチート級に推理力を働かせちゃうんだとしたら
「反則だしつまらん!」
と思ったのですが、あくまでマリィは補佐役なんですね。
犯人を見抜くのは、ボンクラに見えて、案外鋭い主人公。
聡介は、キャラクター的にも、どこか応援したくなるタイプで、けっこう好きです♡
とにかく知ってる場所ががんがん出てくるので
「これはあの辺り?」
「あのお店がモデルかな?」
なんて、想像するのも八王子市民としては面白すぎます!
それから、読者は先に犯人が誰かわかっていて、主人公が犯人のアリバイを崩すタイプのミステリーなので、とにかく気楽。
長編本格ミステリのように、大量の登場人物や伏線の把握がいらないので、忙しい中でもストレスフリーで完読できました。
読みやすさ的には、懐かしき赤川次郎の三毛猫ホームズシリーズに通じるものが。
読書慣れしてない人でも、ライトに読めるミステリーだと感じました。
最後の最後、マリィがある事をキッカケにいなくなってしまうので、短編集と言えども、やはりシリーズ物。
続きが気になる仕掛けはしっかり施されているんですけどね。
はちこの感想は以上になります。
今回ご紹介したのはこちらの【さらば愛しき魔法使い/東川篤哉】でした👋
八王子の片倉高校をモデルにした青春小説も読みました
作中に登場する八王子の実在するorした場所
- 八王子インター
- 裁判所 明神町
- JR八王子駅
- セレオ八王子 そごう八王子店
- ペデストリアンデッキ
- 京王八王子駅
- 八雲神社
- 南浅川
- 北浅川